婚約破棄された公爵令嬢は真の聖女でした ~偽りの妹を追放し、冷徹騎士団長に永遠を誓う~

鷹 綾

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第20話: エテルナの暴露

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第20話: エテルナの暴露

王宮の広間は、静まり返っていた。

エテルナとヴェゼルが連行された後も、誰もがアプリリアの存在に圧倒されていた。  
王妃イザベラは玉座から立ち上がり、アプリリアに深く頭を下げた。

「アプリリア。  
あなたのおかげで、王国は救われた。  
エテルナの罪は、許されざるものだ」

アプリリアは穏やかに微笑み、しかし瞳は冷たかった。

「王妃様。  
まだ、すべてが明らかになったわけではありません。  
エテルナの偽りが、どれほど深かったか――  
今、ここで、はっきりさせましょう」

アプリリアは両手を掲げた。

再び、眩い光が広間を満たす。

空中に、巨大な映像が浮かび上がった。

それは、エテルナの記憶そのものだった。

――一年前、エテルナが公爵家に迎え入れられた直後。

妾腹の娘として、アプリリアに嫉妬を燃やすエテルナ。  
鏡の前で、独り言を呟く。

『お姉様は、完璧すぎる。  
婚約者も、地位も、美しさも……すべて私より上。  
でも、私は聖女の力を持っている。  
これで、逆転できるわ』

しかし、その力は微弱で、すぐに尽きてしまう。

エテルナが、闇市場で手に入れた薬。  
魔力を一時的に増幅する、禁断の秘薬。

それを飲み、偽りの治癒を繰り返す。

――婚約破棄のパーティー前夜。

エテルナが、ヴェゼルと密談。

「手紙を偽造して。  
お姉様の筆跡で、私への脅迫状を」

ヴェゼルが、陰険に笑う。

「わかりましたわ、エテルナ様。  
これで、王太子殿下は完全にあなたの方へ」

――パーティーの日。

エテルナがルキノに耳打ちする場面。

「お姉様は、裏で私をいじめているんです。  
召使いにも冷たくて……王妃にふさわしくないわ」

ルキノが、迷いながらも信じてしまう。

――儀式の後。

アプリリアが去った後、エテルナがルキノにすがる。

「これで、私が王妃よ。  
聖女として、王国を支えるわ」

しかし、薬の効果が切れ始め、力が弱まる。

――刺客を雇う場面。

「アプリリアを、消して。  
あの女がいなくなれば、すべて元通り」

――魔物の誘導装置を設置する場面。

「王都を混乱させて、お姉様のせいにすれば……  
私が、再び聖女になれる」

すべての記憶が、容赦なく晒された。

広間の貴族たちが、息を呑む。

エテルナは、鎖の中で絶叫した。

「やめて! 見せないで!  
それは……偽物よ!」

しかし、大魔導士が再び検証した。

「完全な本物の記憶です。  
一秒の偽りもありません」

ヴェゼルは、完全に崩れ落ちた。

「私の家が……没落する……  
父が、怒るわ……」

その瞬間、侯爵家の使者が駆け込んできた。

「ヴェゼル様! 大変です!  
侯爵家が、共犯の疑いで家禄没収!  
領地は王家に没収され、家族は平民に落とされました!」

ヴェゼルが、目を白黒させる。

「そんな……嘘よ!  
私の家が……侯爵家が……!」

彼女は床に這いつくばり、泣き叫んだ。

「助けて、エテルナ様!  
私まで、こんな目に……!」

エテルナは、ヴェゼルを睨みつけた。

「あなたが、私を焚きつけたくせに!  
全部、あなたのせいよ!」

二人は、牢の中で互いを罵り合う。

貴族たちは、冷たい視線を投げかけた。

かつての取り巻きたちは、誰も助けに来ない。

ルキノが、顔を覆った。

「……俺は、何を信じていたんだ……」

王妃が、厳かに宣告した。

「エテルナの罪は、重い。  
追放を、永久追放に変更する。  
ヴェゼル侯爵家は、完全に没落とする」

エテルナが、アプリリアにすがりつくように叫んだ。

「お姉様! 許して!  
もう、なんでもするから!  
修道院でもいい! 牢でもいい!  
追放だけは……!」

アプリリアは、静かにエテルナを見下ろした。

「エテルナ。  
あなたは、私を公衆の面前で屈辱を与え、  
暗殺しようとし、王国を混乱させた。

これが、あなたの選んだ道の、結末よ」

その声は、優しく、しかし絶対的だった。

エテルナは、力なく床に崩れ落ちた。

ヴェゼルは、衛兵に引きずられながら、嗚咽を漏らす。

「嫌よ……こんな……  
私が、こんな目に……」

二人は、広間から完全に連れ出された。

貴族たちが、アプリリアに拍手を送る。

「聖女様! 素晴らしい!」  
「正義が、勝った!」

アプリリアは、静かに一礼した。

スカッとする暴露。

読者のストレスが、一気に発散される瞬間。

エテルナの偽りは、根こそぎ暴かれた。

ヴェゼルの家は、没落。

サブザマアも、完璧に。

アプリリアは、ガイアの方を見た。

ガイアが、誇らしげに頷く。

ゼストが、拳を握る。

リオが、涙を流しながら拍手。

レオンハルト公爵は、娘の前に跪いたまま、震えていた。

王妃が、アプリリアに歩み寄った。

「あなたは、王国に必要な存在だ。  
これからも、支えてくれ」

アプリリアは、微笑んだ。

「喜んで、王妃様」

エテルナの暴露は、完結した。

彼女のすべてが、崩れ落ちた。

アプリリアの復讐は、  
優雅に、一歩進んだ。

広間の空気が、清々しく変わった。

偽りは消え、  
真実の光だけが残った。

アプリリアの瞳に、  
次の決意が宿る。

――次は、ルキノ。

あなたにも、ちゃんと返してあげる。

王宮の風が、  
新しい時代を告げていた。

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