婚約破棄された公爵令嬢は真の聖女でした ~偽りの妹を追放し、冷徹騎士団長に永遠を誓う~

鷹 綾

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第30話: 永遠の幸せ

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 第30話: 永遠の幸せ

結婚式の日、王国は祝賀の渦に包まれていた。

黒薔薇の谷の中央広場に、巨大な祭壇が設けられた。  
黒薔薇の花が無数に飾られ、  
白い絨毯が村から王宮まで敷かれていた。

アプリリアは、純白のウェディングドレスを纏っていた。  
黒髪に銀のティアラ、  
ベールには聖女の紋章が刺繍されている。

ガイアは、黒と銀の正装。  
銀髪を整え、剣を腰に下げた姿は、  
まさに騎士の王子。

王妃イザベラ、ゼスト一家、レオンハルト公爵、  
王国中の貴族、民の代表が集まっていた。

リオは、花嫁介添人で、涙を拭きながら立っている。

カイルは、ガイアの介添人で、ニヤニヤしながら肘で突つく。

「団長、緊張してる?」

ガイアが、小声で返す。

「……少し」

音楽が響き、アプリリアが父レオンハルトにエスコートされて入場。

民の歓声が、上がる。

「聖女様! 美しすぎる!」  
「ガイア様! お似合いです!」

アプリリアが、祭壇のガイアの前に立つ。

レオンハルト公爵が、娘の手をガイアに渡す。

「ガイア・ヴァルハルト。  
私の娘を、幸せにしろ」

ガイアが、深く頭を下げる。

「命に代えても、守ります」

大司教が、厳かに誓いの言葉を導く。

ガイアが、アプリリアを見つめ、誓う。

「アプリリア。  
俺は、お前を愛する。  
喜びの時も、苦しみの時も、  
永遠に、そばにいる。  
お前の光を、守り続ける」

アプリリアの目から、涙がこぼれる。

「ガイア。  
私も、あなたを愛する。  
あなたの剣となり、光となり、  
一緒に、幸せを築くわ。  
永遠に、あなたのそばに」

指輪の交換。

銀のリングが、二人の指に輝く。

大司教が、宣言する。

「神と人の前で、二人は夫婦となった。  
キスを」

ガイアが、ベールを上げ、アプリリアを抱き寄せる。

深い、甘いキス。

民の歓声と拍手が、鳴り止まない。

披露宴は、領地の広場で。

テーブルに、領地の食材が並ぶ。

リオとカイルが、司会のように盛り上げる。

子供たちが、花を投げる。

ゼストが、妹を抱きしめる。

「アプリリア……幸せ者だな」

王妃が、二人の健康を祈る。

レオンハルト公爵が、涙を拭く。

夜、式が終わった後。

二人は、館のバルコニーで、二人きり。

星空の下。

アプリリアが、ガイアの胸に寄りかかる。

「今日は、夢みたいだった」

ガイアが、アプリリアの髪を撫でる。

「お前が、俺の夢だ」

アプリリアが、そっと手を胸に当てる。

予知の力が、未来を映す。

――幸せな日々。

子どもたちの笑い声。  
領地のさらなる繁栄。  
ガイアと、老いるまで一緒に。

病気も、争いも、ない。  
ただ、愛に満ちた未来。

アプリリアが、微笑む。

「ガイア。  
私たちの未来、すごく幸せよ」

ガイアが、アプリリアを抱きしめる。

「知ってる。  
お前がいれば、必ず」

二人は、再びキスを交わす。

星が、輝く。

黒薔薇の花が、風に揺れる。

永遠の幸せ。

アプリリアの、  
華麗なる逆転の物語は、  
ここに完結した。

婚約破棄の屈辱から、  
聖女の力で立ち上がり、  
愛する人と結ばれ、  
王国を救い、  
領地を繁栄させ、  
悪役たちを正しい末路に導いた。

すべてが、  
ハッピーエンド。

二人は、手を繋ぎ、  
新しい家へ向かう。

これから、  
永遠の、  
甘い日々が始まる。

星空の下、  
アプリリアの笑顔が、  
最も輝いていた。

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