追放されたおっさんは最強の精霊使いでした

すもも太郎

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伝説の魔女の始まり

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戦闘が終わって、改めて辺りを見回してみると魔神の放った爆炎の魔法によって完全に廃墟になってしまっていた。


 あれだけ美しく光り輝いていた街の明かりが全て消え、一面が炎の洗礼を受けて焼却していた。


 「凄まじい炎だったな……ここの人たちはどこに消えたのだろう」

 「アキ、多分あの神殿の中に何かあると思うの」


 俺が呟くと、ミューが俺の袖を引っ張って神殿を指さす。そこに何かヒントがあるのではないかと言う事なのだろう。


 「そういえば前にそこには転移装置があったな……と言うことは」


 それを確認せずには居られなかった、そしてゲート魔法で神殿の扉を開け中に入ると確かに転移装置はそのままでそこにあったのだ。


 「つまり、これで人々はどこかに避難して行ったという事か……ならばこれを今使えば、彼らの後を追えると言う事かも知れないな」


 「どうしようか?」


 その転移装置の前で少し思案してからミューに問いかける。


 「アキとならどこだって行くもの」


 その美しく澄んだ瞳でじっと見てミューが答える。問う前に2人の気持ちは既に決まっていたのだ。この転移ゲートがどこに繋がっているのかは不明だったが他に選択肢は無い……と。


 「ありがとうミュー」


 そういうとおもむろにその黒光りする装置のトリガーを引くと軽く動いてカチャっと音を立てる。すると徐々に前方に例の黒いグルグルとした大きな転移ゲートが現れた。俺とミューは手を繋ぎそこに入った。







 ドーン!ヴヴヴヴヴヴ!


 一瞬の眩暈の後に、眩しい陽光が視界を遮り、爆音が俺達を包み込んだ。眩しさに目が慣れず周囲が良く分からなかったが咄嗟に危険を感じて防御魔法をとなえた。


 「アースシールドドーム!」


 ヴゴゴゴゴゴゴゴ!ドーン!ガンギン!という爆音と騒音に交じって人々の叫ぶ声が聞こえて来た。


 ワー!ウォー!ギャァー!


 そこは混乱狂気のるつぼであった。目が慣れて来て初めに視界に入ったのは巨大な蜘蛛と蜂の怪物が戦っている姿だ。周囲に居る人達は怪獣大決戦の砂漠の中を足を取られながらもそれぞれ走り逃げまどっている。


 「ミュー、やるぞ」

 「うん」


 その2匹の動きが止まっている間に阿吽の呼吸で魔法を叩き込んで一気に叩き落す。


 「メテオスラッシュ!」

 「トルネードラップ!」


 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


 メテオを叩き込まれた蜂の化け物が落下すると、それを素早く蜘蛛の怪物が捕縛に掛かる。だが、ミューの風捕縛魔法で2匹ごとまとめて動きを止めて行く。


  ギュイィイイイイン……


 「ゴーレムハンド!ハンドオン!」


 直後に巨大な土の手が現れて2匹ごと掴みあげる。


 「ブレークダウン!」


 ゴシャ!!


 という嫌な音を立てて2匹は一気に握りつぶされる。その飛沫がこちらまで飛んでドームの半透明な外壁にベチャと着く。この魔法は生物に使うと惨たらしくなるのであまり好きではなかった。


 「トルネードダスト!」


 とミューが言って俺の袖を引っ張る。やっぱり気持ち悪ものはしょうがないのだ。その化け物はたちどころにミューの掃除魔法で浄化されて消滅していった。そしてそばを探索してそこに黒い石板が残っているのを確認する。


 「やはり、あったか……デコンポジション」


 そばにあった大型の石板が破壊されて消滅していった。念のためミューと2人でコンビ魔法を使うが近辺には石板らしきものは感知できない。そして、怪獣の戦いに巻き込まれて怪我をして動けない人が幾人も居たので、そばに行き2人で風と土の快復魔法を掛けてやる。


 「もう大丈夫だぞ」


 そう言って周囲の人たちを魔法で完治させていくと、逃げまどっていた大勢が集まってきていた。手当をした人たちの家族が集まって来て喜びの再会を果たして抱き合っているのが微笑ましい。やはり魔法というのはこういう事に使うべきなのだと再認識する。


 「ああ、ありがたい、あなた方は何者なのですか?きっと素晴らしい聖者に違いない!」


 と、口々に感謝を述べ始め俺とミューは少々閉口していた。


 「私たちは……この子は魔女ですよ。聖なる魔女様なのです」


 と、ミューを紹介する。エヘヘと照れ笑いするミューが凄く可愛らしくて思わずほっこりする。俺はこの瞬間が何よりもうれしい。


 そして気が付いたら”魔女様万歳”の大合唱がはじまっていた。その後も彼らのもてなしを受けつつ西方の街に皆で移動した。

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