婚約破棄された令嬢の華麗なる逆転劇 ~王太子の後悔と私の新しい恋~」

鷹 綾

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第26話: 暴露の瞬間と大スキャンダル

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第26話: 暴露の瞬間と大スキャンダル

王宮の大ホールは、重苦しい空気に包まれていた。予定されていた結婚式は中止され、代わりに真相究明の場となった。貴族たちが席に着き、衛兵が周囲を固める中、アルトゥーラが拘束された姿で中央に立たされた。彼女の顔は蒼白で、目は腫れ、かつての美しい聖女の面影はほとんどない。

ルークス殿下は玉座に座り、側近が調査結果を読み上げ終えた後、静かに立ち上がった。

「アルトゥーラ、お前の罪は重い。偽りの癒しの力で王国を欺き、王太子である俺を騙し、さらにはエルカミーノの店に対する妨害行為を繰り返した」

アルトゥーラは膝をつき、必死にすがった。

「殿下……違うんです! 私はただ、殿下を愛していただけで……」

しかし、ルークス殿下の目は冷たい。

「愛? お前は権力を欲しただけだ。証拠はすべて揃っている」

私はガーラミオ様の隣から立ち上がり、静かに中央へ進んだ。貴族たちの視線が集中する中、証拠の箱をテーブルに置いた。

「殿下、皆様。ここに、アルトゥーラの癒しの力が偽物である決定的な証拠があります」

側近が箱を開け、中身を一つずつ取り出す。まず、アルトゥーラの指輪と同型の偽物指輪。次に、薬草の瓶と粉末。最後に、製作者の証言書と鑑定書。

私は淡々と説明を始めた。

「この指輪は、魔法石に人工的な光を仕込み、薬草粉末を反応させて輝かせる仕組みです。本物の癒しの魔法は微弱で、ほとんど効果がありません。こちらの瓶で調合を再現してみせましょう」

衛兵が用意したテーブルで、私は前世の知識を活かし、粉末を混ぜ、指輪に仕込む。淡い光が灯るが、すぐに消える。持続性がなく、傷を癒す力もない。

貴族たちがどよめく。

「確かに……偽物だ」「聖女の力が、こんなトリックだったとは」「王国を騙していたのか!」

アルトゥーラは顔を覆い、叫んだ。

「やめて! もうやめて!」

しかし、私は続けた。

「さらに、偽噂の流布、税務調査の誘導、ならず者の雇用、そして昨夜の毒撒き未遂――すべてアルトゥーラの指示です。捕まったならず者たちの証言、仕入れ記録、すべてここにあります」

証言書を読み上げると、ホールは騒然となった。

「許せない!」「聖女を名乗る資格なし!」「王太子殿下を騙すなど、反逆罪だ!」

ルークス殿下は立ち上がり、声を震わせて宣言した。

「アルトゥーラ、お前の罪は王国に対する欺瞞と謀反に相当する。聖女の地位を剥奪し、終身刑とする」

アルトゥーラは崩れ落ち、衛兵に引きずられていく。

「殿下……嫌ですわ! 私を、捨てないで!」

絶叫がホールに響くが、誰も同情しない。彼女の自滅は、完璧だった。

ルークス殿下は私に向き直り、深く頭を下げた。

「エルカミーノ……お前に、謝罪する。あの婚約破棄は、俺の愚かさだ。お前を傷つけ、王国を危険にさらした。許してくれとは言わない。ただ、後悔している」

ホールが静まり返る。貴族たちが息を呑む。王太子が、元婚約者に頭を下げる瞬間。

私は静かに答えた。

「殿下、もう過去です。私は今、幸せです。ヴェルディア公爵家のガーラミオ様と、婚約しました」

指輪を見せ、ガーラミオ様の腕に寄り添う。貴族たちが拍手と祝福の声を上げる。

「おめでとうございます!」「エルカミーノ様に、ふさわしいお相手」「ヴェルディア家とエルカミーノ家の聯姻、王国にとって幸運です」

ルークス殿下の顔が、絶望に歪む。彼は席に崩れ落ち、目を閉じた。

「俺は……すべてを失った」

王太子の座は揺らぎ、信頼は失われた。後悔の叫びは、心の中でだけ響く。

大スキャンダルは、王国中に広がった。アルトゥーラの転落、エルカミーノの勝利。

私はガーラミオ様とホールを出た。外では、民衆が噂を聞きつけ、集まっていた。

「エルカミーノ様、ありがとう!」「偽聖女を暴いてくれて!」「お幸せに!」

祝福の声が、波のように。

馬車の中で、ガーラミオ様が私を抱きしめた。

「よくやった、エルカ。君の勝利だ」

「私たちの勝利よ」

キスを交わし、店へ戻る。

大暴露の瞬間は、完璧だった。アルトゥーラの自滅、ルークスの転落。

ザマア満載の、爽快なクライマックス。

私の華麗なる逆転は、達成された。

これから、永遠の幸せが待っている。

ガーラミオ様の腕の中で、未来を夢見る。

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