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・腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する
32)エール
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「ピィ。ピ。ピ。」
「どうした?」
毛玉が俺によじ登って何かを言ってるようだ。
「おかわりくださーい」
イブキが機嫌よく飲み物を頼んでいた。テーブルの上には俺が頼んだ肉料理や野菜が並んでいる。周りの事に気を取られていて食事の準備が出来ていた事に気づかなかった。
「ふふ。美味しいですね~」
「美味いだろ?イブの口にあってよかった。屋敷の洗練された料理も良いがこういう素朴な味もたまにはいいだろ?」
「はい~。僕は家庭料理が好きです。おばあちゃんが作ってくれた肉じゃがとか~」
よかった。庶民の味が食べられるならあちこち連れまわしてもいいだろう。
「肉じゃがとはイブの好物の名前か?」
「はい~。僕は肉じゃがが好きでーす」
口調が明るすぎる?なんだか様子が変だ。
「はい、エールのおかわり!まいどあり!お客さん飲みっぷりが良いねえ」
「イエーイ。飲んじゃうぞ~」
「ちょっとまて。それは酒だぞ。イブは酒は飲めるのか?」
「違いますよ~。エールですよ~。お酒じゃありません!」
「顔が赤いぞ。聞き方を変えよう。この世界に来てエールを飲んだことはあるか?」
「ないで~す!初めて飲みました!」
これはだめだ。美味しそうに飲み食いしていたから油断していたが、この世界の飲み物とイブの世界の酒の強さなどが違うのかもしれない。エールが酒だとわかっていなかったのかもしれない。
「酔っているな?」
「酔ってましぇん。だいたいシドは僕を子供扱いしすぎです!僕はもう大人なんですよ」
「大人は自分の事を大人とは言わないものだぞ」
「もう、シドなんか嫌いです!……嘘です。好きです。シドが好きなんです~」
これは完全に酔っている。何杯飲んだんだ?エールはのど越しが良いから俺もつい飲みすぎてしまう事がある。しかしこれはまずい。俺がまずいぞ。とりあえず聞き込みは明日以降にしよう。
「はいはい。イブに好かれるなんて光栄だな」
「ほらまたそう言って僕のことをからかう!僕は本気なんですよ!」
「わかった。わかったから部屋へ戻ろう」
「まだ飲みます~。飲みたらない~」
「まいったな。酒癖が悪かったのか」
「僕は悪くない。悪いのはシド~。ファーストキスだったんです~」
「わかった。俺が悪かった。ほら、立てるか?」
「ん~。シドは暖かいです。なでなでしてください」
「……困ったな」
「ピィピ?」
ユキすらも困り顔に見えるぞ。毛玉の表情すら俺はわかるようになってきたのか。
「抱っこしてください」
俺に抱きついてくるイブキを見て周りの奴らがヒューヒューと口笛を吹きだす。野次馬たちめ!
「ふふ。シドの眉毛がへの字になってる。かーわいーい」
「この酔っ払いめ。可愛いのはお前だ」
イブキのふにゃふにゃと力の入らない身体を横抱きにすると喜ぶ声が聞こえた。
「お姫様抱っこだあ!」
きゃっきゃっと笑いながら俺の首に腕を回し、しがみついてくる。野次馬たちが騒ぎ出すが、この状況が悪くないと思える自分が信じられない。
「シドカッコいい。僕こんな風に抱き上げられたの始めてです!シドは僕の王子様だぁ」
まったくこちらの気持ちも知らずに可愛いことばかり言ってくれる。
「ふふふ、シド大好きです!」
ヤバいなあ。どうしちまおうか。俺は獲物を目の前にして手を出さない偽善者じゃないぞ。
「どうした?」
毛玉が俺によじ登って何かを言ってるようだ。
「おかわりくださーい」
イブキが機嫌よく飲み物を頼んでいた。テーブルの上には俺が頼んだ肉料理や野菜が並んでいる。周りの事に気を取られていて食事の準備が出来ていた事に気づかなかった。
「ふふ。美味しいですね~」
「美味いだろ?イブの口にあってよかった。屋敷の洗練された料理も良いがこういう素朴な味もたまにはいいだろ?」
「はい~。僕は家庭料理が好きです。おばあちゃんが作ってくれた肉じゃがとか~」
よかった。庶民の味が食べられるならあちこち連れまわしてもいいだろう。
「肉じゃがとはイブの好物の名前か?」
「はい~。僕は肉じゃがが好きでーす」
口調が明るすぎる?なんだか様子が変だ。
「はい、エールのおかわり!まいどあり!お客さん飲みっぷりが良いねえ」
「イエーイ。飲んじゃうぞ~」
「ちょっとまて。それは酒だぞ。イブは酒は飲めるのか?」
「違いますよ~。エールですよ~。お酒じゃありません!」
「顔が赤いぞ。聞き方を変えよう。この世界に来てエールを飲んだことはあるか?」
「ないで~す!初めて飲みました!」
これはだめだ。美味しそうに飲み食いしていたから油断していたが、この世界の飲み物とイブの世界の酒の強さなどが違うのかもしれない。エールが酒だとわかっていなかったのかもしれない。
「酔っているな?」
「酔ってましぇん。だいたいシドは僕を子供扱いしすぎです!僕はもう大人なんですよ」
「大人は自分の事を大人とは言わないものだぞ」
「もう、シドなんか嫌いです!……嘘です。好きです。シドが好きなんです~」
これは完全に酔っている。何杯飲んだんだ?エールはのど越しが良いから俺もつい飲みすぎてしまう事がある。しかしこれはまずい。俺がまずいぞ。とりあえず聞き込みは明日以降にしよう。
「はいはい。イブに好かれるなんて光栄だな」
「ほらまたそう言って僕のことをからかう!僕は本気なんですよ!」
「わかった。わかったから部屋へ戻ろう」
「まだ飲みます~。飲みたらない~」
「まいったな。酒癖が悪かったのか」
「僕は悪くない。悪いのはシド~。ファーストキスだったんです~」
「わかった。俺が悪かった。ほら、立てるか?」
「ん~。シドは暖かいです。なでなでしてください」
「……困ったな」
「ピィピ?」
ユキすらも困り顔に見えるぞ。毛玉の表情すら俺はわかるようになってきたのか。
「抱っこしてください」
俺に抱きついてくるイブキを見て周りの奴らがヒューヒューと口笛を吹きだす。野次馬たちめ!
「ふふ。シドの眉毛がへの字になってる。かーわいーい」
「この酔っ払いめ。可愛いのはお前だ」
イブキのふにゃふにゃと力の入らない身体を横抱きにすると喜ぶ声が聞こえた。
「お姫様抱っこだあ!」
きゃっきゃっと笑いながら俺の首に腕を回し、しがみついてくる。野次馬たちが騒ぎ出すが、この状況が悪くないと思える自分が信じられない。
「シドカッコいい。僕こんな風に抱き上げられたの始めてです!シドは僕の王子様だぁ」
まったくこちらの気持ちも知らずに可愛いことばかり言ってくれる。
「ふふふ、シド大好きです!」
ヤバいなあ。どうしちまおうか。俺は獲物を目の前にして手を出さない偽善者じゃないぞ。
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