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27欲しい人材Sideグラソン
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なんでこうなった?挙式は出来るだけ引き伸ばすつもりだった。婚姻だけでも今すぐしてしまうだと?ふざけるな順番が違うとユージナルに怒鳴ると皇帝陛下のご命令だと言うのだ。陛下の命令には背くわけにはいかない。仕方なく証人にたった。やはり占いの通りなのか?
イスベルク様が城に戻られる前に占い師のミコトが現れ吉凶が間違っていたと言い出していたのを思いだす。
「どうも最近年齢のせいか読み間違えてしまって。南は凶でございました。イスベルク様が凶を連れて戻られます。アレはこの国に最凶をもたらすでしょう」
「なんともいい加減なことを!お前の占いのせいでイスベルク様がここを離れられたというのに!今更そのような話ができると思っているのか!」
どうせ炎の国の王子なぞすぐにこの国を出て行くと思っていた。城の侍従達も暴力的なわがままな末王子がやってくるのではと警戒していたのではなかったのか?いまや素直で物怖じしないルミエールに毒気を抜かれたようになっているという。
一番呆れかえったのは晩餐会の最中に。それも食事中に。倒れる様に眠ってしまっていたことだ。いくら長旅で疲れていたにしてもありえないだろう?皇帝陛下や側近の重臣たちが居るのだぞ。緊張こそすれ寝てしまうなどと。何たる失態。これが皇太子の伴侶候補だと?そしてそれを咎めることもなくイスベルク様はご自分の膝にのせてしまった。膝にだと?どうされてしまったのだ?あれだけ威厳に満ちたお方が?そんな蕩けるような顔をして。溺愛されてるのですか?そんなか細い少年を?
イスベルク様は仕事以外に興味がなかったはずなのに。何かと時間を見つけてはルミエールの元へと向かわれるようになった。
「ルミエールはいるか?」
「はい。お部屋で休んでおられます」
侍従が音もなく現れて返事をする。昼寝をしているのか?呑気なものだな。私がこんなに走り回っているのに。きっと甘やかされて育ってきたのだろう。
すぅすぅと寝息を立てて眠るルミエールの髪をかきあげ頬ずりをするイスベルク様。なんだか見てはいけないものをみたような倒錯した気分になる。
「……イスベルク?」
「ああ。起きたのか?」
「来てくれたの?僕に何か用事?」
「いや、その。食事を……そうだ、食事に誘おうと思ってきたのだ」
「食事? もうそんな時間なの?そういえばお腹減ったかも」
「そうだ。体調はどうだ?良くないのなら一緒にここで食事をしないか?」
「本当?今日は一緒にランチができるの?」
なんだと?昼の会食はどうなる?予定されている議題はいくつかあるのだぞ。寄り道をするというからついてきたらこのざまだ。まったく。
「軽くにしておいてください。会食はお茶だけにいたしますので」
すぐさま侍従たちによって食事の用意がされた。小さな椅子にイスベルク様が狭そうに座っている。この部屋はルミエールに合わせて椅子は小さめサイズのなのか。
「ふふ」
「どうした?」
「今度イスベルク用の椅子も用意してもらっておくね」
「ルミエールは細いからな」
「もぉ。細いって言わないで。食事をもらえなかったからだよ。今はちゃんと毎日食べてるから元気だよ」
……食事がもらえないとは?炎の国はそんなに貧しかったのか?いやそんなはずはない。仮にも王子だろ?
「グラソンも一緒に食べよう」
「いえ。私は……」
「お腹が減ってないなら果物だけでもどうぞ」
「では少しだけ」
くそ。こういう気遣いができるから嫌いになれない。思いやりがある子だとは思う。
数日観察してみたがルミエールは見た目にあわせて幼めの口調を使っているが中身は違うような気がする。外見は天使か妖精のようだが中身はもっとはっきりした意思を持っている。時々ハッとするような意見を言ったり大人びた表情をするのだ。聞き分けも良いが思慮深そうな一面も持っている。油断してはいけないと感じさせる何かがあるのは王子としての品格なのか?元来持って生まれたものなのだろうか?
「そういえば私はまだルミエール様の炎魔法を見せていただいたことはありませんがどのような威力なのでしょうか?」
チカラの具合を知っておかなければ。すぐに対処ができなくなるからな。
「グラソン。食事中だぞ」
「いいよ。他の人にも聞かれるから。僕は炎属性とは相性が悪いんだ。ろうそくの炎しか出せないから」
え?ろうそく?炎の国の王子なのに?
「あまりに火炎量が少ないために祖国ではろうそく王子と呼ばれていたんだ。だから僕は本当はイスベルクにはふさわしくないのかもしれないけど……」
「そんなことはない!俺は魔法ができる出来ないで婚姻を決めたわけではない。ルミエールが良いんだ」
「ありがとうイスベルク」
なんだこの甘い空気は。イスベルク様は本気なのか?本当に本気で?
ルミエールが手のひらを上に向けるとろうそくの炎がぽっと浮かぶ。小さいがやわらかな炎だ。ぽっぽっぽっといくつか円を描くように出すとくるくると頭上でまわっている。小さな炎が踊っているようにみえる。
「はい。これでおしまい。ごめんね。このくらいの炎しかだせなくて」
「ルミエールの得意魔法は治癒だ。キャンベルの足を一瞬で治したぞ」
「なんですと!治癒ですか?」
なんと治癒ができるのか!これは使えるかも。戦時で一番困ったのは救護だ。回復魔法士が少なかったからだ。うむ。これは欲しい人材となってしまった。認めたくないが居てくれると助かる。ううむ。
イスベルク様が城に戻られる前に占い師のミコトが現れ吉凶が間違っていたと言い出していたのを思いだす。
「どうも最近年齢のせいか読み間違えてしまって。南は凶でございました。イスベルク様が凶を連れて戻られます。アレはこの国に最凶をもたらすでしょう」
「なんともいい加減なことを!お前の占いのせいでイスベルク様がここを離れられたというのに!今更そのような話ができると思っているのか!」
どうせ炎の国の王子なぞすぐにこの国を出て行くと思っていた。城の侍従達も暴力的なわがままな末王子がやってくるのではと警戒していたのではなかったのか?いまや素直で物怖じしないルミエールに毒気を抜かれたようになっているという。
一番呆れかえったのは晩餐会の最中に。それも食事中に。倒れる様に眠ってしまっていたことだ。いくら長旅で疲れていたにしてもありえないだろう?皇帝陛下や側近の重臣たちが居るのだぞ。緊張こそすれ寝てしまうなどと。何たる失態。これが皇太子の伴侶候補だと?そしてそれを咎めることもなくイスベルク様はご自分の膝にのせてしまった。膝にだと?どうされてしまったのだ?あれだけ威厳に満ちたお方が?そんな蕩けるような顔をして。溺愛されてるのですか?そんなか細い少年を?
イスベルク様は仕事以外に興味がなかったはずなのに。何かと時間を見つけてはルミエールの元へと向かわれるようになった。
「ルミエールはいるか?」
「はい。お部屋で休んでおられます」
侍従が音もなく現れて返事をする。昼寝をしているのか?呑気なものだな。私がこんなに走り回っているのに。きっと甘やかされて育ってきたのだろう。
すぅすぅと寝息を立てて眠るルミエールの髪をかきあげ頬ずりをするイスベルク様。なんだか見てはいけないものをみたような倒錯した気分になる。
「……イスベルク?」
「ああ。起きたのか?」
「来てくれたの?僕に何か用事?」
「いや、その。食事を……そうだ、食事に誘おうと思ってきたのだ」
「食事? もうそんな時間なの?そういえばお腹減ったかも」
「そうだ。体調はどうだ?良くないのなら一緒にここで食事をしないか?」
「本当?今日は一緒にランチができるの?」
なんだと?昼の会食はどうなる?予定されている議題はいくつかあるのだぞ。寄り道をするというからついてきたらこのざまだ。まったく。
「軽くにしておいてください。会食はお茶だけにいたしますので」
すぐさま侍従たちによって食事の用意がされた。小さな椅子にイスベルク様が狭そうに座っている。この部屋はルミエールに合わせて椅子は小さめサイズのなのか。
「ふふ」
「どうした?」
「今度イスベルク用の椅子も用意してもらっておくね」
「ルミエールは細いからな」
「もぉ。細いって言わないで。食事をもらえなかったからだよ。今はちゃんと毎日食べてるから元気だよ」
……食事がもらえないとは?炎の国はそんなに貧しかったのか?いやそんなはずはない。仮にも王子だろ?
「グラソンも一緒に食べよう」
「いえ。私は……」
「お腹が減ってないなら果物だけでもどうぞ」
「では少しだけ」
くそ。こういう気遣いができるから嫌いになれない。思いやりがある子だとは思う。
数日観察してみたがルミエールは見た目にあわせて幼めの口調を使っているが中身は違うような気がする。外見は天使か妖精のようだが中身はもっとはっきりした意思を持っている。時々ハッとするような意見を言ったり大人びた表情をするのだ。聞き分けも良いが思慮深そうな一面も持っている。油断してはいけないと感じさせる何かがあるのは王子としての品格なのか?元来持って生まれたものなのだろうか?
「そういえば私はまだルミエール様の炎魔法を見せていただいたことはありませんがどのような威力なのでしょうか?」
チカラの具合を知っておかなければ。すぐに対処ができなくなるからな。
「グラソン。食事中だぞ」
「いいよ。他の人にも聞かれるから。僕は炎属性とは相性が悪いんだ。ろうそくの炎しか出せないから」
え?ろうそく?炎の国の王子なのに?
「あまりに火炎量が少ないために祖国ではろうそく王子と呼ばれていたんだ。だから僕は本当はイスベルクにはふさわしくないのかもしれないけど……」
「そんなことはない!俺は魔法ができる出来ないで婚姻を決めたわけではない。ルミエールが良いんだ」
「ありがとうイスベルク」
なんだこの甘い空気は。イスベルク様は本気なのか?本当に本気で?
ルミエールが手のひらを上に向けるとろうそくの炎がぽっと浮かぶ。小さいがやわらかな炎だ。ぽっぽっぽっといくつか円を描くように出すとくるくると頭上でまわっている。小さな炎が踊っているようにみえる。
「はい。これでおしまい。ごめんね。このくらいの炎しかだせなくて」
「ルミエールの得意魔法は治癒だ。キャンベルの足を一瞬で治したぞ」
「なんですと!治癒ですか?」
なんと治癒ができるのか!これは使えるかも。戦時で一番困ったのは救護だ。回復魔法士が少なかったからだ。うむ。これは欲しい人材となってしまった。認めたくないが居てくれると助かる。ううむ。
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