「婚約破棄された令嬢の異世界カフェ革命~甘い復讐と運命の恋~」

鷹 綾

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第23話: 他国への招待

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第23話: 他国への招待

王都本店の繁栄は、止まることを知らなかった。

オープンから四ヶ月。店は王国を代表する名所となり、他国からの観光客まで増え始めた。甘い香りが王都の象徴となり、街のガイドブックにまで載っている。

この日、私は特別なスイーツを準備していた。

「インターナショナル・フルーツタルト」――他国の珍しい果物を魔法で再現し、国際親善と健康増進の効果を込めたもの。隣国女王陛下のパーティー用に、大量に作る予定だ。

「おはよう、エレナお姉様! 今日も出発ですね!」

ミアが荷物を手伝いながら、興奮気味に言った。お腹がかなり大きくなってきたけど、獣人の強さでまだ元気。

「おはよう、ミアちゃん。店はガルさんと父に任せるわね」

リオンが馬車に荷物を積みながら、私を抱き寄せた。

「二人きりの旅だ。楽しみだな」

隣国への招待は、女王陛下の誕生日パーティー。スイーツ提供と支店出店の正式交渉を兼ねている。リオンと二人で馬車旅行――まるでハネムーンみたい。

馬車が出発した。

王都の門をくぐり、緑豊かな道を進む。窓から風が入り、リオンの銀髪が揺れる。

「エレナ、隣国は魔法文化が盛んだ。君のスキルが、どう受け入れられるか楽しみだ」

「少し緊張するわ。でも、あなたがいるから大丈夫」

リオンが私の手を握り、指輪にキスを落とした。

「もちろん。君を守るのは、俺の役目だ」

道中、二人は甘い時間を過ごした。

休憩で森の広場に停まり、私が魔法でピクニックセットを作ると、リオンが私を膝に抱き、ケーキを食べさせてくれる。

「あーん」

「リオン……恥ずかしい……」

「夫婦だろ? もっと甘えろ」

キスが自然に重なり、馬車の旅は甘いハネムーンになった。

夜、宿屋で。

リオンが私を抱きしめ、耳元で囁く。

「エレナ……子供、欲しいな」

「私も……リオンとの子なら、きっと可愛いわ」

熱い夜が、再び訪れた。

翌日、隣国に到着。

女王陛下の王宮は、魔法の結晶で輝く美しい建物。女王は若い女性で、私のスイーツを大変気に入っているらしい。

パーティー会場で、私のタルトが並ぶと、貴族たちがどよめいた。

「これは……王国以上の味!」

「魔法の効果が、素晴らしい!」

女王陛下が私を呼び、直接感謝した。

「エレナ様、素晴らしいスイーツです。支店出店、即座に許可します。さらには、両国親善の象徴として、共同カフェを」

交渉は大成功。

でも、パーティーの裏で。

ヴァレンティア家の残党が、隣国貴族を買収し、妨害を企てていた。

「エレナのスイーツに、毒を……」

リオンが気配を察知し、私に耳打ち。

「敵だ。だが、俺がいる」

私は微笑んだ。

「甘く、片付けてあげましょう」

小さな試練が、甘い旅にスパイスを加える。
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