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第一章 結婚
第十九話 ToDoリスト
「ドレスと小物の用意はジュダさんに頼んだから大丈夫でしょ。それからメイクも依頼したし、パーティー関連の人にもある程度根回しも済んでる。んー、あと他にやることあったっけ……?」
パーティー参加に向け、ToDoリストのチェックをするシア。
先日ジュダに依頼したドレスはパーティーの前週までには完成予定で、完成したら家まで届けてくれるとのこと。
ドレスは今回のToDoリストの中でも高難易度のものだったので、それが片付いてとりあえずホッとする。
しかも、合わせて小物を用意してくれるとのことで、ジュダには感謝してもしきれないほど大助かりだった。
(引き渡しの際に何か御礼の気持ちとして用意したほうがいいわよね。好みとかもあるだろうし、消え物がいいかしら。……従業員の方全員の分となると一体いくつ必要なんだろう)
あのときいたであろう従業員の人数を思い出しながら数える。とにかくたくさんいたはずだが、さすがに正確に何人かは思い出せないため、どうしようと頭を抱えていたときだった。
「シア」
不意に呼ばれて振り返ると、そこには不機嫌そうな顔で立っているレオナルド。
今日は書類を片付けるとのことでレオナルドは在宅なのだが、わざわざ自分の部屋に仕事の合間にレオナルドが来るとは思わず、シアは慌ててToDoリストをしまう。
シアのその様子に、レオナルドはなぜかさらに不機嫌さを濃くした。
(思考に集中していて気配に全然気づかなかった)
ToDoリスト以外にパーティー関連の手紙やメモ書きを隠しながら、慌てて立ち上がる。
そして、なるべくレオナルドが部屋に入らないように自ら彼のそばに近寄った。
「どうしました? 私の部屋にいらっしゃるのは珍しいですね。昼食にはまだ早いと思いますが、何かご用ですか? もしかして、小腹でも空きましたか? あぁ、それともお茶のおかわりでしょうか?」
つい焦って饒舌になってしまう。
一応おやつやらお茶やらは様子を見計らって出していたのだが、足りなかっただろうかと思いながら声をかけると、「いや、そうじゃない」との返答。
だったら何の用事だろう、と考えるも思い当たることは何もなくて、シアはますます焦った。
「えーっと、では、何かお手伝いするようなことがあるとか……?」
「ない。だが、話がある」
「話、ですか? 何でしょう。今すぐにしたほうがよい話でしょうか?」
「あぁ」
レオナルドの思い詰めたような様子に、ただならぬ何かがあったのかと不安になる。
(今すぐにしなければいけない話ってなんだろう)
とにかく立ち話でする話ではなさそうだと、レオナルドに自室のソファへ腰かけるよう促す。彼がソファに座ったあと、シアも彼の隣に腰かけた。
「それで、お話とは?」
「……何か私に隠しごとをしていないか? 最近、何やら手紙がさらに増えたり外出が増えたりしているようだが」
レオナルドの指摘にギクッと身体が固まる。
(何でバレてるの)
シアがパーティーに合わせて忙しくしていたのは事実だ。
パーティーに関しての依頼やレオナルド説得のための根回しのため、普段よりも多く手紙のやり取りと外出していた。
けれど、いずれもレオナルドに気づかれぬよう彼がいない間にやっていたはずなのに、何でバレているんだと冷や汗が出るシア。
(勘付かれる要素あったっけ? 手紙も外出もレオナルドさんが視察している間に済ませてたのに)
バレないようにわざわざ早起きして家事を済ませてから準備や外出していたのに、まさか気づかれるとは思わず、あの努力の意味とはと打ちひしがれる。
自分では隠し通せているつもりなのにバレていたことにショックではあるが、とりあえずそんなことよりも今はとにかく言い訳を何か考えなければと頭をフル回転させた。
「えーっと、ですね……それは、ですね……」
いい言い訳が出てこなくてしどろもどろになる。これではただ墓穴を掘るだけだ、どうしようとシアが焦りながら二の句を探すもすぐには出てこなかった。
(あぁ、どうしよう。これはどこからどう見ても挙動不審)
いっそ本当のことを言ってしまおうか、そう思ったときだった。
「浮気しているのか?」
「………………はい? 今、何とおっしゃいました?」
言葉を理解しようとフリーズすること数秒。瞬きしながらシアは脳内でレオナルドの言葉を反芻したが理解できずに聞き返す。
「不貞をしているのか、と聞いた」
「えぇ!? ふ、ふふふふふ、不貞ですか!?」
やっと彼の言葉を理解するも、あまりに想定外の言葉で思わず声が裏返る。まさかレオナルドに不貞を疑われてるとは思わなくて、つい大きな声が出てしまった。
「どうなんだ?」
「いえいえいえいえ! 断じて違いますっ!!」
「本当か?」
「本当です本当です! 神に誓ってそういった行為はしてないと断言できますっ! そもそも、こんなに背丈の高くて気が強くてお節介焼きな女を相手にする男性がいるとお思いですか!? 相手にされてたらこの年まで私が未婚なわけがないでしょう!」
途中で自虐な主張をしながらも、必死にレオナルドにしがみついて無実を訴えるシア。
だが、シアの言葉に未だ訝しむ様子のレオナルド。どうやらここまで言ってもまだ疑っているらしい。
(あーもう。このまま隠してても埒があかない! 背に腹はかえられないし、言うなら今しかないっ)
本来はもう少し準備を整えてから言うつもりであったが、下手に隠しだてして拗れてしまったら本末転倒である。
そのため、シアは仕方なく今交渉することにした。
パーティー参加に向け、ToDoリストのチェックをするシア。
先日ジュダに依頼したドレスはパーティーの前週までには完成予定で、完成したら家まで届けてくれるとのこと。
ドレスは今回のToDoリストの中でも高難易度のものだったので、それが片付いてとりあえずホッとする。
しかも、合わせて小物を用意してくれるとのことで、ジュダには感謝してもしきれないほど大助かりだった。
(引き渡しの際に何か御礼の気持ちとして用意したほうがいいわよね。好みとかもあるだろうし、消え物がいいかしら。……従業員の方全員の分となると一体いくつ必要なんだろう)
あのときいたであろう従業員の人数を思い出しながら数える。とにかくたくさんいたはずだが、さすがに正確に何人かは思い出せないため、どうしようと頭を抱えていたときだった。
「シア」
不意に呼ばれて振り返ると、そこには不機嫌そうな顔で立っているレオナルド。
今日は書類を片付けるとのことでレオナルドは在宅なのだが、わざわざ自分の部屋に仕事の合間にレオナルドが来るとは思わず、シアは慌ててToDoリストをしまう。
シアのその様子に、レオナルドはなぜかさらに不機嫌さを濃くした。
(思考に集中していて気配に全然気づかなかった)
ToDoリスト以外にパーティー関連の手紙やメモ書きを隠しながら、慌てて立ち上がる。
そして、なるべくレオナルドが部屋に入らないように自ら彼のそばに近寄った。
「どうしました? 私の部屋にいらっしゃるのは珍しいですね。昼食にはまだ早いと思いますが、何かご用ですか? もしかして、小腹でも空きましたか? あぁ、それともお茶のおかわりでしょうか?」
つい焦って饒舌になってしまう。
一応おやつやらお茶やらは様子を見計らって出していたのだが、足りなかっただろうかと思いながら声をかけると、「いや、そうじゃない」との返答。
だったら何の用事だろう、と考えるも思い当たることは何もなくて、シアはますます焦った。
「えーっと、では、何かお手伝いするようなことがあるとか……?」
「ない。だが、話がある」
「話、ですか? 何でしょう。今すぐにしたほうがよい話でしょうか?」
「あぁ」
レオナルドの思い詰めたような様子に、ただならぬ何かがあったのかと不安になる。
(今すぐにしなければいけない話ってなんだろう)
とにかく立ち話でする話ではなさそうだと、レオナルドに自室のソファへ腰かけるよう促す。彼がソファに座ったあと、シアも彼の隣に腰かけた。
「それで、お話とは?」
「……何か私に隠しごとをしていないか? 最近、何やら手紙がさらに増えたり外出が増えたりしているようだが」
レオナルドの指摘にギクッと身体が固まる。
(何でバレてるの)
シアがパーティーに合わせて忙しくしていたのは事実だ。
パーティーに関しての依頼やレオナルド説得のための根回しのため、普段よりも多く手紙のやり取りと外出していた。
けれど、いずれもレオナルドに気づかれぬよう彼がいない間にやっていたはずなのに、何でバレているんだと冷や汗が出るシア。
(勘付かれる要素あったっけ? 手紙も外出もレオナルドさんが視察している間に済ませてたのに)
バレないようにわざわざ早起きして家事を済ませてから準備や外出していたのに、まさか気づかれるとは思わず、あの努力の意味とはと打ちひしがれる。
自分では隠し通せているつもりなのにバレていたことにショックではあるが、とりあえずそんなことよりも今はとにかく言い訳を何か考えなければと頭をフル回転させた。
「えーっと、ですね……それは、ですね……」
いい言い訳が出てこなくてしどろもどろになる。これではただ墓穴を掘るだけだ、どうしようとシアが焦りながら二の句を探すもすぐには出てこなかった。
(あぁ、どうしよう。これはどこからどう見ても挙動不審)
いっそ本当のことを言ってしまおうか、そう思ったときだった。
「浮気しているのか?」
「………………はい? 今、何とおっしゃいました?」
言葉を理解しようとフリーズすること数秒。瞬きしながらシアは脳内でレオナルドの言葉を反芻したが理解できずに聞き返す。
「不貞をしているのか、と聞いた」
「えぇ!? ふ、ふふふふふ、不貞ですか!?」
やっと彼の言葉を理解するも、あまりに想定外の言葉で思わず声が裏返る。まさかレオナルドに不貞を疑われてるとは思わなくて、つい大きな声が出てしまった。
「どうなんだ?」
「いえいえいえいえ! 断じて違いますっ!!」
「本当か?」
「本当です本当です! 神に誓ってそういった行為はしてないと断言できますっ! そもそも、こんなに背丈の高くて気が強くてお節介焼きな女を相手にする男性がいるとお思いですか!? 相手にされてたらこの年まで私が未婚なわけがないでしょう!」
途中で自虐な主張をしながらも、必死にレオナルドにしがみついて無実を訴えるシア。
だが、シアの言葉に未だ訝しむ様子のレオナルド。どうやらここまで言ってもまだ疑っているらしい。
(あーもう。このまま隠してても埒があかない! 背に腹はかえられないし、言うなら今しかないっ)
本来はもう少し準備を整えてから言うつもりであったが、下手に隠しだてして拗れてしまったら本末転倒である。
そのため、シアは仕方なく今交渉することにした。
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