318 / 443
5章【外交編・モットー国】
2 地形
しおりを挟む
「まさかここまでとは……。国によって地形が異なっているとはいえ」
「まぁ、コルジールも大概ですけどね。地形のおかげでマルダスの侵攻を抑えられているというのはありますし」
「……確かに」
「今回の場合は、それが悪いほうに作用しているということが厄介ですね。帝国が絡んでより面倒に、ってところでしょうか。モットーは完全に帝国側についたと言っても過言ではないので、そのつもりで行動せねばですね」
入り口は1つ。しかもそこは敵地。となると、誰にも見つからずに秘密裏に侵入せねばならない。
そして、船をどう着岸させるかも重要である。さすがに潜行するためにも船もバレないように停泊させねばならないが、その辺も一体どうするか。
忍ぶ、と考えたときアガ国の村の人達を思い出す。彼らはいわゆる忍者であり、傭兵でもあり、そういったことに長けていたが一体どうしていたかな、と思考を巡らす。
他国から雇われることもあると言っていたから、きっと船で出向くこともあるだろう。さすがに現在乗船してるものに比べたら小さいものだろうが、それであっても停泊及びその船を隠すことは至難の業であろう。
「うーん、崖……かぁ……」
崖地をうまく利用できないだろうか。確か、アガ国の人達は鉤を使って侵入していたような……。
(急遽、鉤を作るのは無理でも、鉤のような何か代替できるものはないだろうか)
鉤の形を考える。あれは先がカーブしていて、何かに引っ掛かる形状になっている。確か、振り回して武器としても使えると言っていたなぁ、と思ったときにハッと閃く。
「あ、ちょっと待ってていただけます?ちょっと思いついたので」
「何をだ?」
「侵入方法です!」
善は急げと、彼らの言葉を待つ前に部屋を飛び出し、向かった先は武器庫として使用していた船室だった。そして、船室に入ると武器が入っている箱を次々に開けていく。
「あった、これだわ」
とりあえず色々なものを入れておいたとアーシャが言っていたが、まさかここで役立つとは思わなかった。
前回サハリ国ではこういった武器は……、とブランシェから難色を示されたためほとんど持ち帰り状態だったのだが、サハリ国に置いてこなくてよかった。
ある意味幸運だったと感心しながらも、そのちょうどいい形状をした槍を持ち、自室へと向かう。
そして、ナイフで槍先を外し、先日マーラの件で切り裂いて置いたシーツを紐状にしてから先端に結びつけるとそれっぽい形になったように思う。
「うん、我ながら上出来」
思いのほか時間がかかってしまったので、待たせているみんなのところに慌てて戻る。
「お待たせしました」
「随分と時間がかかったな」
「すみません。でも、目的のものは作れました!」
「目的のもの?」
男達3人が不審そうな顔をする。私はその反応を尻目に作ってきた鉤縄を見せると、皆一様に眉を顰めるのだった。
「何だこれ」
「鉤縄です」
「カギナワ?そのカギナワとやらをどうするんだ」
「まぁ、見ててください」
そう言って船長室から出て、階下へと降りていく。彼らもつられて降りようとするのを、皆さんはそこにいてください、と制す。
そして、私は甲板へと降り、私が見上げるほどのちょっとした段差ができたところで「下がっててくださーい」と声をかけながら鉤縄をぐるぐると回して彼らのいる位置目掛けて放った。
「うぉ!あっぶねー!」
「……なんか、引っかかりました?」
「これでどうするつもりだ」
男3人が口々に話している。周りの船員達も興味をそそられたのか、私に視線が集まっているのがわかった。
「行きますよー」
引っかかりを確認したのち、船の壁をよいしょよいしょと登っていく。船長とヒューベルトは感心しているようだったが、明らかにクエリーシェルのみギョッとした表情だった。
私はそれに気づかないフリして登り終えると、よいしょ、と手摺りを乗り越えて彼らの前に立つ。
「とまぁ、こんな感じで登れます」
実際にやったデモンストレーションは思いのほか好評だったのか、背後から拍手喝采状態だった。
「まぁ、コルジールも大概ですけどね。地形のおかげでマルダスの侵攻を抑えられているというのはありますし」
「……確かに」
「今回の場合は、それが悪いほうに作用しているということが厄介ですね。帝国が絡んでより面倒に、ってところでしょうか。モットーは完全に帝国側についたと言っても過言ではないので、そのつもりで行動せねばですね」
入り口は1つ。しかもそこは敵地。となると、誰にも見つからずに秘密裏に侵入せねばならない。
そして、船をどう着岸させるかも重要である。さすがに潜行するためにも船もバレないように停泊させねばならないが、その辺も一体どうするか。
忍ぶ、と考えたときアガ国の村の人達を思い出す。彼らはいわゆる忍者であり、傭兵でもあり、そういったことに長けていたが一体どうしていたかな、と思考を巡らす。
他国から雇われることもあると言っていたから、きっと船で出向くこともあるだろう。さすがに現在乗船してるものに比べたら小さいものだろうが、それであっても停泊及びその船を隠すことは至難の業であろう。
「うーん、崖……かぁ……」
崖地をうまく利用できないだろうか。確か、アガ国の人達は鉤を使って侵入していたような……。
(急遽、鉤を作るのは無理でも、鉤のような何か代替できるものはないだろうか)
鉤の形を考える。あれは先がカーブしていて、何かに引っ掛かる形状になっている。確か、振り回して武器としても使えると言っていたなぁ、と思ったときにハッと閃く。
「あ、ちょっと待ってていただけます?ちょっと思いついたので」
「何をだ?」
「侵入方法です!」
善は急げと、彼らの言葉を待つ前に部屋を飛び出し、向かった先は武器庫として使用していた船室だった。そして、船室に入ると武器が入っている箱を次々に開けていく。
「あった、これだわ」
とりあえず色々なものを入れておいたとアーシャが言っていたが、まさかここで役立つとは思わなかった。
前回サハリ国ではこういった武器は……、とブランシェから難色を示されたためほとんど持ち帰り状態だったのだが、サハリ国に置いてこなくてよかった。
ある意味幸運だったと感心しながらも、そのちょうどいい形状をした槍を持ち、自室へと向かう。
そして、ナイフで槍先を外し、先日マーラの件で切り裂いて置いたシーツを紐状にしてから先端に結びつけるとそれっぽい形になったように思う。
「うん、我ながら上出来」
思いのほか時間がかかってしまったので、待たせているみんなのところに慌てて戻る。
「お待たせしました」
「随分と時間がかかったな」
「すみません。でも、目的のものは作れました!」
「目的のもの?」
男達3人が不審そうな顔をする。私はその反応を尻目に作ってきた鉤縄を見せると、皆一様に眉を顰めるのだった。
「何だこれ」
「鉤縄です」
「カギナワ?そのカギナワとやらをどうするんだ」
「まぁ、見ててください」
そう言って船長室から出て、階下へと降りていく。彼らもつられて降りようとするのを、皆さんはそこにいてください、と制す。
そして、私は甲板へと降り、私が見上げるほどのちょっとした段差ができたところで「下がっててくださーい」と声をかけながら鉤縄をぐるぐると回して彼らのいる位置目掛けて放った。
「うぉ!あっぶねー!」
「……なんか、引っかかりました?」
「これでどうするつもりだ」
男3人が口々に話している。周りの船員達も興味をそそられたのか、私に視線が集まっているのがわかった。
「行きますよー」
引っかかりを確認したのち、船の壁をよいしょよいしょと登っていく。船長とヒューベルトは感心しているようだったが、明らかにクエリーシェルのみギョッとした表情だった。
私はそれに気づかないフリして登り終えると、よいしょ、と手摺りを乗り越えて彼らの前に立つ。
「とまぁ、こんな感じで登れます」
実際にやったデモンストレーションは思いのほか好評だったのか、背後から拍手喝采状態だった。
0
あなたにおすすめの小説
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
【完結】婚約者なんて眼中にありません
らんか
恋愛
あー、気が抜ける。
婚約者とのお茶会なのにときめかない……
私は若いお子様には興味ないんだってば。
やだ、あの騎士団長様、素敵! 確か、お子さんはもう成人してるし、奥様が亡くなってからずっと、独り身だったような?
大人の哀愁が滲み出ているわぁ。
それに強くて守ってもらえそう。
男はやっぱり包容力よね!
私も守ってもらいたいわぁ!
これは、そんな事を考えているおじ様好きの婚約者と、その婚約者を何とか振り向かせたい王子が奮闘する物語……
短めのお話です。
サクッと、読み終えてしまえます。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
「結婚しよう」
まひる
恋愛
私はメルシャ。16歳。黒茶髪、赤茶の瞳。153㎝。マヌサワの貧乏農村出身。朝から夜まで食事処で働いていた特別特徴も特長もない女の子です。でもある日、無駄に見目の良い男性に求婚されました。何でしょうか、これ。
一人の男性との出会いを切っ掛けに、彼女を取り巻く世界が動き出します。様々な体験を経て、彼女達は何処へ辿り着くのでしょうか。
第一王女アンナは恋人に捨てられて
岡暁舟
恋愛
第一王女アンナは自分を救ってくれたロビンソンに恋をしたが、ロビンソンの幼馴染であるメリーにロビンソンを奪われてしまった。アンナのその後を描いてみます。「愛しているのは王女でなくて幼馴染」のサイドストーリーです。
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる