11 / 16
10 連絡
しおりを挟む
早希は本人曰く、軽度の発達障害があるらしい。見た目じゃわからないけど、人の心を察するのが苦手で、相手が嫌なこととかを言ってしまうときがあるらしい。
そんなこと私にもあるよ、とも思ったけど、病状には色々あるらしくて、あえて詳しく聞くのはやめておいた。
そして、彼女は現在図書館の司書ではなく、非正規の司書補として働いているらしい。司書には実務経験3年必要らしく、それが終わったら司書になるための講習を受けて試験を受けなくてはいけないそうだ。
とはいえ、司書の仕事は狭き門らしく、ほとんどの人が非正規雇用で薄給で、なかなか1人で食べていくには大変だということをこぼしていた。
私は働きさえすればお金が貰えると思っていたけれど、そうか、確かに正規非正規や業種によって金額も全然違うし、求められることも違うことに気づいて、ちょっとだけまた不安が押し寄せてきた。
(でも、まずは勉強に専念しないと)
働くためには、自分で生きていくためには、とりあえず稼ぐ方法を見つけなければならない。そのためのスタートラインに立つにはまずは勉強が必要だ。勉強をして資格を取って、そこで初めて就職活動ができる。
いや、勉強しなくても就職活動はできるだろうが、選択肢の幅としての意味で言ったら自分で選べるかどうかの差が出る。いくら稼ぐと言ってもなるべくだったら自分で選び、そこでやりがいを見出したいと思う。
(ほとんど早希の受け売りだけど)
早希とはいい距離感で付き合えていると思う。お互いに勉強する立場だから、邪魔をしない程度の連絡で、図書館に行ったらちょっと喋るくらいの良い関係。
同い年だから共通の話題もあって、今まで先が見えない不安でいっぱいだった感情が、少しずつ明るい方へ行っているのがわかる。お母さんにも最近は明るくて楽しそうね、と言われた。
(ちょっとずつレベルアップしていけばいい)
勉強も小学生の分野を終え、今は中学生の後半まできた。国語や理科、英語や社会などある程度覚えるだけなものは得意なのだが、数学は因数分解や√の計算が出てきて、ちょっと行き詰ってきている。
(数字って公式はあれどそれまでの計算する行程が苦手)
答えが1つというのは決まっているが、それに至るまでの過程がうまくいかない。お母さんにも手助けをしてもらおうとヘルプを出したが、お母さんも数学は苦手だったらしい。
こういうとこはお母さんに似てしまったんだなぁ、とつくづく思う。実際に得意分野は似ているし、好きな教科も一緒だ。
(遺伝なのか、環境なのか)
昔からお母さんの影響で映画は洋画をよく観たし、もちろんお母さんが通訳をしていたせいか吹き替えではなく字幕だった。そのおかげで英語はわりとできるほうである。
読書も元々お母さんの読み聞かせから、家にある本を読み込むようになったのがきっかけだし、大体私を構成する要素はお母さんの影響が大きい気がする。
(お父さんは、何が得意だったんだろう)
今更ながらお父さんのことはあんまり知らなかったことを思い出す。そういえばいつもお父さんはお仕事ばっかりで、あんまりかまってもらってなかった。
たまに出掛けるときはいっぱい遊んでくれてたけど、そういえばほとんど家にいなかったことに気づく。
(いなくなったら確かに寂しいけど、でも今も全然連絡ないしな)
病院で一度会ったっきり。新しい家族がいるから、とこちらから連絡を取るようなことはしなかったけど、それはそれでなんというか私ってお父さんにとってどうでも良かったのかな、とも思ってしまう。
(ダメダメ、すぐに悪いこと考えちゃう)
こういうときはつい早希に連絡を取ってしまう。お仕事中はなかなか返信がないけれど、お仕事終わりには必ず連絡をくれ、そして1日数回でも早希とやりとりするのが息抜きになっていた。
(返信早くくるといいなー)
そう思って待ってみたが、その日は待てど暮らせど返信はこなかった。
そんなこと私にもあるよ、とも思ったけど、病状には色々あるらしくて、あえて詳しく聞くのはやめておいた。
そして、彼女は現在図書館の司書ではなく、非正規の司書補として働いているらしい。司書には実務経験3年必要らしく、それが終わったら司書になるための講習を受けて試験を受けなくてはいけないそうだ。
とはいえ、司書の仕事は狭き門らしく、ほとんどの人が非正規雇用で薄給で、なかなか1人で食べていくには大変だということをこぼしていた。
私は働きさえすればお金が貰えると思っていたけれど、そうか、確かに正規非正規や業種によって金額も全然違うし、求められることも違うことに気づいて、ちょっとだけまた不安が押し寄せてきた。
(でも、まずは勉強に専念しないと)
働くためには、自分で生きていくためには、とりあえず稼ぐ方法を見つけなければならない。そのためのスタートラインに立つにはまずは勉強が必要だ。勉強をして資格を取って、そこで初めて就職活動ができる。
いや、勉強しなくても就職活動はできるだろうが、選択肢の幅としての意味で言ったら自分で選べるかどうかの差が出る。いくら稼ぐと言ってもなるべくだったら自分で選び、そこでやりがいを見出したいと思う。
(ほとんど早希の受け売りだけど)
早希とはいい距離感で付き合えていると思う。お互いに勉強する立場だから、邪魔をしない程度の連絡で、図書館に行ったらちょっと喋るくらいの良い関係。
同い年だから共通の話題もあって、今まで先が見えない不安でいっぱいだった感情が、少しずつ明るい方へ行っているのがわかる。お母さんにも最近は明るくて楽しそうね、と言われた。
(ちょっとずつレベルアップしていけばいい)
勉強も小学生の分野を終え、今は中学生の後半まできた。国語や理科、英語や社会などある程度覚えるだけなものは得意なのだが、数学は因数分解や√の計算が出てきて、ちょっと行き詰ってきている。
(数字って公式はあれどそれまでの計算する行程が苦手)
答えが1つというのは決まっているが、それに至るまでの過程がうまくいかない。お母さんにも手助けをしてもらおうとヘルプを出したが、お母さんも数学は苦手だったらしい。
こういうとこはお母さんに似てしまったんだなぁ、とつくづく思う。実際に得意分野は似ているし、好きな教科も一緒だ。
(遺伝なのか、環境なのか)
昔からお母さんの影響で映画は洋画をよく観たし、もちろんお母さんが通訳をしていたせいか吹き替えではなく字幕だった。そのおかげで英語はわりとできるほうである。
読書も元々お母さんの読み聞かせから、家にある本を読み込むようになったのがきっかけだし、大体私を構成する要素はお母さんの影響が大きい気がする。
(お父さんは、何が得意だったんだろう)
今更ながらお父さんのことはあんまり知らなかったことを思い出す。そういえばいつもお父さんはお仕事ばっかりで、あんまりかまってもらってなかった。
たまに出掛けるときはいっぱい遊んでくれてたけど、そういえばほとんど家にいなかったことに気づく。
(いなくなったら確かに寂しいけど、でも今も全然連絡ないしな)
病院で一度会ったっきり。新しい家族がいるから、とこちらから連絡を取るようなことはしなかったけど、それはそれでなんというか私ってお父さんにとってどうでも良かったのかな、とも思ってしまう。
(ダメダメ、すぐに悪いこと考えちゃう)
こういうときはつい早希に連絡を取ってしまう。お仕事中はなかなか返信がないけれど、お仕事終わりには必ず連絡をくれ、そして1日数回でも早希とやりとりするのが息抜きになっていた。
(返信早くくるといいなー)
そう思って待ってみたが、その日は待てど暮らせど返信はこなかった。
0
あなたにおすすめの小説
想い出は珈琲の薫りとともに
玻璃美月
ライト文芸
――珈琲が織りなす、家族の物語
バリスタとして働く桝田亜夜[ますだあや・25歳]は、短期留学していたローマのバルで、途方に暮れている二人の日本人男性に出会った。
ほんの少し手助けするつもりが、彼らから思いがけない頼み事をされる。それは、上司の婚約者になること。
亜夜は断りきれず、その上司だという穂積薫[ほづみかおる・33歳]に引き合わされると、数日間だけ薫の婚約者のふりをすることになった。それが終わりを迎えたとき、二人の間には情熱の火が灯っていた。
旅先の思い出として終わるはずだった関係は、二人を思いも寄らぬ運命の渦に巻き込んでいた。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
神楽囃子の夜
紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
ライト文芸
※第6回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
地元の夏祭りを訪れていた少年・狭野笙悟(さのしょうご)は、そこで見かけた幽霊の少女に一目惚れしてしまう。彼女が現れるのは年に一度、祭りの夜だけであり、その姿を見ることができるのは狭野ただ一人だけだった。
年を重ねるごとに想いを募らせていく狭野は、やがて彼女に秘められた意外な真実にたどり着く……。
四人の男女の半生を描く、時を越えた現代ファンタジー。
地味男はイケメン元総長
緋村燐
青春
高校一年になったばかりの灯里は、メイクオタクである事を秘密にしながら地味子として過ごしていた。
GW前に、校外学習の班の親交を深めようという事で遊園地に行くことになった灯里達。
お化け屋敷に地味男の陸斗と入るとハプニングが!
「なぁ、オレの秘密知っちゃった?」
「誰にも言わないからっ! だから代わりに……」
ヒミツの関係はじめよう?
*野いちごに掲載しているものを改稿した作品です。
野いちご様
ベリーズカフェ様
エブリスタ様
カクヨム様
にも掲載しています。
ハチミツ色の絵の具に溺れたい
桃本もも
青春
大学生になったばかりの梅若佐保には、ひとつだけ悔やんでも悔やみきれないことがあった。
高校で唯一仲良くしていた美術部の後輩、茜谷まほろが事故に遭うきっかけを作ってしまったことだ。
まほろは一命を取りとめたものの、意識不明がつづいている。
まほろがいない、無味乾燥な日々。
そんな佐保のもとに、入院しているはずのまほろが現れる。
「あたし、やりたいことがあって、先輩のところに来たんです」
意識だけの存在になったまほろとの、不思議なふたり暮らしがはじまる――
レプリカは、まだ見ぬ春に恋を知る。
朱宮あめ
青春
俯きそうになったら桜を探して。そうすれば、自然と顔を上げられるから――。
とある事情により、神奈川を出て栃木の高校に入学した汐風は、神社で無邪気な少女・桜に出会う。
桜との出会いをきっかけに、汐風は少しづつ変わっていく。
過去のトラウマと向き合い、学校で友だちと呼べるクラスメイトもできた汐風。
次第に桜に惹かれていくが、彼女は、ひとには言えないとても大きな〝秘密〟があった――。
「私、ふつうじゃないから」
「君は君だよ」
桜の秘密を知った汐風は、ショックを受けながらもじぶんなりの決断をする――。
◆
とあるトラウマを抱え、地元を捨てた孤独な少年
錦野汐風
×
ひとには言えない大きな秘密を抱えながらも、明るく生きる無邪気な少女
千鳥桜
ふたりは世界にひとつだけの花の下で、運命的な恋をする――。
※第8回ほっこりじんわり大賞【奨励賞】受賞作品。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる