追放されたおっさんは最強の精霊使いでした

すもも太郎

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魔法教練

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 その晩、セフィナとラム・ミューは同じベッドで眠った。セフィナはラム・ミューをとても可愛がり、ずっと頭を撫でている。しまいには顔中にキスを浴びせてラム・ミューが逃げ回る始末だった。


 翌日からはセフィナのゲート魔法を使い世界各地を3人で回った。


 「セフィナさんのゲート魔法はとても便利ですね」


 とミューが言う。俺も同感だったが、それは以前オババが使って居た魔法に似ていたので不思議に思って訊ねてみた。


 「1つお聞きしたいのだが、セフィナさんのこのゲート魔法はエルフならだれでも使えるのですか?」

 「これは王族のみに使える魔法よ、私の母の女王と私、それに私の姉、ラムの母親だって使えたの‥‥‥」


 ミュー・ラムはエルフの王家の血族だった。だから王女は王家の指輪まで授けてラム・ミューを応援したのだ。


 ”なぜセフィヌはエルフの国へ帰らなかったのでしょうか?”俺は、その質問が何度も出かけては飲み込んだ。そんな事は判り切っているのだ、人と交わったエルフはもうエルフの国に戻って暮らす事は出来ない。その代わりに別の質問をした。


 「エルフ以外でこのゲート魔法を扱えるものは居ますか?」

 「それは分からないわ。私もエルフの国から出た事がないし、でも居てもおかしくは無いわね」


 「あとね。私の事はエフィナで良いわよ」

 「ありがとう」


 エルフはあまり国から出ないというのは本当の事のようだった。都市伝説も結構あてになるものだなと思う。


 「実はこれに似た魔法を使う人と以前旅をしたことがあるのですが、その人は一度訪ねた場所への転移ゲートを作れたのです」

 「そういう事ね、それはゲート魔法の初歩なのよ。極めて行くと何処へでもゲートを開く事が出来るようになるわ」


 「それは凄い‥‥‥」

 「今の私は精霊気を読んでそこにゲートを作れるのだけど、女王なら大抵どこへでもゲートを作れるはずよ」


 「なるほど‥‥‥それで、問題が1つ。この国はノイズのような濁った精霊気で満ちている町が多いのですが‥‥‥」

 「それが厄介ね、集中力をそがれるわ。私の場合は大樹があれば自由にゲートを作れるのだけれど」


 その日は、彼女のその言葉で俺たちは空を飛び上空から大樹の存在を確認して地図に落とし込んだ。


 「でも、アキの全土感知を使えば‥‥‥」

 「それもやってみたのだが、結局ノイズに押し包まれて広域だと不鮮明になってしまうのだ」


 「そっか‥‥‥」


 と、ミューが少し残念そうにいう。いくら土魔法最強の俺でも広域を把握するのは無理だった。


 「ありがとう、ミュー」


 と彼女の気持ちに感謝して頭をなでる。本当はおでこにキスをしたいところだがエフィナが居るので少し遠慮しておく。







 そして、自分自身の魔法の研鑽を今は真面目に行っていた。まずスキンシールを自分だけでなく他人にも出来るようにしたのだ、何度も失敗してやっとつかめたのは相手に自分の持つ土の精霊気を充填させておけば成功するという事だった。何度も練習して今では自分の両手でセフィナとミューの手を持って精霊気を流した後に魔法を発動するだけだ。


 「スキンシール!」


 すると全員がマーク(諜報員)の顔になり、お互いを見合わせてゲラゲラと笑った。そして何度も何度も練習を重ねるうちに、全員を別の顔にする事もできるようになった。それも他人の顔を遠目で見ただけでコピーできるのだ。このあたりでそろそろ技術的には完成の域に達したと感じた。


 「みんなありがとう、スキンシールは完成したようだ、後は個人的に気になって居る魔法を練習しようと思う」

 「なになに?教えて!」

 「どんなのですの?」


 と2人に食いつかれてしまう。風の精霊達も興味津々で俺をみている。


 「1つは重力操作」

 「あ~、あれは私もやりたい!」


 「でも、ミューは普通に飛べるじゃないか」

 「重力ってどんなのですか?」


 と、ミューに言うとエフィナに訊かれる。


 「例えば」


 と言って集中してイメージすると少し俺の体が浮かぶ‥‥‥これに名前を付けてやればより簡単に出来るはずだ。


 「器用なものですね」


 とエフィナが感心している、指先の器用さとイメージの器用さというのは根源が同じなのだろうと俺は思っていた。


 「これに名前を付けて練習したら自分以外も飛ばせることが出来るはずなのだが」

 「はい!それなら私に決めさせて!」


 とミューが元気に言う。


 「いいぞ」

 「うーんとねぇ‥‥‥フリート!」


 「いいね、それじゃこれは今からフリートだ」


 俺は2人の手を取って唱えた。


 「フリート」


 そして初めはゆっくりそして次第に高速で飛び上がった‥‥‥なんとなく風の精霊気を感じる。


 「もしかして、ミューが風魔法を使っている?」

 「えへへ、判っちゃったの?ごめん」


 もう一度やり直すと、同じように飛べた。不思議に思っていたら答えが判った、体験した事だから簡単にイメージできるのだった。


 「ありがとう、やっぱりミューのおかげだった」

 「でも、本当にアキは器用なのねぇ」


 とセフィナがしきりに感心していた。美女と美少女の2人に褒められると俺はどんどんうまくなる気がした。


 「褒められたついでに、もう1つ。時間操作というのがあるのだ」


 と言って、集中する。初めはほんの瞬きの瞬間だけが止まった気がしたがずっと集中しているうちに数秒止める事に成功した。


 その瞬間俺がその場から居なくなる。そしてエフィナの隣に立っている。


 「え!なにそれ!?」


 と初めて見るエフィナは昔の俺とミューのように驚いた。


 「どうやったの?」


 それを説明するのは非常に難しい、まずは左手の土の魂から貰った精霊気を全身に充填させてそれを汎用魔法力に転換する、ここまでは他の魔法と一緒なのだが、時間停止の場合は全世界が止まるイメージを脳裏に焼き付けるのだ。どこにも目の焦点を合わせず、”全部”を視て一瞬目を閉じる事を繰り返していくうちに目を閉じなくてもイメージが作れるようになった。


 「世界が”止まった”イメージを作ったのだよ」

 「‥‥‥魔法の天才ね‥‥‥」


 終いにはエフィナは呆れてしまった。


 「名前‥‥‥」

 「いいよ、ミューにつけてもらいたい」

 「うーん‥‥‥ストッピ!」

 「いいね、ストッピだ」


 俺はその日、2つの魔法をミューから授かった‥‥‥と思った。


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