『婚約破棄された令嬢、白い結婚で第二の人生始めます ~王太子ざまぁはご褒美です~』

鷹 綾

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第37話「王太子、失意の流刑」

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その知らせは、王都中に一斉に掲げられた。

> 【勅令】
第一王子アルヴィス殿下は、その素行と不敬の数々により、
王族の品位を損なったとして、王命により“辺境の地ルフォード”への永住を命ず。
以後、政治・軍務・外交すべての活動を禁ず。



王都の広場には、人々が集まり、口々に騒ぎ立てていた。

「ついに、あの王子が!」

「うちの店に来て金を払わずに出ていった話、今なら言える!」

「ざまぁみろ! ……いや、ほんとにざまぁ!」

「リオネッタ様が見たらどう思うかしらね?」

「いや、たぶん“あら、どうでもよくなりましたわ”って言いそう」

町の女たちが声をそろえて笑う。
かつて王太子に憧れていた者たちすら、今では完全に目を覚ましていた。

* * *

王宮・控えの間。
アルヴィスは、最後の荷をまとめながら、無言で立ち尽くしていた。

「ルフォード……よりによって、辺境中の辺境……!」

そこは雪に閉ざされる寒冷地。
貴族もいなければ、社交界もない。
あるのは、黙々と働く民と、凍えるような冬だけ。

「父上は、俺を殺すつもりか……」

彼は誰にも見送られることなく、王宮の裏口から出発した。
昔、栄光に包まれた乗馬パレードを行った同じ都で――
いま、見送る者は誰ひとりいなかった。

* * *

一方その頃、伯爵邸では――

「……勅令が出たようです。王太子殿下、ルフォードへの流刑が正式に」

ミーナが報告を終えると、リオネッタは紅茶のカップを静かに置いた。

「そう……ようやく“本当に終わった”のね」

「……よろしいんですか? もっと、こう……喜んだり?」

「ええ、もう十分よ。彼のことは、過去の一部。
 私の人生に必要なページだったけど……それ以上ではないから」

ミーナはリオネッタの横顔を見て、ふっと笑った。

「……やっぱり、王妃にはなってほしかったかも」

「その言葉は、クリス様に怒られてしまいそうですわね」

二人の間に、やさしい微笑みが広がった。

 遠く離れた寒空の下。
 かつての栄光にすがる者と、
 そのすべてを手放し、なお堂々と生きる者。

 ――勝者は誰か、もう言うまでもなかった。


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