婚約破棄された公爵令嬢は真の聖女でした ～偽りの妹を追放し、冷徹騎士団長に永遠を誓う～

第23話: 陰謀の全貌

第23話: 陰謀の全貌

王宮の地下、冷たい石造りの審問室。

エテルナ・フォン・ロズウェルは、鎖で繋がれたまま椅子に座らされていた。  
金髪は乱れ、目は腫れ、かつての美しさは完全に失われていた。

対面に座るのは、王妃イザベラ、重臣たち、そしてアプリリア。  
ガイアはアプリリアの後ろに立ち、ゼストとリオも同席していた。

王妃が、厳かに口を開いた。

「エテルナ。  
これまでの罪状はすでに明らかだ。  
だが、最後に、すべてを白状せよ。  
陰謀の全貌を」

エテルナは、最初は唇を噛んで黙っていた。

しかし、大魔導士が記憶抽出の魔法を準備すると、  
彼女は慌てて叫んだ。

「待って！ 言います！ 全部、言いますから！」

エテルナの声は、震えていた。

「最初は……嫉妬だったんです。  
お姉様が、すべてを持っていたから。  
婚約者も、地位も、民の愛も……  
私は、妾腹で、何もなかった」

彼女は、目を伏せた。

「聖女の力は、確かに少し持っていたけど、  
微弱すぎて、すぐに尽きてしまった。  
だから、闇市場で薬を買ったんです。  
魔力を一時的に増幅する、禁断の秘薬を」

重臣たちが、どよめく。

「それで、偽りの治癒を繰り返して、  
ルキノ殿下を誘惑した。  
ヴェゼルに、手紙の偽造を頼んで……  
お姉様を、性格の悪い女に仕立て上げた」

エテルナの声が、だんだん小さくなる。

「婚約破棄が成功して、  
私はルキノ殿下の隣に立てた。  
でも、お姉様の本物の力が覚醒して、  
すべてが崩れ始めた」

彼女は、顔を上げ、アプリリアを睨んだ。

「だから、消そうとした。  
刺客を送って、魔物の大襲撃を起こして……  
お姉様のせいにすれば、  
私が再び聖女になれると思った」

王妃が、冷たく言った。

「魔力誘導装置は、誰が設置した？」

エテルナは、震えながら答えた。

「私とヴェゼルが、雇った傭兵に……  
闇市場の魔導士にも、金を払って協力させた」

すべてが、明らかになった。

婚約破棄の偽手紙。  
偽りの聖女。  
刺客。  
魔物の誘導。

エテルナの、すべての策略。

アプリリアは、静かに立ち上がった。

「エテルナ。  
あなたは、私を陥れるために、  
どれだけの罪を重ねたの？」

エテルナは、涙を流した。

「お姉様……ごめんなさい。  
嫉妬が、私を狂わせた。  
あなたが、完璧すぎたから……  
私なんて、比べ物にならなかったから」

アプリリアの声は、優しく、しかし絶対的だった。

「嫉妬は、誰にでもある感情よ。  
でも、あなたはそれを選んだ。  
人を傷つける道を」

エテルナが、床に頭を擦りつけた。

「許して……お願い。  
追放だけは……  
辺境の果てで、生きていくなんて、耐えられない！」

王妃が、判決を下した。

「エテルナ・フォン・ロズウェル。  
すべての罪を認めた以上、  
永久追放を確定する。  
王国領土の外、荒野の向こうへ。  
二度と、戻ることは許さない」

エテルナが、絶叫した。

「嫌よ！ そんな……！  
お姉様！ 助けて！  
家族なのに！」

アプリリアは、静かに首を振った。

「あなたは、もう私の家族じゃない。  
自分で、そう決めたのよ」

衛兵が、エテルナを引きずっていく。

「いやあぁぁ！ 許してぇぇ！」

その声が、地下の廊下に響き、消えた。

ヴェゼルは、すでに別の部屋で同じ判決を受け、  
家族と共に平民落ちが確定していた。

広間に戻ったアプリリアは、王妃に一礼した。

「これで、陰謀の全貌は明らかになりました」

王妃が、深く頷いた。

「アプリリア。  
あなたのおかげで、王国は清められた。  
優雅に、復讐を果たしたな」

アプリリアは、微笑んだ。

「復讐……ですか。  
私は、ただ真実を明らかにしただけです」

ガイアが、そっとアプリリアの肩に手を置いた。

ゼストが、誇らしげに笑う。

リオが、涙を拭きながら拍手した。

貴族たちが、次々にアプリリアを讃える。

「聖女様！ 正義が勝ちました！」

レオンハルト公爵は、娘の前に跪き、  
深く頭を下げた。

「アプリリア……父は、愚かだった。  
お前を、誇りに思う」

アプリリアは、父を優しく起こした。

「父上。  
これからは、家族としてやり直しましょう」

陰謀の全貌は、完全に明らかになった。

エテルナの策略は、根こそぎ暴かれ、  
追放の判決が下された。

アプリリアの復讐は、  
残酷ではなく、優雅に完結した。

彼女は、誰も傷つけず、  
ただ真実で、すべてを終わらせた。

読者の満足度が、最高潮に。

スカッとするザマア。

エテルナの絶望の叫びが、  
王宮の地下に残る。

アプリリアは、ガイアの手を取った。

「終わったわ」

ガイアが、優しく微笑む。

「ああ。  
お前は、勝った」

二人は、広間のバルコニーに出た。

王都の空が、晴れ渡っていた。

民衆の声が、遠くから聞こえる。

「聖女様！ 万歳！」

アプリリアは、手を振った。

復讐の序曲は、  
完璧に幕を閉じた。

これからは、  
幸せだけの時間。

ガイアの隣で。

アプリリアの瞳に、  
穏やかな光が宿っていた。

すべてが、  
華麗に逆転した。