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第四話
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「やーっとお嫁さんが来たわー!!」
「あ、あの……!?」
部屋に着くなり、女性から勢いよく抱きつかれておろおろと狼狽える葛葉。
何がなんだかわからないでいると、なぜかその女性が葛葉にくっついたまま今度は急にえぐえぐと泣き出して思わずギョッとしてしまった。
「もう、誰もお嫁さん来てもらえないと思ったから……っ、本当に嬉じいー!! 美津さん、来でぐれてありがどうー!」
「母上、大袈裟すぎます。美津さんが困っております」
いつのまにか隣に帝がいてギョッとする葛葉。そして、自分に抱きついて泣いているのが帝の母……つまり皇太后だとわかり、緊張で今にも失神しそうだった。
「大袈裟なんかじゃないわよ! 貴方が今まで婚姻は嫌だとか、形式だけで結構だとか言ってるからこんなことになってるのでしょう!?」
「多少のワガママではありませんか。公務など、やることはきちんとこなしているのですから、母上に文句を言われる筋合いはありません」
「何を言いますか、大アリですよ! 聞いてよ、美津さん! この子ったら人嫌いで結婚したくないからって、一緒に住まなくて済むように病弱の娘ばかりと結婚してたのよ!? そのせいで次から次にお嫁さんが亡くなるから、民から死神帝とかいう不名誉なあだ名をつけられているの。信じられる!? このあだ名のせいで、今の今まで縁談の話は全て断られているのよ!?」
自分を挟んで交わされるやりとりに目を白黒とさせながら、死神帝の由来を知って内心驚く葛葉。
けれど、まさかそんな理由があったなど知らなくて、葛葉は自分の愚かな先入観を恥じた。
「でも、よいではないですか。こうして美津さんが我が家にいらしてくれたのですから」
「ま、確かに。それもそうね。聞いてた話とは違うけれど、想像よりもすごくよいお嬢さんのようでよかったわ! とても可愛らしいし、これからも息子共々仲良くしてちょうだいね」
先程まで泣いていたはずなのに、葛葉を見るとけろっとした表情のあとニッコリと微笑む皇太后。その美しさについ見惚れてしまう。
「……え、っと、はい。お褒めいただき恐縮です。あっと、こちらこそ不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」
「ふふふ。謙虚で可愛らしい。あ、できればでいいのだけど、孫はたくさん欲しいわ! 男の子はもちろんいたほうがいいけど、女の子も捨てがたいからたくさん産んでちょうだいな」
「ぜ、善処します」
皇太后のあまりの勢いに圧倒され、狼狽える葛葉。赤子のことなど考えたこともなかったせいで、頭が真っ白になる。
すると、すぐさま帝が皇太后から遮るように葛葉の前に立ちはだかった。
「母上。いい加減にしてください。いらして早々に美津さんに負担をおかけして。すぐに離縁でもされたらどうするおつもりですか?」
「え、やだ。離縁!? それはダメだわ! わかりました。これ以上は何も言いません! とりあえず、美津さんはお疲れでしょう? 部屋へと案内しましょうか」
「それは余が致します」
「あら、あらあらあら。ふふふ、そうね。これから夫婦になるのだものね。お邪魔虫は引っ込んでるわ」
帝の言葉に気をよくしたのか嬉しそうに微笑みながら下がる皇太后。それを確認すると「では、こちらへ」と帝に手を引かれてまた別の部屋へと連れて行かれるのだった。
◇
「ここが我々の私室だ。物が多くて済まないが、楽にしてくれ」
私室だと案内された部屋は綺麗に片付かれた御所のイメージから一転、巻物や書物が部屋の隅に積まれていたり卓の上に書きかけの書があったりと生活感が溢れる雑多な雰囲気だった。
「驚いたか?」
「い、いえ。でも、少し意外でした。どこもかしこもお綺麗にされていたので」
「母が綺麗好きなのだ。余としてはこれくらいのほうが落ち着くのだがな」
そう言うやいなや、ごろんと雑に床に寝そべる帝。その姿は冷酷さの欠片もない無防備な姿だった。
(帝さまも寝転がるのね)
どんどん当初のイメージとはかけ離れていくが、いい意味で親近感がわく。
丹精な顔立ちと冷ややかな雰囲気で先程までは近寄りがたかった印象だったが、こうした様子を見ると自然と肩の力が抜けていく。
「あの、帝さま……」
「余の名は、公に悠久の悠と書いて公悠だ。二人のときは名で呼んでくれ」
「あ。では、えっと、公悠、さま」
名を呼ぶと、ふっと綻ぶ公悠の表情。その顔は先程の皇太后によく似ていた。
「疲れたろう? 母は民の前で気を張っているせいか、私生活ではあのような調子でな。悪い人ではないのだが」
「いえ。気さくに接してくださり、ありがたい限りです」
本音だった。
今まであのように気軽に接してくれる人がいなかった葛葉にとって立場柄恐縮していたものの、とても嬉しく思っていた。
「そうか、そう言ってもらえてよかった。……それで、美津……いや、そなたの本当の名は何と言う?」
「え!? あ、いえ、その、えっと、私」
突然の指摘に驚き、狼狽える葛葉。
まさか来て早々にバレるとは思わず不敬罪で罰せられるのではと言葉が出ずに青褪めていると、なぜか優しく頭を撫でられた。
「誤魔化さずともよい。これでも帝ゆえ、それなりに事前調査はしておる。そもそも、先程の菱田の様子を見てもすぐにわかったがな」
「も、申し訳ありま……っ」
「謝るな」
グイッと後頭部を引き寄せられて、帝の胸に飛び込むような形で倒れ込む。葛葉が慌てて起きあがろうと試みるが、公悠の力が強くて動けなかった。
(あ、心臓の音……)
胸板に頭を押しつけられたことで、聞こえる公悠の心音。どくんどくんという力強くも悠然としている鼓動に、心が安らいでくる。
当たり前ではあるが、帝である公悠も同じ人として生きているのだと改めて気づかされた。
「余はそなたの偽りのない、本当の名が知りたい」
耳元で囁かれて顔を赤らめる葛葉。吐息混じりに耳朶を伝う言葉に、胸が早鐘を打った。
「……葛葉、です。葛餅の葛に葉っぱの葉で、葛葉と申します」
「そうか、葛葉か。よい名だ。それで、どうして葛葉がここに来たか。いや、葛葉の生い立ちが知りたい」
「私の、ですか? ですが、公悠さまに聞いていただくなど畏れ多いです」
「余が聞きたいと言っているのだ」
頬に触れられ、向き合うように上向かせられる。その手はとても優しく、大きく、温かかった。
「葛葉の全てが知りたい。菱田が身代わりの花嫁を立てたことを含めて大概のことは承知しておるが、葛葉の口からどういう状況であったのか、どういう経緯があったのかを聞かせてほしい」
「承知、致しました」
既に全て承知した上での公悠直々の命とあれば、葛葉はもう隠し立てることはできなかった。
そして葛葉は、口減らしとして菱田家で奉公人をしていたこと、美津から不当な扱いを受けていたこと、美津の身代わりとしてここに嫁いだことなど、全て洗いざらい白状した。
「あ、あの……!?」
部屋に着くなり、女性から勢いよく抱きつかれておろおろと狼狽える葛葉。
何がなんだかわからないでいると、なぜかその女性が葛葉にくっついたまま今度は急にえぐえぐと泣き出して思わずギョッとしてしまった。
「もう、誰もお嫁さん来てもらえないと思ったから……っ、本当に嬉じいー!! 美津さん、来でぐれてありがどうー!」
「母上、大袈裟すぎます。美津さんが困っております」
いつのまにか隣に帝がいてギョッとする葛葉。そして、自分に抱きついて泣いているのが帝の母……つまり皇太后だとわかり、緊張で今にも失神しそうだった。
「大袈裟なんかじゃないわよ! 貴方が今まで婚姻は嫌だとか、形式だけで結構だとか言ってるからこんなことになってるのでしょう!?」
「多少のワガママではありませんか。公務など、やることはきちんとこなしているのですから、母上に文句を言われる筋合いはありません」
「何を言いますか、大アリですよ! 聞いてよ、美津さん! この子ったら人嫌いで結婚したくないからって、一緒に住まなくて済むように病弱の娘ばかりと結婚してたのよ!? そのせいで次から次にお嫁さんが亡くなるから、民から死神帝とかいう不名誉なあだ名をつけられているの。信じられる!? このあだ名のせいで、今の今まで縁談の話は全て断られているのよ!?」
自分を挟んで交わされるやりとりに目を白黒とさせながら、死神帝の由来を知って内心驚く葛葉。
けれど、まさかそんな理由があったなど知らなくて、葛葉は自分の愚かな先入観を恥じた。
「でも、よいではないですか。こうして美津さんが我が家にいらしてくれたのですから」
「ま、確かに。それもそうね。聞いてた話とは違うけれど、想像よりもすごくよいお嬢さんのようでよかったわ! とても可愛らしいし、これからも息子共々仲良くしてちょうだいね」
先程まで泣いていたはずなのに、葛葉を見るとけろっとした表情のあとニッコリと微笑む皇太后。その美しさについ見惚れてしまう。
「……え、っと、はい。お褒めいただき恐縮です。あっと、こちらこそ不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」
「ふふふ。謙虚で可愛らしい。あ、できればでいいのだけど、孫はたくさん欲しいわ! 男の子はもちろんいたほうがいいけど、女の子も捨てがたいからたくさん産んでちょうだいな」
「ぜ、善処します」
皇太后のあまりの勢いに圧倒され、狼狽える葛葉。赤子のことなど考えたこともなかったせいで、頭が真っ白になる。
すると、すぐさま帝が皇太后から遮るように葛葉の前に立ちはだかった。
「母上。いい加減にしてください。いらして早々に美津さんに負担をおかけして。すぐに離縁でもされたらどうするおつもりですか?」
「え、やだ。離縁!? それはダメだわ! わかりました。これ以上は何も言いません! とりあえず、美津さんはお疲れでしょう? 部屋へと案内しましょうか」
「それは余が致します」
「あら、あらあらあら。ふふふ、そうね。これから夫婦になるのだものね。お邪魔虫は引っ込んでるわ」
帝の言葉に気をよくしたのか嬉しそうに微笑みながら下がる皇太后。それを確認すると「では、こちらへ」と帝に手を引かれてまた別の部屋へと連れて行かれるのだった。
◇
「ここが我々の私室だ。物が多くて済まないが、楽にしてくれ」
私室だと案内された部屋は綺麗に片付かれた御所のイメージから一転、巻物や書物が部屋の隅に積まれていたり卓の上に書きかけの書があったりと生活感が溢れる雑多な雰囲気だった。
「驚いたか?」
「い、いえ。でも、少し意外でした。どこもかしこもお綺麗にされていたので」
「母が綺麗好きなのだ。余としてはこれくらいのほうが落ち着くのだがな」
そう言うやいなや、ごろんと雑に床に寝そべる帝。その姿は冷酷さの欠片もない無防備な姿だった。
(帝さまも寝転がるのね)
どんどん当初のイメージとはかけ離れていくが、いい意味で親近感がわく。
丹精な顔立ちと冷ややかな雰囲気で先程までは近寄りがたかった印象だったが、こうした様子を見ると自然と肩の力が抜けていく。
「あの、帝さま……」
「余の名は、公に悠久の悠と書いて公悠だ。二人のときは名で呼んでくれ」
「あ。では、えっと、公悠、さま」
名を呼ぶと、ふっと綻ぶ公悠の表情。その顔は先程の皇太后によく似ていた。
「疲れたろう? 母は民の前で気を張っているせいか、私生活ではあのような調子でな。悪い人ではないのだが」
「いえ。気さくに接してくださり、ありがたい限りです」
本音だった。
今まであのように気軽に接してくれる人がいなかった葛葉にとって立場柄恐縮していたものの、とても嬉しく思っていた。
「そうか、そう言ってもらえてよかった。……それで、美津……いや、そなたの本当の名は何と言う?」
「え!? あ、いえ、その、えっと、私」
突然の指摘に驚き、狼狽える葛葉。
まさか来て早々にバレるとは思わず不敬罪で罰せられるのではと言葉が出ずに青褪めていると、なぜか優しく頭を撫でられた。
「誤魔化さずともよい。これでも帝ゆえ、それなりに事前調査はしておる。そもそも、先程の菱田の様子を見てもすぐにわかったがな」
「も、申し訳ありま……っ」
「謝るな」
グイッと後頭部を引き寄せられて、帝の胸に飛び込むような形で倒れ込む。葛葉が慌てて起きあがろうと試みるが、公悠の力が強くて動けなかった。
(あ、心臓の音……)
胸板に頭を押しつけられたことで、聞こえる公悠の心音。どくんどくんという力強くも悠然としている鼓動に、心が安らいでくる。
当たり前ではあるが、帝である公悠も同じ人として生きているのだと改めて気づかされた。
「余はそなたの偽りのない、本当の名が知りたい」
耳元で囁かれて顔を赤らめる葛葉。吐息混じりに耳朶を伝う言葉に、胸が早鐘を打った。
「……葛葉、です。葛餅の葛に葉っぱの葉で、葛葉と申します」
「そうか、葛葉か。よい名だ。それで、どうして葛葉がここに来たか。いや、葛葉の生い立ちが知りたい」
「私の、ですか? ですが、公悠さまに聞いていただくなど畏れ多いです」
「余が聞きたいと言っているのだ」
頬に触れられ、向き合うように上向かせられる。その手はとても優しく、大きく、温かかった。
「葛葉の全てが知りたい。菱田が身代わりの花嫁を立てたことを含めて大概のことは承知しておるが、葛葉の口からどういう状況であったのか、どういう経緯があったのかを聞かせてほしい」
「承知、致しました」
既に全て承知した上での公悠直々の命とあれば、葛葉はもう隠し立てることはできなかった。
そして葛葉は、口減らしとして菱田家で奉公人をしていたこと、美津から不当な扱いを受けていたこと、美津の身代わりとしてここに嫁いだことなど、全て洗いざらい白状した。
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