婚約破棄されたので回復クッキーでスイーツ店始めました~義妹の阻害を解いて真の聖女覚醒、世界に甘い奇跡を~

鷹 綾

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第32話 帝国への旅立ちと、家族の時間

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第32話 帝国への旅立ちと、家族の時間

帝国アストリアへの招待が決まってから、ルヴェリア本店はさらに忙しくなっていた。

皇帝直々の祭典での菓子提供――それは、私のスイーツが世界最高峰の舞台に立つことを意味する。

準備は大規模だ。

特別な新商品を開発し、大量の輸出用スイーツを焼き、スタッフの教育も行う。

ライアンたちは、護衛だけでなく準備全般を手伝ってくれた。

娘のエリスも、工房で小さな手伝いをするようになった。

「ママ、帝国でお菓子食べる人、たくさん幸せになるね!」

エリスの言葉に、私は胸が温かくなった。

出発の朝。

ルヴェリアの街は、また大見送りで溢れた。

「アプローズさん、帝国でもがんばって!」

「聖女様の世界進出、応援してる!」

「エリスちゃんも、いい子でお留守番よ!」

エリスは、ライアンに抱かれて手を振っていた。

私は、馬車から皆に笑顔で答えた。

「みんな、ありがとう! 絶対に成功させて帰ってきます!」

護衛パーティー全員に加え、スタッフ数人も同行。

馬車隊は、十台を超える大規模なものになった。

旅は十日間。

帝国アストリアは遠く、道中は山岳地帯や広大な平原を越える。

夜の野営で、家族の時間が多かった。

エリスは、私とライアンの間に座り、星を見上げて質問する。

「パパ、帝国ってどんなとこ?」

ライアンが、優しく答えた。

「大きな国だよ。強い冒険者もたくさんいる。お母さんの菓子で、みんなを幸せにするんだ」

エリスが、私の手を握った。

「ママ、僕も一緒に作りたい」

私は、娘を抱きしめた。

「もちろん。大きくなったら、一緒にね」

ライアンが、私の肩を抱いた。

「家族で、世界を甘くするんだ」

道中、エレナたちがエリスを遊ばせてくれた。

ガレンが、帝国の地図を広げて説明。

ミラが、癒やしの歌を歌ってくれた。

カイルが、剣の技を見せてエリスを喜ばせた。

家族の時間は、旅の疲れを癒やした。

七日目の夜、平原の野営地。

焚き火を囲んで、皆が未来を語り合った。

エレナが、言った。

「帝国の次は、どの国? 大陸全部制覇しちゃう?」

ガレンが、笑った。

「経済的に可能だ。売上はもう、国家予算並みだぞ」

ミラが、優しく言った。

「でも、アプローズの幸せが一番よ」

私は、皆を見回した。

「みんながいるから、幸せ。帝国で成功したら、もっと大きな店を、家族みんなで」

ライアンが、私とエリスを抱き寄せた。

「約束だ」

エリスが、眠そうに言った。

「ママ、パパ、エリス、ずっと一緒」

星空の下、家族の絆が深まった。

帝国への旅立ちは、穏やかで温かかった。

過去の影――レグナム王子の噂も、遠く感じる。

私の人生は、家族と仲間で満ちている。

帝国アストリアの門が、ゆっくり近づいてくる。

世界への広がりが、本格的に始まる。

甘い奇跡は、永遠に続く。

家族の時間は、私の最大の宝物。

帝国の風が、優しく感じられた。

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