リヒャルドの白い襯衣(シャツ)

カゲリ

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8時

106

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 結局僕はとろとろと眠り続け、午前中いっぱいを保健室で過ごしてしまった。
 「リヒャルト、もう昼休みだぜ。」
 微睡んでいた僕は、ハインリヒの言葉に目を覚ました。
 「ああ、ありがとう、ハインリヒ。」
 部屋をでかかった僕を呼び止めて、男はもう一度じっくりと眺めて微笑む。僕の姿はよほどこの男の好みらしい。
 「ネクタイをそんなに緩めるのは感心しないな。誘っているみたいだよ」
 「誘われたの、センセイ?」
 「まさか、わたしは退廃的な生徒にちょっとしたお仕置きをしただけだ。」
 教師は意地悪く笑って、僕の首筋に執拗な視線を送る。
 「な、に?」
 「いいや、学級(クラス)に戻るなら、上まで釦、とめた方がいいぜ。」
 ハインリヒはにやにやしながら云う。
 「釦を? どうして?」
 云いかけて、はっとする。慌てて、洗面台の鏡に向かう。
 首筋を確認すると、赤い花弁のような鬱血がある。
 「ハインリヒ! 態とでしょ?」
 「あはは、そう怒るなよ、リヒャルト。ちょっと印をつけたたけさ。」
 ハインリヒは相変わらずにやにやしている。
 「この、変態保健医!」
 僕が叫ぶと、ハインリヒは笑い声を立てる。まるで僕が凄い褒め言葉でも発したかのように。
 「判ってて、来たんだろ? 期待してるように思われるぜ。」
 ハインリヒの言葉に僕は黙り込む。ハインリヒの言葉は尤もだったからだ。キス程度は覚悟の上だった。跡をつけられるとは思っていなかったけれど。
 それにハインリヒは決してキス以上の行為には及ばないと云う信頼感があった。
 僕は怒る気をなくしていた。なるほど。僕は少し肩をすくめて襯衣のボタンを一番上まで留めると、ネクタイをきっちり締めた。
 「そうそう、生徒はそうあるべきだよ」
 教師顔で嘯く男に僕は軽蔑と愛着を等しく刺激される。僕は共犯者めいた微笑を男に投げかけてから部屋をあとにした。
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