幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎

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決闘とは

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  翌朝、目覚めたリアと共に臨時の幹部会議に臨んだ。
 出席者は全員魔族で、こちらでは貴族階級以上は魔族のようだ。

 巨大な会議場に集まった面々はそれぞれが特徴的な角を持ち、個性的な顔立ちをしていたが中にはセクシーな感じの女性の魔族も居る。

「これより緊急会議を行う」
「おー!」
「すばらしいわ!」
「流石姫巫女様!」

 パチパチパチパチ‥‥

 リアが簡潔に挨拶をすると一同が異口同音にリアを賞賛して拍手が巻き起こる。僕はこの嘘くさい演出に違和感を覚えていた。

「では、これより議題を上げるので異議があるなら挙手をするように」

 ザワザワ‥‥

 リアの言葉に会場がざわつく、いままでリアがこの手の提議をしたことが無い事が伺える。

「ここにワラワに逆らうものが居る」

 それで議場のざわつきは逆に収まった。それはその場の殆どがそれを知っていたという事の証明になっていて僕は吹きそうになった。どいつもこいつも裏切り者じゃないか‥‥。

「ワラワに無断で勝手にゲートを使い光層
ライトレイヤー
にモンスターを送り込んで混乱させたものが居る」
「‥‥」
「今回の件は光層よりの使者を介して発覚したものじゃ、よって、決闘を申し付ける」
「おー!」
「流石姫巫女様だ!」
「素晴らしい!」

 そこで一気に拍手喝采になる。僕は呆けていた。なぜ決闘になるのだろう?リアが裏切り者を粛正するのではないのか‥‥?

「では、これに反対の者はいないか?」

 誰も挙手しない。

「決まりじゃ、決闘は本日20時に行うものとする、代表者はあとで申し出ること」

 又拍手喝采が起り、それで会議はお開きになった。

「‥‥リアさん?」
「なんじゃ何か疑問でもあるのか?」

 リアがくりくりとした可愛らしい目で答える。

「決闘とはどういう事なの?」
「どちらが正論かは決闘で決めるのじゃ」
「‥‥つまり、リアが負けたらどうなるの?」
「ワラワは出ないぞ、戦うのはそなたじゃ」
「はい?」
「ゲートをそなたの好きにしたいのじゃろ?」
「はい」
「ならば決闘じゃ」

 なるほど、とは思ったが‥‥この国ではすべてが決闘で決められるという事なのだろうか。

「仮に僕がここに居なかったらリアはどうするのさ?」
「魔王が決闘にでるのじゃ」
「はい?」
「魔王」
「魔王様ってリアのなんなの?」
「下僕じゃぞ」
「それはそれは‥‥でも魔王様にかてる相手なんているのかな?」
「どうじゃろうな、その場合は相手も代理を立てるからな」

「そういう事か」

 強いものが絶対に正義という理屈なので、文句があるなら勝てばいいのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 その日の20時、決闘場は魔王都から押しかけた観衆で満杯になった。

「これより、決闘を始める」

 リアが決闘開始の短い挨拶を済ますと僕は扉を開けて素手で決闘場に入った。

 決闘は原則的に武器の使用は禁止されている為、素手で殴り合うのが唯一のルールであるらしい。相手の巨漢の魔族も素手で入場してくるのが見える。

 2人が闘技場の真ん中に歩み寄ると観衆はそれぞれの陣営に声援を送って居る。

「負けるなよー」
「お前に全財産賭けたぞー」
「おい見ろ、アレ人間じゃないか?」
「人間の癖に勇気あるなぁ、負けるなよ~」

 何故か僕を応援している観衆もいてびっくりした。この国で人族は差別されていないのだろうか?それが疑問になったが今はそれどころではない、決闘だ。

 僕の身長の2倍以上あるような巨漢の魔族が僕の頭の上から鼻息荒く吹きかける。

「では両者中央で握手」

 儀式自体はなぜか紳士的で面白かった。

「はい、それでは線まで下がれ」

 ドーーーーーン!

 後ろの開始線まで下がると大きな太鼓が一つなり決闘が始まった。
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