16 / 33
第十五話 やっぱりいたかぁ
しおりを挟む
「ちょっとトイレに行ってくる」
昼食を終えたあと、午後の授業の教室に移動する前に済ませてしまおうと、席を立つオフェリア。
「いってらっしゃいませ。お気をつけて」
「オフェリア大丈夫? ついて行こうか?」
「ダメに決まってるでしょ」
毎度お馴染みのやり取りをして、オフェリアは「ちょっと待ってて。すぐ戻るから」とリアムに言い、トイレに入る。
(はぁ。トイレに入るのさえ一苦労だなんて)
オフェリアにとってトイレは、校舎内で唯一リアム達と離れる場所だ。なるべく自寮でことを済ませるようにしているが、さすがに一日ずっと我慢するわけにもいかず、数度ほど校舎内のトイレを使用している。
だが、毎度ながら気が抜けない。
というのも、トイレに入るたびにリアムの親衛隊からの嫌がらせをされるからだ。
それの対処をするべく、オフェリアは魔法防壁と反射魔法を身につけて個室に入った。
(よし。今日は個室で水かけられたり閉じ込められたりはなさそう。あとは個室を出て手洗いを済ませるだけ)
どうか親衛隊がいませんように、と望み薄な期待をしつつ個室を出る。
そして、手洗いを済ませ、トイレから出ようとしたタイミングで親衛隊のメンバーがずらっとオフェリアを囲んだ。
(やっぱりいたかぁ)
今までトイレを狙われなかったことがないのだが、ことごとく返り討ちにしているのに性懲りもなくまたきたのかと呆れる。
次はどんな手で来るのだろうかと身構えながら、オフェリアは「どいてもらえる?」と一応交渉してみた。
「は? なぜ?」
「なぜって、トイレから出たいだけだけど」
「出たあとにまたリアム様に付き纏うんでしょう?」
「別に、私が付き纏ってるわけじゃないし」
事実を言っただけなのに、キッと一気に吊り上がる彼女達の目。どうやら彼女達の癪に障ってしまったらしい。
「だったら、リアム様が自らあんたなんかにくっついてるって言いたいわけ!?」
「ふざけるのもいい加減にしなさいよっ」
(ふざけてないし、事実なんだけど)
ヒートアップする親衛隊の面々。
トイレから出たいと言っただけで勝手に憤って難癖をつけられて、オフェリアはどうすればよかったのかと考えるも、多分どうしようもなかったなと考えるのを諦めた。
(どうせ、何を言ってもキレられるだけだしな)
オフェリアが例え彼女達の言動を迎合しても拒絶しても、返ってくるのは怒りだということはわかっている。
恐らく、常にリアムのそばにいるオフェリアの一挙手一投足の全てが気に食わないのだろう。
(文句なら、私じゃなくてリアム本人に言えばいいのに)
リアムに気に入られたい彼女達がそんなこと絶対に言わないのはわかっていたが、思わずにはいられなかった。
そもそもリアムがくっついているのは不可抗力である。彼を悪の帝王にしないための条件だというのだから、任務完了のためにも必要なことだし、彼を守る意味でも一緒にいることは意味があった。
(そんなこと言ったところで信じてもらえないだろうし、どうせ『都合のいいこと言って』と一蹴されるだけだろうけど)
だから彼女達にこの事実を伝えるつもりはないが、それにしても毎回こうも絡まれると面倒なのも事実だった。
「とにかく、このあと授業があるんだからそこをどいてほしいんだけど」
「嫌だと言ったら?」
「……この前みたいに実力行使せざるを得なくなるけど?」
「それはどうかしら?」
親衛隊の一人がニヤッと笑う。
すると、突然背後にある個室から勢いよくドアが開いた。
「っ!?」
振り返ると、個室から出てきたらしい生徒がそのままオフェリアに近づいてくる。そして、勢いよく何かをかけてきた。
「な、何!?」
顔にかからないようにするのがせいぜいで、どうにか避けようとするも身体にかかる液体。
背後の個室は盲点だったと後悔するも、後の祭りだった。
「ふふっ、いい気味」
「一体何をしたの……っ!?」
「ちょっと試作の透明薬を使っただけよ」
「透明薬!? 私を透明にして、貴女達に何のメリットがあるのよ」
オフェリアを透明にしたところで、彼女がトイレから出てこなかったらリアムは不審に思うだろう。親衛隊達の意図が読めず、オフェリアは困惑した。
「それ、認識阻害も入ってるの。それからこれが……」
親衛隊の一人が新たな魔法薬をオフェリアに見せびらかすように晒す。
「言霊の薬」
「言霊の薬!? それって禁止魔法薬でしょう!」
言霊の薬とは変心魔法と同等の効果があり、言ったことを相手に信じさせることができるものだ。
どうして彼女達がそんなものを持っているのかも気になったが、今はそれどころではなかった。
「変心魔法を使ってる貴女に言われたくないわ」
「リアムくんだけじゃなく、ジャスパーくんまで誑かそうとするなんて許せないもの」
(あぁ、個室に入ってた生徒はジャスパーの彼女の一人だったのか)
つい親衛隊の気配ばかりに気を取られていて、そちらの行動には気づかなかったと歯噛みする。ここまで手の込んだことをすると思っていなかったオフェリアは、ジャスパーの周りまでは気が回っていなかった。
(エージェントとして失格すぎる)
一度ならず二度も謀られるだなんて言語道断だと焦るも、今更どうしようもなかった。徐々に消えていく身体。
さらに声まで掻き消えていくことに気づいて、オフェリアは衝撃を受けた。
「……っ! ~~~~っ!!」
「あはは、ざまぁ」
「せいぜい、大人しく私達とリアム様との仲睦まじい姿を指を咥えながら見ていることね」
親衛隊の面々はそう言うと言霊の薬が入った瓶を呷った。
そして、「では、ご機嫌よう」と人の悪い笑みを浮かべるとそのままトイレから出ていった。
「(待って!)」
オフェリアが声を出すも声にならず。
彼女達を追いかけるようにオフェリアがトイレから出ると、リアムが「オフェリアを見なかった?」と親衛隊のメンバーに聞いているのが見えた。
「クラウンさんは体調不良で自室へと戻るって言ってましたよ」
「そうなんだ。教えてくれてありがとう」
リアムがそのままオフェリアを待とうとするのを、親衛隊達が囲む。そのまま彼女達はリアムの腕に絡みついた。
「だから、リアムくんは気にしないで私達と一緒に授業を受けてって言ってました」
「ジャスパーくんも、私と一緒に行きましょう?」
「……そうか。じゃあ、行こうか」
「……そうですね、行きましょうか」
言霊の薬の効果か、リアムは不思議がる様子もなくそのまま親衛隊達を腕に絡ませたまま共に移動教室へと向かう。ジャスパーも、彼女と腕を組んでリアムと共に向かって行ってしまった。
(どうしよう……っ!)
透明な上に認識阻害まで付与されてしまったせいで、恐らくこの魔法薬が切れるまでオフェリアは誰にも気づかれることはないだろう。
だが、そもそも先程の魔法薬の効果がいつまで続くのか全くわからない。
そのため、どう対処すればよいのかもわからなかった。
(とにかく、なんとかしないと)
オフェリアはとりあえず、このままここにいても仕方ないと自寮へと戻ることにする。
(何か手立てがあるといいんだけど。一生このままだったら任務どころじゃない。でもきっと大丈夫よ、オフェリア。何か方法はあるはず)
一人で心細くなりながらも、オフェリアは気丈にしながら自分を鼓舞し、自寮へと急ぐのだった。
昼食を終えたあと、午後の授業の教室に移動する前に済ませてしまおうと、席を立つオフェリア。
「いってらっしゃいませ。お気をつけて」
「オフェリア大丈夫? ついて行こうか?」
「ダメに決まってるでしょ」
毎度お馴染みのやり取りをして、オフェリアは「ちょっと待ってて。すぐ戻るから」とリアムに言い、トイレに入る。
(はぁ。トイレに入るのさえ一苦労だなんて)
オフェリアにとってトイレは、校舎内で唯一リアム達と離れる場所だ。なるべく自寮でことを済ませるようにしているが、さすがに一日ずっと我慢するわけにもいかず、数度ほど校舎内のトイレを使用している。
だが、毎度ながら気が抜けない。
というのも、トイレに入るたびにリアムの親衛隊からの嫌がらせをされるからだ。
それの対処をするべく、オフェリアは魔法防壁と反射魔法を身につけて個室に入った。
(よし。今日は個室で水かけられたり閉じ込められたりはなさそう。あとは個室を出て手洗いを済ませるだけ)
どうか親衛隊がいませんように、と望み薄な期待をしつつ個室を出る。
そして、手洗いを済ませ、トイレから出ようとしたタイミングで親衛隊のメンバーがずらっとオフェリアを囲んだ。
(やっぱりいたかぁ)
今までトイレを狙われなかったことがないのだが、ことごとく返り討ちにしているのに性懲りもなくまたきたのかと呆れる。
次はどんな手で来るのだろうかと身構えながら、オフェリアは「どいてもらえる?」と一応交渉してみた。
「は? なぜ?」
「なぜって、トイレから出たいだけだけど」
「出たあとにまたリアム様に付き纏うんでしょう?」
「別に、私が付き纏ってるわけじゃないし」
事実を言っただけなのに、キッと一気に吊り上がる彼女達の目。どうやら彼女達の癪に障ってしまったらしい。
「だったら、リアム様が自らあんたなんかにくっついてるって言いたいわけ!?」
「ふざけるのもいい加減にしなさいよっ」
(ふざけてないし、事実なんだけど)
ヒートアップする親衛隊の面々。
トイレから出たいと言っただけで勝手に憤って難癖をつけられて、オフェリアはどうすればよかったのかと考えるも、多分どうしようもなかったなと考えるのを諦めた。
(どうせ、何を言ってもキレられるだけだしな)
オフェリアが例え彼女達の言動を迎合しても拒絶しても、返ってくるのは怒りだということはわかっている。
恐らく、常にリアムのそばにいるオフェリアの一挙手一投足の全てが気に食わないのだろう。
(文句なら、私じゃなくてリアム本人に言えばいいのに)
リアムに気に入られたい彼女達がそんなこと絶対に言わないのはわかっていたが、思わずにはいられなかった。
そもそもリアムがくっついているのは不可抗力である。彼を悪の帝王にしないための条件だというのだから、任務完了のためにも必要なことだし、彼を守る意味でも一緒にいることは意味があった。
(そんなこと言ったところで信じてもらえないだろうし、どうせ『都合のいいこと言って』と一蹴されるだけだろうけど)
だから彼女達にこの事実を伝えるつもりはないが、それにしても毎回こうも絡まれると面倒なのも事実だった。
「とにかく、このあと授業があるんだからそこをどいてほしいんだけど」
「嫌だと言ったら?」
「……この前みたいに実力行使せざるを得なくなるけど?」
「それはどうかしら?」
親衛隊の一人がニヤッと笑う。
すると、突然背後にある個室から勢いよくドアが開いた。
「っ!?」
振り返ると、個室から出てきたらしい生徒がそのままオフェリアに近づいてくる。そして、勢いよく何かをかけてきた。
「な、何!?」
顔にかからないようにするのがせいぜいで、どうにか避けようとするも身体にかかる液体。
背後の個室は盲点だったと後悔するも、後の祭りだった。
「ふふっ、いい気味」
「一体何をしたの……っ!?」
「ちょっと試作の透明薬を使っただけよ」
「透明薬!? 私を透明にして、貴女達に何のメリットがあるのよ」
オフェリアを透明にしたところで、彼女がトイレから出てこなかったらリアムは不審に思うだろう。親衛隊達の意図が読めず、オフェリアは困惑した。
「それ、認識阻害も入ってるの。それからこれが……」
親衛隊の一人が新たな魔法薬をオフェリアに見せびらかすように晒す。
「言霊の薬」
「言霊の薬!? それって禁止魔法薬でしょう!」
言霊の薬とは変心魔法と同等の効果があり、言ったことを相手に信じさせることができるものだ。
どうして彼女達がそんなものを持っているのかも気になったが、今はそれどころではなかった。
「変心魔法を使ってる貴女に言われたくないわ」
「リアムくんだけじゃなく、ジャスパーくんまで誑かそうとするなんて許せないもの」
(あぁ、個室に入ってた生徒はジャスパーの彼女の一人だったのか)
つい親衛隊の気配ばかりに気を取られていて、そちらの行動には気づかなかったと歯噛みする。ここまで手の込んだことをすると思っていなかったオフェリアは、ジャスパーの周りまでは気が回っていなかった。
(エージェントとして失格すぎる)
一度ならず二度も謀られるだなんて言語道断だと焦るも、今更どうしようもなかった。徐々に消えていく身体。
さらに声まで掻き消えていくことに気づいて、オフェリアは衝撃を受けた。
「……っ! ~~~~っ!!」
「あはは、ざまぁ」
「せいぜい、大人しく私達とリアム様との仲睦まじい姿を指を咥えながら見ていることね」
親衛隊の面々はそう言うと言霊の薬が入った瓶を呷った。
そして、「では、ご機嫌よう」と人の悪い笑みを浮かべるとそのままトイレから出ていった。
「(待って!)」
オフェリアが声を出すも声にならず。
彼女達を追いかけるようにオフェリアがトイレから出ると、リアムが「オフェリアを見なかった?」と親衛隊のメンバーに聞いているのが見えた。
「クラウンさんは体調不良で自室へと戻るって言ってましたよ」
「そうなんだ。教えてくれてありがとう」
リアムがそのままオフェリアを待とうとするのを、親衛隊達が囲む。そのまま彼女達はリアムの腕に絡みついた。
「だから、リアムくんは気にしないで私達と一緒に授業を受けてって言ってました」
「ジャスパーくんも、私と一緒に行きましょう?」
「……そうか。じゃあ、行こうか」
「……そうですね、行きましょうか」
言霊の薬の効果か、リアムは不思議がる様子もなくそのまま親衛隊達を腕に絡ませたまま共に移動教室へと向かう。ジャスパーも、彼女と腕を組んでリアムと共に向かって行ってしまった。
(どうしよう……っ!)
透明な上に認識阻害まで付与されてしまったせいで、恐らくこの魔法薬が切れるまでオフェリアは誰にも気づかれることはないだろう。
だが、そもそも先程の魔法薬の効果がいつまで続くのか全くわからない。
そのため、どう対処すればよいのかもわからなかった。
(とにかく、なんとかしないと)
オフェリアはとりあえず、このままここにいても仕方ないと自寮へと戻ることにする。
(何か手立てがあるといいんだけど。一生このままだったら任務どころじゃない。でもきっと大丈夫よ、オフェリア。何か方法はあるはず)
一人で心細くなりながらも、オフェリアは気丈にしながら自分を鼓舞し、自寮へと急ぐのだった。
0
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています
鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。
けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。
指示を出さない。
判断を奪わない。
必要以上に関わらない。
「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。
それなのに――
いつの間にか屋敷は落ち着き、
使用人たちは迷わなくなり、
人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。
誰かに依存しない。
誰かを支配しない。
それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。
必要とされなくてもいい。
役に立たなくてもいい。
それでも、ここにいていい。
これは、
「何もしない」ことで壊れなかった関係と、
「奪わない」ことで続いていった日常を描く、
静かでやさしい結婚生活の物語。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる