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第二十八話 義妹平民落ち
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第二十八話 義妹平民落ち
廃嫡宣告の翌朝。
王宮はいつもと同じように動いている。
だが、ひとつだけ違う。
セシルの居場所が、なくなっていた。
王太子妃候補の私室は封鎖。
侍女たちは配置換え。
衣装室の扉には封印が貼られている。
「どういうこと……?」
セシルは廊下で立ち尽くす。
誰も説明しない。
やがて重臣が近づく。
「セシル・アーディン嬢」
その呼び方に、彼女の背筋が凍る。
“殿下の婚約者”ではない。
“王太子妃候補”でもない。
ただの名。
「監査最終報告に基づき、処分が決定いたしました」
「処分……?」
声が震える。
「盗用、資金移動指示の主犯認定」
冷たい宣告。
「王家に対する背任行為とみなされました」
「そんな……!」
「よって」
間を置かず告げられる。
「貴族籍を剥奪いたします」
世界が止まる。
「……え?」
「本日付で、アーディン家の庶流扱いに降格。あなた個人は平民籍へ編入」
言葉の意味が、遅れて胸に落ちる。
平民。
爵位なし。
特権なし。
社交界からの完全排除。
「嘘よ……!」
叫ぶが、誰も動かない。
「アーディン家本家は責任を否定しました」
「……父が?」
「家としての存続を優先した判断です」
足元が崩れる。
家も守らなかった。
殿下も守らなかった。
「わたくしは……殿下のために……!」
重臣は淡々と続ける。
「王家の資金を私的に動かした責任は重い」
「国外追放ではないだけ温情です」
温情。
その言葉が刺さる。
公爵邸。
報告が届く。
「義妹様、貴族籍剥奪」
私は静かに頷く。
「平民へ」
「はい」
怒りも満足もない。
ただ、結果。
「追放先は」
「王都郊外の寒村。身分保護なし」
私は窓の外を見る。
守ると誓われた未来。
王太子妃という頂点。
それが一転して、身分剥奪。
王宮。
セシルは荷物をまとめさせられる。
宝石は没収。
衣装は返還。
持ち出せるのは、最低限の衣類だけ。
侍女たちは目を合わせない。
かつて媚びた貴族令嬢たちも、沈黙。
「……殿下に会わせて」
最後の願い。
だが返答は冷たい。
「面会は認められておりません」
アルヴァリオは自室で報告を受ける。
「平民落ちか……」
低く呟く。
守れなかった。
いや、守らなかった。
廃嫡を止めるために切った。
その結果がこれだ。
「……俺は」
言葉が続かない。
セシルは王宮を去る。
馬車は質素。
護衛も最小限。
門が閉じる音が、やけに大きい。
王都ではすぐに噂が広がる。
「平民落ちだそうよ」
「爵位剥奪」
「王太子妃になるはずが」
同情よりも、冷たい興味。
栄華からの転落は、最高の話題。
公爵邸の庭。
私は薔薇に触れる。
「平民になりましたか」
執事が静かに言う。
「はい」
私は短く答える。
「選択の結果です」
盗用を選んだ。
資金を動かした。
守られる立場に甘えた。
そのすべてが、今に繋がる。
義妹平民落ち。
それは社会的な死。
王太子の廃嫡と並ぶ、明確な終幕。
だが、まだ終わりではない。
次は――
王族でなくなった男の処遇。
転落は、最後まで徹底する。
廃嫡宣告の翌朝。
王宮はいつもと同じように動いている。
だが、ひとつだけ違う。
セシルの居場所が、なくなっていた。
王太子妃候補の私室は封鎖。
侍女たちは配置換え。
衣装室の扉には封印が貼られている。
「どういうこと……?」
セシルは廊下で立ち尽くす。
誰も説明しない。
やがて重臣が近づく。
「セシル・アーディン嬢」
その呼び方に、彼女の背筋が凍る。
“殿下の婚約者”ではない。
“王太子妃候補”でもない。
ただの名。
「監査最終報告に基づき、処分が決定いたしました」
「処分……?」
声が震える。
「盗用、資金移動指示の主犯認定」
冷たい宣告。
「王家に対する背任行為とみなされました」
「そんな……!」
「よって」
間を置かず告げられる。
「貴族籍を剥奪いたします」
世界が止まる。
「……え?」
「本日付で、アーディン家の庶流扱いに降格。あなた個人は平民籍へ編入」
言葉の意味が、遅れて胸に落ちる。
平民。
爵位なし。
特権なし。
社交界からの完全排除。
「嘘よ……!」
叫ぶが、誰も動かない。
「アーディン家本家は責任を否定しました」
「……父が?」
「家としての存続を優先した判断です」
足元が崩れる。
家も守らなかった。
殿下も守らなかった。
「わたくしは……殿下のために……!」
重臣は淡々と続ける。
「王家の資金を私的に動かした責任は重い」
「国外追放ではないだけ温情です」
温情。
その言葉が刺さる。
公爵邸。
報告が届く。
「義妹様、貴族籍剥奪」
私は静かに頷く。
「平民へ」
「はい」
怒りも満足もない。
ただ、結果。
「追放先は」
「王都郊外の寒村。身分保護なし」
私は窓の外を見る。
守ると誓われた未来。
王太子妃という頂点。
それが一転して、身分剥奪。
王宮。
セシルは荷物をまとめさせられる。
宝石は没収。
衣装は返還。
持ち出せるのは、最低限の衣類だけ。
侍女たちは目を合わせない。
かつて媚びた貴族令嬢たちも、沈黙。
「……殿下に会わせて」
最後の願い。
だが返答は冷たい。
「面会は認められておりません」
アルヴァリオは自室で報告を受ける。
「平民落ちか……」
低く呟く。
守れなかった。
いや、守らなかった。
廃嫡を止めるために切った。
その結果がこれだ。
「……俺は」
言葉が続かない。
セシルは王宮を去る。
馬車は質素。
護衛も最小限。
門が閉じる音が、やけに大きい。
王都ではすぐに噂が広がる。
「平民落ちだそうよ」
「爵位剥奪」
「王太子妃になるはずが」
同情よりも、冷たい興味。
栄華からの転落は、最高の話題。
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私は薔薇に触れる。
「平民になりましたか」
執事が静かに言う。
「はい」
私は短く答える。
「選択の結果です」
盗用を選んだ。
資金を動かした。
守られる立場に甘えた。
そのすべてが、今に繋がる。
義妹平民落ち。
それは社会的な死。
王太子の廃嫡と並ぶ、明確な終幕。
だが、まだ終わりではない。
次は――
王族でなくなった男の処遇。
転落は、最後まで徹底する。
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