57 / 62
北の魔人
しおりを挟む騒ぎが一先ず収まってからカウンターで本来の目的を果たす。
「僕がここに来たのはギルドのネットワーク情報を知りたいだけなのですが」
「そうおっしゃられても、Sランク様へのお仕事依頼はこのようにございます」
手回しの良い事に僕向けと思われる依頼書の山を見せる。
「もしかすると、依頼をこなさないと情報を教えて貰えないとかそういう‥‥」
「ご明察です、全ては実績主義ですので」
「ああ‥‥」
ひどく面倒な事に首をつっこんでしまったようだ。ギルドに入るまえに確認して置けばよかったのに‥‥。ダークレイヤーがどうであっても本来僕には関係ないハズなのだ。
「請けるの?請けないの?」
「請けます‥‥」
「はいこれ」
手渡された依頼書を幾つか眺めていると魔人討伐と書いてある。
「は!?魔人!」
「はい、魔人です」
その依頼書をよく読む。魔人による被害状況は、モンスター牧場で飼育されているモンスターの被害が相当件数。魔人が出没するのはこの町から北にある廃城と思われる場所。魔人の見た目は髭もじゃもじゃで、人型、2体のお供を引き連れて凶悪な技と魔法を用い周囲を恐怖に陥れているという。Sランク専用クエスト。
つまり3体を同時に撃破する必要があるらしい。結構難易度は高いかもしれない。
「う~ん‥‥判った引き受けよう」
僕はその書類にサインをして前金1000金を貰いギルドを出た。
蜥蜴車を北方面に走らせる。
「危ないとこに行くの?」
「人族の情報を得るためだ‥‥大丈夫、ミミを危険な目には逢わせないから」
「でも、ミミはお兄ちゃんが怪我するのは嫌なの‥‥」
心配ないと言おうとして、代わりにミミの肩に手をやる。
「お兄ちゃんはな、消える事ができるんだぞ、ほら隠密」
「え!わぁ!」
「現、どうだ?」
「凄い!」
「だろう?だから大丈夫だよ」
そうこうしている内に魔人の出没する地点に近づいた。
「ミミ、ここで少し待っていてくれ」
そういってミミにクラッカーを手渡す。
「万が一危ない奴が来たらこれを投げて牽制して逃げるんだぞ」
そのクラッカーが鳴れば僕にも判るので走って戻れるという打算もあった。
「よし、行ってくるからな」
僕は潜伏の疾走スキルを使い森のなかを縫うように走る。本拠地の廃城はもう目の前だ。
だが、思わぬトラップに引っかかってしまった。それは、魔法で仕掛けれた罠で地面を音を立てて走ると警報がなるものだ。
キューンキューン!
キューンキューン!
アレ?これはどこかで聞いた覚えがあるトラップ音だ、と思ったら突如遠隔魔法攻撃が炸裂する。
シュ!ドゴーン!
「うわ」
威力は大した事が無いがいきなりで驚いた。濛々とあがる煙の向こう側から2発3発目の火炎魔法が飛んできた。結構隙のない連続魔法で気持ちを引き締めて疾走で交わす。
ドーン! ドーン!
2発‥‥3発‥‥よし!抜けた!と思ったら目の前に髭もじゃの魔人が立っていて剣を振りかざした。
「光剣」
「うわぁ」
バシィ!
なんとかギリギリでその剣技を魔法剣で跳ね飛ばし、後ろに少し押されて踏ん張る。
光剣?どこかで聞いた事がある声だった。
「ぬぅ、こいつ跳ね返しやがった、強い!」
よく見るとアモンだった。
「アモンじゃないか!アモンだよな?」
「は!」
「は?じゃないよ、こんなところで何してんだ?」
アモンは茫然として僕を見ていた。
「イジン‥‥」
10
あなたにおすすめの小説
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。
imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。
今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。
あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。
「—っ⁉︎」
私の体は、眩い光に包まれた。
次に目覚めた時、そこは、
「どこ…、ここ……。」
何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる