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23 追うものと逃げるもの
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「リュウくん! ヨシくんが追ってきてる!」
「え、うそ!? うわ! 本当だ!! しかも飛んできてる!!?」
振り返ると、ヨシが空を飛びながらリュウとヒナを追ってきていた。
「リュウ! ヒナちゃん! 待って!!」
「待てって言われて待つやつがいるかよ!」
ヒナがスピードを上げて飛ぶも、ヨシも同じくらいかそれ以上のスピードでこちらに向かってくる。
ヒナもヨシのほうがビョードーの魔法の力で上手なことをわかっているのか、わざと蛇行したりスピードを落としたりして予想できない動きをして、ヨシの手から逃れていた。
「うわぁあああああ! ヒナ、ちょっとたんま! もう無理! お願いだから、もうちょっと加減してくれー!!」
「なーに言ってるの! 加減したらヨシくんに捕まっちゃうでしょ!」
「うわぁあああああぁ、だからってぇぇえええ!!」
右に左に上に下に。
たまにくるっと回転もしながら追ってくるヨシを避けるヒナ。
ただ、こうした動きが苦手なリュウからしたら失神しそうなほどの恐怖だった。
「無理無理無理無理! ちょっと一回地面に降ろして!!」
「無理よ、そんなの。リュウくん頑張って耐えて!」
「そんなぁ! もう無理無理無理、耐えられないぃぃぃいいいいい~~!!!」
気持ち悪さがせりあがってきて、今にも口から何かを出しそうになりながら必死にこらえるリュウ。
ヒナは暴れるリュウをどうにかなだめながらも、このあとどうするかを考えた。
けれど、ヨシがビョードーの側についてしまった今、2人にできることといえば逃げること以外何も方法がなかった。
「リュウ! ヒナちゃん! ボクと一緒にこの世界にいようよ!」
「嫌だ! 絶対に嫌だ! オレはこの世界なんかにずっといたくない!! 母さんも父さんもじーちゃんもばーちゃんも友達も……みんながいる元の世界に帰りたいんだ!」
リュウがそう叫んだ瞬間、目の前にヨシがいた。
ヒナが慌てて急ブレーキをかけて、ヨシにぶつかりそうになるのを防ぐ。
「ねぇ、どうして? この世界は最初はちょっと怖いかもしれないけど、争いのないいい世界だ! ボク達には特別な力もあるし、意地悪する人もいなければ、なんだって褒めてくれるし、みんな平等だ。いい国じゃないか!」
「そんなの、ヨシくんにとって都合がいいだけじゃない! 何でも平等ってそれはただ何も成長しないだけ! そんなのは嫌だし、私もリュウくんも元の世界に戻りたいのよ!!」
「2人は、2人はそうだよね……。悩みなんかないだろうし、ボクと違って何でも持ってる……っ!」
「何でそんなこと言うんだよ、ヨシ! ヨシだってヨシだけのいいところをいっぱい持ってるじゃないか! それに、オレ達親友だろ? 悩みがあるなら言えよ! オレ聞くから!!」
「うるさい! うるさいうるさい!! 何でも持ってて幸せなヤツに、ボクの何がわかるって言うんだ!!」
ヨシが頭を振りながら、叫ぶように大声を上げる。
その姿はとても痛々しかった。
「そうか、わかったよ。やっぱりビョードーさまの言う通り、ボク達はわかりあえないようだね。それなら、普通になっちゃえ!!」
「リュウくん、危ない!!」
ヨシがリュウに向かって魔法を放つ寸前、ヒナはリュウを城にある道の上にリュウを放った。
そして、代わりにヒナがヨシの放った魔法に当たると、ヒナは煙と共に人形に姿が変わってしまった。
「ヒナ!!」
「あ、ヒナちゃ……っ、ほら、ボクの言うことを聞かないからこうなるんだよ? さぁ、リュウ。次はキミだ!!」
人形になってしまったヒナをそっとヨシはポケットに入れると、そのままリュウのところにやってくる。
リュウは慌てて起き上がると、逃げるように走り出す。
「追いかけっこ? 今はボクだって足が速いんだよ、リュウ」
そう言うと、ヨシは特別な力でとてつもない速さで追いかけてくる。
そしてヨシが手を伸ばし、あともう少しで手が届き、捕まるといった瞬間にリュウの身体がカッと明るく光った。
「う、うわぁあああ! 目、目がぁあああ!! 眩しいぃぃぃぃ!!」
ビョードーの力を分けられたせいか、ヨシはあまりの光の強さに反応し、ビョードーと同じくらい大声を上げながら両手で目を押さえる。
「見えない、見えないよぉおお!!」
「ごめんな、ヨシ!」
あまりにつらそうな悲鳴に、リュウは申し訳なく思いながらも、その隙に走って逃げ出す。
そして、透明になっている間にどこか見つけられない場所に隠れようと、隠れ場所を必死になって探すのだった。
「え、うそ!? うわ! 本当だ!! しかも飛んできてる!!?」
振り返ると、ヨシが空を飛びながらリュウとヒナを追ってきていた。
「リュウ! ヒナちゃん! 待って!!」
「待てって言われて待つやつがいるかよ!」
ヒナがスピードを上げて飛ぶも、ヨシも同じくらいかそれ以上のスピードでこちらに向かってくる。
ヒナもヨシのほうがビョードーの魔法の力で上手なことをわかっているのか、わざと蛇行したりスピードを落としたりして予想できない動きをして、ヨシの手から逃れていた。
「うわぁあああああ! ヒナ、ちょっとたんま! もう無理! お願いだから、もうちょっと加減してくれー!!」
「なーに言ってるの! 加減したらヨシくんに捕まっちゃうでしょ!」
「うわぁあああああぁ、だからってぇぇえええ!!」
右に左に上に下に。
たまにくるっと回転もしながら追ってくるヨシを避けるヒナ。
ただ、こうした動きが苦手なリュウからしたら失神しそうなほどの恐怖だった。
「無理無理無理無理! ちょっと一回地面に降ろして!!」
「無理よ、そんなの。リュウくん頑張って耐えて!」
「そんなぁ! もう無理無理無理、耐えられないぃぃぃいいいいい~~!!!」
気持ち悪さがせりあがってきて、今にも口から何かを出しそうになりながら必死にこらえるリュウ。
ヒナは暴れるリュウをどうにかなだめながらも、このあとどうするかを考えた。
けれど、ヨシがビョードーの側についてしまった今、2人にできることといえば逃げること以外何も方法がなかった。
「リュウ! ヒナちゃん! ボクと一緒にこの世界にいようよ!」
「嫌だ! 絶対に嫌だ! オレはこの世界なんかにずっといたくない!! 母さんも父さんもじーちゃんもばーちゃんも友達も……みんながいる元の世界に帰りたいんだ!」
リュウがそう叫んだ瞬間、目の前にヨシがいた。
ヒナが慌てて急ブレーキをかけて、ヨシにぶつかりそうになるのを防ぐ。
「ねぇ、どうして? この世界は最初はちょっと怖いかもしれないけど、争いのないいい世界だ! ボク達には特別な力もあるし、意地悪する人もいなければ、なんだって褒めてくれるし、みんな平等だ。いい国じゃないか!」
「そんなの、ヨシくんにとって都合がいいだけじゃない! 何でも平等ってそれはただ何も成長しないだけ! そんなのは嫌だし、私もリュウくんも元の世界に戻りたいのよ!!」
「2人は、2人はそうだよね……。悩みなんかないだろうし、ボクと違って何でも持ってる……っ!」
「何でそんなこと言うんだよ、ヨシ! ヨシだってヨシだけのいいところをいっぱい持ってるじゃないか! それに、オレ達親友だろ? 悩みがあるなら言えよ! オレ聞くから!!」
「うるさい! うるさいうるさい!! 何でも持ってて幸せなヤツに、ボクの何がわかるって言うんだ!!」
ヨシが頭を振りながら、叫ぶように大声を上げる。
その姿はとても痛々しかった。
「そうか、わかったよ。やっぱりビョードーさまの言う通り、ボク達はわかりあえないようだね。それなら、普通になっちゃえ!!」
「リュウくん、危ない!!」
ヨシがリュウに向かって魔法を放つ寸前、ヒナはリュウを城にある道の上にリュウを放った。
そして、代わりにヒナがヨシの放った魔法に当たると、ヒナは煙と共に人形に姿が変わってしまった。
「ヒナ!!」
「あ、ヒナちゃ……っ、ほら、ボクの言うことを聞かないからこうなるんだよ? さぁ、リュウ。次はキミだ!!」
人形になってしまったヒナをそっとヨシはポケットに入れると、そのままリュウのところにやってくる。
リュウは慌てて起き上がると、逃げるように走り出す。
「追いかけっこ? 今はボクだって足が速いんだよ、リュウ」
そう言うと、ヨシは特別な力でとてつもない速さで追いかけてくる。
そしてヨシが手を伸ばし、あともう少しで手が届き、捕まるといった瞬間にリュウの身体がカッと明るく光った。
「う、うわぁあああ! 目、目がぁあああ!! 眩しいぃぃぃぃ!!」
ビョードーの力を分けられたせいか、ヨシはあまりの光の強さに反応し、ビョードーと同じくらい大声を上げながら両手で目を押さえる。
「見えない、見えないよぉおお!!」
「ごめんな、ヨシ!」
あまりにつらそうな悲鳴に、リュウは申し訳なく思いながらも、その隙に走って逃げ出す。
そして、透明になっている間にどこか見つけられない場所に隠れようと、隠れ場所を必死になって探すのだった。
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