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「さて、ではお別れじゃ。リュウの友達の居場所だが、そうじゃな……すぐにわかるように目印をつけておこう。これで相手の場所がわかるようになる」
小さなビョードーはそう言うと、パッとリュウの前で花火を散らす。
身体のどこを見回しても特に何か起きたわけでもないが、何か変化があったのだろうか。
「どうやって場所がわかるようになるの? 何も今は感じないけど」
「今は友達が近くにいないんだろう。近づいたらわかるようになる。さぁ、急げ。そこの扉から出たらまた城のほうに戻れるぞ」
「うん、わかった! 色々とありがとう!!」
「カッカッカッ、達者にな!」
リュウは言われた通りの場所に向かって走る。
「…………」
だが、なぜかリュウはそこから先には進まず、足を止めていた。
小さなビョードーは何かあったのかと心配そうにリュウを見つめた。
「リュウ、どうしたんじゃ? 何か忘れ物か? それとも腹でも痛くなったのか?」
「違うよ。そういうんじゃなくて……」
そう言ったあと、口ごもるリュウ。
リュウが何を言いたいのか、小さなビョードーは辛抱強く待った。
すると、意を決したようにリュウが口を開く。
「あのさ、もしよかったら一緒にオレと来ない?」
「はぁ? 急に何を言っておるんじゃ、リュウ」
小さなビョードーは困惑するように眉を下げる。
だがそれは決してリュウが言ったことが理解できないわけではなく、リュウの言葉に動揺していたからだった。
「ビョードーのこと、気になるんだろう? だったら一緒に行こうよ。それでまたビョードーと仲直りすればいいじゃん!」
「仲直り……いや、仲違いとかそういうんじゃ……」
「でも、ビョードーのこと心配なんだろ? だったら一緒に行って説得しようよ! 前回ダメでも、次やったらもしかしたらオッケーかもしれないじゃん!」
「なんじゃ、ずいぶんと急にポジティブだな」
「だって、くよくよしてられないからね」
小さなビョードーに苦笑されるも、リュウは本気だった。
ビョードーは恐いけど、さっきの話を聞く限り本当に悪いヤツではないような気がしたのだ。
リュウはいい意味で切替が早い性格だ。
だからこそ、悩んでいないでまずはチャレンジしてみて、ダメだったらそのとき考えればいいと思った。
「だが、アタシは元はビョードーとはいえ、大した魔法とかは使えない足手まといだけどいいのかい?」
「そんなこと言ったらオレだって、特別な力はちょっとの間だけ身体が光るのと見えなくなるのだけだし。ヒナみたいに飛べるようになったり、ヨシみたいに速く走れるようになったりしてるわけじゃないから大して変わんないよ」
「そうかもしれんが……。だが、アタシを連れていることでビョードーからさらに猛攻を受ける可能性もあるんじゃぞ?」
「それでも、もしビョードーに立ち向かうなら、きっとそれはオレじゃなくてビョードーのことをわかってる人のほうがいいと思う!」
「何を小僧のくせに……知った口を……」
小さなビョードーは眉を寄せてリュウを真っ直ぐに見つめる。
リュウはその視線をそらさずにまっすぐ見つめ合うと、小さなビョードーは「はぁ」と大きな溜め息と共に苦笑する。
そして、その場からゆっくりと立ち上がった。
「……だが、そうさな。リュウの言うことにも一理ある。元は同じもの同士、わかる部分もあるかもしれないのもまた事実じゃ。そもそも幽閉されていた身。久しく出られんでいたが、ちょっくら外に出てみるのも悪くないかもしれないな……」
小さなビョードーはそう言いながら魔法でさらに小さく姿を変えると、ふよふよと飛び、リュウのポケットの中に入った。
「アタシもずっとこの部屋で過ごしてたから、多少は光に弱いが大丈夫かい?」
「うん、光が強いときはオレのポケットの中に隠れてて!」
「わかったわかった。では、行くとするかの」
「よし! じゃあ、しゅっぱーつ!!」
リュウはそうかけ声をかけると、言われた通りの扉をくぐり、道を進んでいく。
そこはさっきのように狭い道になっていて、またハイハイしながら奥へ進む。
そして最奥の行き止まりに着くと、そこには縦に長いはしご道があった。
見上げると、あまりの高さにリュウは目が眩んだ。
「え、っと。ここ登るの?」
「そうじゃ。カッカッカッ、まだ若いのじゃからキビキビ登るがよいぞ」
「うへぇ……。ここの城に来てからずっと運動させられてる気がする……」
「ほれほれ。文句言ってる暇があったらさっさと登れ」
「ちぇ、他人事だと思って。登るのはオレなんだからな」
そうグチグチ言いながら、リュウははしごに手をかける。
「よし! 登るぞ!」
「その意気じゃ。頑張れ~」
リュウは自分を鼓舞すると、上を見ながら登り始める。
落ちたら絶対に怪我だけじゃ済まなそう高さにリュウは途中でビクビクしながらも、なるべく下を見ずにひたすら登っていく。
早くヒナやヨシと再会し、元の世界に帰るために、リュウは必死に上を目指して上へ上へと登り続けるのだった。
小さなビョードーはそう言うと、パッとリュウの前で花火を散らす。
身体のどこを見回しても特に何か起きたわけでもないが、何か変化があったのだろうか。
「どうやって場所がわかるようになるの? 何も今は感じないけど」
「今は友達が近くにいないんだろう。近づいたらわかるようになる。さぁ、急げ。そこの扉から出たらまた城のほうに戻れるぞ」
「うん、わかった! 色々とありがとう!!」
「カッカッカッ、達者にな!」
リュウは言われた通りの場所に向かって走る。
「…………」
だが、なぜかリュウはそこから先には進まず、足を止めていた。
小さなビョードーは何かあったのかと心配そうにリュウを見つめた。
「リュウ、どうしたんじゃ? 何か忘れ物か? それとも腹でも痛くなったのか?」
「違うよ。そういうんじゃなくて……」
そう言ったあと、口ごもるリュウ。
リュウが何を言いたいのか、小さなビョードーは辛抱強く待った。
すると、意を決したようにリュウが口を開く。
「あのさ、もしよかったら一緒にオレと来ない?」
「はぁ? 急に何を言っておるんじゃ、リュウ」
小さなビョードーは困惑するように眉を下げる。
だがそれは決してリュウが言ったことが理解できないわけではなく、リュウの言葉に動揺していたからだった。
「ビョードーのこと、気になるんだろう? だったら一緒に行こうよ。それでまたビョードーと仲直りすればいいじゃん!」
「仲直り……いや、仲違いとかそういうんじゃ……」
「でも、ビョードーのこと心配なんだろ? だったら一緒に行って説得しようよ! 前回ダメでも、次やったらもしかしたらオッケーかもしれないじゃん!」
「なんじゃ、ずいぶんと急にポジティブだな」
「だって、くよくよしてられないからね」
小さなビョードーに苦笑されるも、リュウは本気だった。
ビョードーは恐いけど、さっきの話を聞く限り本当に悪いヤツではないような気がしたのだ。
リュウはいい意味で切替が早い性格だ。
だからこそ、悩んでいないでまずはチャレンジしてみて、ダメだったらそのとき考えればいいと思った。
「だが、アタシは元はビョードーとはいえ、大した魔法とかは使えない足手まといだけどいいのかい?」
「そんなこと言ったらオレだって、特別な力はちょっとの間だけ身体が光るのと見えなくなるのだけだし。ヒナみたいに飛べるようになったり、ヨシみたいに速く走れるようになったりしてるわけじゃないから大して変わんないよ」
「そうかもしれんが……。だが、アタシを連れていることでビョードーからさらに猛攻を受ける可能性もあるんじゃぞ?」
「それでも、もしビョードーに立ち向かうなら、きっとそれはオレじゃなくてビョードーのことをわかってる人のほうがいいと思う!」
「何を小僧のくせに……知った口を……」
小さなビョードーは眉を寄せてリュウを真っ直ぐに見つめる。
リュウはその視線をそらさずにまっすぐ見つめ合うと、小さなビョードーは「はぁ」と大きな溜め息と共に苦笑する。
そして、その場からゆっくりと立ち上がった。
「……だが、そうさな。リュウの言うことにも一理ある。元は同じもの同士、わかる部分もあるかもしれないのもまた事実じゃ。そもそも幽閉されていた身。久しく出られんでいたが、ちょっくら外に出てみるのも悪くないかもしれないな……」
小さなビョードーはそう言いながら魔法でさらに小さく姿を変えると、ふよふよと飛び、リュウのポケットの中に入った。
「アタシもずっとこの部屋で過ごしてたから、多少は光に弱いが大丈夫かい?」
「うん、光が強いときはオレのポケットの中に隠れてて!」
「わかったわかった。では、行くとするかの」
「よし! じゃあ、しゅっぱーつ!!」
リュウはそうかけ声をかけると、言われた通りの扉をくぐり、道を進んでいく。
そこはさっきのように狭い道になっていて、またハイハイしながら奥へ進む。
そして最奥の行き止まりに着くと、そこには縦に長いはしご道があった。
見上げると、あまりの高さにリュウは目が眩んだ。
「え、っと。ここ登るの?」
「そうじゃ。カッカッカッ、まだ若いのじゃからキビキビ登るがよいぞ」
「うへぇ……。ここの城に来てからずっと運動させられてる気がする……」
「ほれほれ。文句言ってる暇があったらさっさと登れ」
「ちぇ、他人事だと思って。登るのはオレなんだからな」
そうグチグチ言いながら、リュウははしごに手をかける。
「よし! 登るぞ!」
「その意気じゃ。頑張れ~」
リュウは自分を鼓舞すると、上を見ながら登り始める。
落ちたら絶対に怪我だけじゃ済まなそう高さにリュウは途中でビクビクしながらも、なるべく下を見ずにひたすら登っていく。
早くヒナやヨシと再会し、元の世界に帰るために、リュウは必死に上を目指して上へ上へと登り続けるのだった。
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