13 / 99
・腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する
12)専属契約 sideイブキ
しおりを挟む
「そうだ。この間の薬草の話しはとても興味深かった。魔獣は瘴気から生まれる魔物と違いもとは普通の動物なのだ。動物の生態がわかるイブが役に立つかもしれない。俺と契約を結んでおけば神殿に捕らわれることはないぞ」
「この世界の動物はあまり知らないけど、浄化のチカラで動物を元の姿に戻せるなら助けてやりたいです」
「よし。契約成立だな?腕をだしてごらん」
「腕を?こうですか?」
僕が腕をエルシドの前に出すとカチリと銀のバングルがはめられた。
「腕輪には俺との契約魔法が施されている。つまりこの腕輪を外さない限りイブは宰相である俺の管轄下になる」
「エルシド様。神官長からお手紙が参りました」
執事のクラークさんがエルシドに手紙を渡す。
「……来たか。思ったよりも早かったな」
「どうしたんですか?」
「神殿から招集がかかった。『魔法測定の儀を行うので立ち合いに来られたし。森で拾われた珍しいモノをかならず連れてこられるように』とさ。神官長め、やはりイブがここに居ることがわかっていたな」
拾われた珍しいモノが僕なのか?招集がかかるって事は僕にも関係がある事なのか?
「さて、こちらも動くとするかな」
「はい。すべてはご主人様のお気に召すままに」
クラークさんが胸の手を当て、一礼をした。
オウルの紋章が刻まれているエルシド家の馬車に乗る。乗る前に散々馬たちとじゃれあった。とてもよく人に慣れていて賢い馬たちだ。
「我が家の馬たちはあまり人には懐かないのだが、イブには動物に好かれる天性があるのかもしれないな」
「そうでしょうか?あまり実感がないけど。そう言われると嬉しいです」
「シドあれは何ですか?」
「ん?あれは道具屋だな」
「じゃあ、あれは?」
「あれは武器屋」
「良い匂いがします」
「くくく。食べ物屋だな。露店もあるぞ」
「ご、ごめんなさい。シドの屋敷から出るのが初めてで。つい窓からキョロキョロしてしまって」
屋敷の遠くに見えていたヨーロッパ調の街並みが目前に広がってくる。初めて見るこの世界の街並み。人々。どれもこれも興味深くて。エルシドの前なのにはしゃいでしまっていた。
「そうだったな。窮屈な思いをさせて悪かった。今後は少しずつ俺が外に連れ出してやろう」
「シドが一緒に行ってくれるの?ありがとうございます!」
「どこか行きたいところはあるか?」
「それがどこに何があるのかがわからなくて」
「ははは。それもそうだな。では俺が考えておくよ」
「本当に?ありがとうございます!」
顔がニヤついてしまうのがわかる。エルシドと外出だなんて。楽しみだなあ。
◇◆◇
連れて来られた場所は大きな神殿だった。扉が重く開くと、天井には光る魔法陣が浮かび、壁には古代英雄のレリーフが厳かに並ぶ。祭壇の中央には水晶玉が鎮座していた。参列者たちの囁きが耳に届くが、緊張で頭がぼうっとする。
綺麗だけどここには光属性の子らが集められているという。
「光属性をもつ者が聖魔法が使える。癒しや治癒の力も兼ねそわえている為、希少価値が高い光属性は見つかるとすべて神殿に保護という名目で囲われてしまうのだ」
馬車の中でエルシドからひと通りの説明は受けた。
今日は僕と一緒に召喚された少年の属性確認をするらしい。僕も呼ばれたと言うことは僕も検査するのだろう。
「緊張しなくてもいいぞ。俺が側にいるからな」
エルシドの声が背中を押す。彼の青い瞳が、まるで中庭の樹のように落ち着いて見えた。
「はい。大丈夫です」
嘘だ。めちゃくちゃ緊張しているし、周りの声が耳に全然入ってこない。何をされるか怖くて仕方ない。
無意識に胸元を掴んでいた。コツと何かに指が当たる。中庭で拾った石だ。持ってきてしまったのか。なぜか、それを握ると心が少し落ち着いた。
祭壇の前で、金色のローブに身を包み、脂ぎった笑みを浮かべる神官長が、長い話を始めた。
「光属性の者こそ、この国の希望…」
彼の言葉が耳を素通りする。こんな人が僕たちを召喚した? そんな凄いことが出来るならこの人が浄化すればいいんじゃないのか?どうして異世界人しかできないのだろう?
瘴気のせいで動物が魔獣化するなんて許されない。出来ることなら僕の力で治してあげたい。助けられる命は助けてあげたいんだ。
突然、身体から何かが吸い取られる感覚に襲われた。体温が抜け落ち、寒気が全身を駆け巡る
「え?なに?」
視界が揺れ、エルシドの腕がなければ倒れていただろう。胸元の石が熱を持ち、銀のバングルが微かに光る。
「この世界の動物はあまり知らないけど、浄化のチカラで動物を元の姿に戻せるなら助けてやりたいです」
「よし。契約成立だな?腕をだしてごらん」
「腕を?こうですか?」
僕が腕をエルシドの前に出すとカチリと銀のバングルがはめられた。
「腕輪には俺との契約魔法が施されている。つまりこの腕輪を外さない限りイブは宰相である俺の管轄下になる」
「エルシド様。神官長からお手紙が参りました」
執事のクラークさんがエルシドに手紙を渡す。
「……来たか。思ったよりも早かったな」
「どうしたんですか?」
「神殿から招集がかかった。『魔法測定の儀を行うので立ち合いに来られたし。森で拾われた珍しいモノをかならず連れてこられるように』とさ。神官長め、やはりイブがここに居ることがわかっていたな」
拾われた珍しいモノが僕なのか?招集がかかるって事は僕にも関係がある事なのか?
「さて、こちらも動くとするかな」
「はい。すべてはご主人様のお気に召すままに」
クラークさんが胸の手を当て、一礼をした。
オウルの紋章が刻まれているエルシド家の馬車に乗る。乗る前に散々馬たちとじゃれあった。とてもよく人に慣れていて賢い馬たちだ。
「我が家の馬たちはあまり人には懐かないのだが、イブには動物に好かれる天性があるのかもしれないな」
「そうでしょうか?あまり実感がないけど。そう言われると嬉しいです」
「シドあれは何ですか?」
「ん?あれは道具屋だな」
「じゃあ、あれは?」
「あれは武器屋」
「良い匂いがします」
「くくく。食べ物屋だな。露店もあるぞ」
「ご、ごめんなさい。シドの屋敷から出るのが初めてで。つい窓からキョロキョロしてしまって」
屋敷の遠くに見えていたヨーロッパ調の街並みが目前に広がってくる。初めて見るこの世界の街並み。人々。どれもこれも興味深くて。エルシドの前なのにはしゃいでしまっていた。
「そうだったな。窮屈な思いをさせて悪かった。今後は少しずつ俺が外に連れ出してやろう」
「シドが一緒に行ってくれるの?ありがとうございます!」
「どこか行きたいところはあるか?」
「それがどこに何があるのかがわからなくて」
「ははは。それもそうだな。では俺が考えておくよ」
「本当に?ありがとうございます!」
顔がニヤついてしまうのがわかる。エルシドと外出だなんて。楽しみだなあ。
◇◆◇
連れて来られた場所は大きな神殿だった。扉が重く開くと、天井には光る魔法陣が浮かび、壁には古代英雄のレリーフが厳かに並ぶ。祭壇の中央には水晶玉が鎮座していた。参列者たちの囁きが耳に届くが、緊張で頭がぼうっとする。
綺麗だけどここには光属性の子らが集められているという。
「光属性をもつ者が聖魔法が使える。癒しや治癒の力も兼ねそわえている為、希少価値が高い光属性は見つかるとすべて神殿に保護という名目で囲われてしまうのだ」
馬車の中でエルシドからひと通りの説明は受けた。
今日は僕と一緒に召喚された少年の属性確認をするらしい。僕も呼ばれたと言うことは僕も検査するのだろう。
「緊張しなくてもいいぞ。俺が側にいるからな」
エルシドの声が背中を押す。彼の青い瞳が、まるで中庭の樹のように落ち着いて見えた。
「はい。大丈夫です」
嘘だ。めちゃくちゃ緊張しているし、周りの声が耳に全然入ってこない。何をされるか怖くて仕方ない。
無意識に胸元を掴んでいた。コツと何かに指が当たる。中庭で拾った石だ。持ってきてしまったのか。なぜか、それを握ると心が少し落ち着いた。
祭壇の前で、金色のローブに身を包み、脂ぎった笑みを浮かべる神官長が、長い話を始めた。
「光属性の者こそ、この国の希望…」
彼の言葉が耳を素通りする。こんな人が僕たちを召喚した? そんな凄いことが出来るならこの人が浄化すればいいんじゃないのか?どうして異世界人しかできないのだろう?
瘴気のせいで動物が魔獣化するなんて許されない。出来ることなら僕の力で治してあげたい。助けられる命は助けてあげたいんだ。
突然、身体から何かが吸い取られる感覚に襲われた。体温が抜け落ち、寒気が全身を駆け巡る
「え?なに?」
視界が揺れ、エルシドの腕がなければ倒れていただろう。胸元の石が熱を持ち、銀のバングルが微かに光る。
426
あなたにおすすめの小説
愛しの妻は黒の魔王!?
ごいち
BL
「グレウスよ、我が弟を妻として娶るがいい」
――ある日、平民出身の近衛騎士グレウスは皇帝に呼び出されて、皇弟オルガを妻とするよう命じられる。
皇弟オルガはゾッとするような美貌の持ち主で、貴族の間では『黒の魔王』と怖れられている人物だ。
身分違いの政略結婚に絶望したグレウスだが、いざ結婚してみるとオルガは見事なデレ寄りのツンデレで、しかもその正体は…。
魔法の国アスファロスで、熊のようなマッチョ騎士とツンデレな『魔王』がイチャイチャしたり無双したりするお話です。
表紙は豚子さん(https://twitter.com/M_buibui)に描いていただきました。ありがとうございます!
11/28番外編2本と、終話『なべて世は事もなし』に挿絵をいただいております! ありがとうございます!
【BL】死んだ俺と、吸血鬼の嫌い!
ばつ森⚡️8/22新刊
BL
天涯孤独のソーマ・オルディスは自分にしか見えない【オカシナモノ】に怯える毎日を送っていた。
ある日、シェラント女帝国警察・特殊警務課(通称サーカス)で働く、華やかな青年、ネル・ハミルトンに声をかけられ、【オカシナモノ】が、吸血鬼に噛まれた人間の慣れ果て【悪霊(ベスィ)】であると教えられる。
意地悪なことばかり言ってくるネルのことを嫌いながらも、ネルの体液が、その能力で、自分の原因不明の頭痛を癒せることを知り、行動を共にするうちに、ネルの優しさに気づいたソーマの気持ちは変化してきて…?
吸血鬼とは?ネルの能力の謎、それらが次第に明らかになっていく中、国を巻き込んだ、永きに渡るネルとソーマの因縁の関係が浮かび上がる。二人の運命の恋の結末はいかに?!
【チャラ(見た目)警務官攻×ツンデレ受】 ケンカップル★バディ
※かっこいいネルとかわいいソーマのイラストは、マグさん(https://twitter.com/honnokansoaka)に頂きました!
※いつもと毛色が違うので、どうかな…と思うのですが、試させて下さい。よろしくお願いします!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
時の情景
琉斗六
BL
◎あらすじ
中学教師・榎戸時臣は聖女召喚の巻き添えで異世界へ。政治の都合で追放、辺境で教える日々。そこへ元教え子の聖騎士テオ(超絶美青年)が再会&保護宣言。王子の黒い思惑も動き出す。
◎その他
この物語は、複数のサイトに投稿しています。
塔の上のカミーユ~幽囚の王子は亜人の国で愛される~【本編完結】
蕾白
BL
国境近くにあるその白い石の塔には一人の美しい姫君が幽閉されている。
けれど、幽閉されていたのはある事情から王女として育てられたカミーユ王子だった。彼は父王の罪によって十三年間を塔の中で過ごしてきた。
そんな彼の前に一人の男、冒険者のアレクが現れる。
自分の世界を変えてくれるアレクにカミーユは心惹かれていくけれど、彼の不安定な立場を危うくする事態が近づいてきていた……というお話になります。
2024/4/22 完結しました。ありがとうございました。
撫子の華が咲く
茉莉花 香乃
BL
時は平安、とあるお屋敷で高貴な姫様に仕えていた。姫様は身分は高くとも生活は苦しかった
ある日、しばらく援助もしてくれなかった姫様の父君が屋敷に来いと言う。嫌がった姫様の代わりに父君の屋敷に行くことになってしまった……
他サイトにも公開しています
【オメガバース】替えのパンツは3日分です
久乃り
BL
オメガバースに独自の設定があります。
専門知識皆無の作者が何となくそれっぽい感じで書いているだけなので、マジレスはご遠慮ください。
タグに不足があるかもしれません。何かいいタグありましたらご連絡下さい。
杉山貴文はベータの両親の間に生まれたごく普通のベータ男子。ひとつ上の姉がいる29歳、彼女なし。
とある休日、何故か姉と一緒に新しい下着を買いに出かけたら、車から降りてきたかなりセレブな男と危うくぶつかりそうになる。
ぶつかりはしなかったものの、何故かその後貴文が目覚めると見知らぬ天井の部屋に寝ていた。しかも1週間も経過していたのだ。
何がどうしてどうなった?
訳の分からない貴文を、セレブなアルファが口説いてくる。
「いや、俺は通りすがりのベータです」
逃げるベータを追いかけるアルファのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる