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第一章:塩対応の同室騎士は言葉が足らない
番外編:帰郷②
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誤解がひどすぎる。侯爵家とは関係ないと僕が説明しようとしても、皆は無理はしなくていいと僕のいう事を真に受けてくれない。
しばらくして背の高い白髪の軍服を着た男性が現れる。
「おお。これは侯爵さま。今お話をさせていただいていたところです」
「そうであったか。では話は早いな。アルベルトとはこの子か。なるほどジュリアンが執着するのが分かる気がする。綺麗な子だ」
「いかにも僕はアルベルト・ツイリーですが何の御用でしょうか?」
「これ、アルベルト。侯爵殿になんて口の利き方をするのだ」
父さまが焦っている姿が滑稽に見える。
「はっはっは。これは見かけによらず気が強そうだ。君は今から我が家のモノだ。このまま儂と一緒に来てもらおう」
「お断りします! 僕はモノではありません」
「ふん。そのような事申してもよいのか? 兄の士官の話がなくなるぞ」
そうか。コンラッド兄上を巻き込んでの茶番劇だったのか。目の前の兄上の顔がどんどん青ざめていく。さすがに今の侯爵の言葉に不信に思うことがあったのだろう。母さまはこういう駆け引きが大嫌いな性格だったはずだけど?
「ちょっとお待ちくださいな。それはどういうことですの? 侯爵様のお話とは違うようではありませんか?」
母さまの言葉に父さまとコンラッド兄上が固まる。そうなのだ。我が家で一番実権を握っているのは実は母さまなのだ。
「女性は黙っておられよ」
侯爵が冷たく言い放つと母さまの額に青筋がたった。
「それは……聞き捨てならない言葉ですわね。アルベルト、私たちは侯爵様からお前がサミュエル・ブラッドリーに脅されてると聞いてたのよ」
「はあ? そんなの嘘です!」
「お前が侯爵家のジュリアンさまと恋仲なのに同室のブラッドリー家の子息に無理やり襲われ傷物にされたからあわてて婚姻させられると言われていたの」
うっ。半分あっている気もする。でも無理やりじゃないし、ジュリアンとはあれ以来話してないし……。
「黙れ! 儂が直々に格下の家まで来てやっているのだぞ。悪い様にはしないと言っておるだろうが! 黙ってついてくればいいのじゃ」
「そこまでだ!」
地を這うような低い声が部屋に響いた。
「サム?」
振り向くと汗だくになったサミュエルが扉の前に立っていた。まさか、本当にすぐに会いに来てくれたの?
「アル。遅くなってすまない」
「サム!」
僕はサミュエルに抱きついた。
「お前……何故ここに?」
侯爵が顔をゆがめて問いかけてきた。
「何故? 貴殿が騎士団に寄こした襲撃話しが嘘だったからだが? 団長はすでにおわかりだったようだ。近いうちに王都からこの件について貴殿に問い合わせがくるだろう」
サミュエルは僕を抱きしめながら侯爵と視線を合わせたまま話続ける。
「我が子可愛いさから周りを巻き込んで騒ぎを起こすのが侯爵家のやり方か?」
「な、何を言う。言いがかりだ! この儂に恥をかかせる気か? 貴様ただですむと思うなよ」
「その言葉そっくりそのまま返すぞ。俺を怒らせるな。何をするかわからないぞ」
こう言う時のサミュエルは獰猛な狼に見える。隙あれば相手の喉元を掻っ切るだろう勢いだ。僕はまだ経験はないがすでにサミュエルは騎士団とともにいくつかの修羅場を乗り越えてきたのだと言う。つまりは実戦済みなのだ。迫力が違う。
「ついでにそこで居合わせた貴殿の部下達だが実戦不足だったので俺が訓練しておいた」
侯爵は僕を本気で連れて行こうと部下を待機させていたのか。それをサミュエルは倒してくれたんだね。さすがだ。
「は? なんだと! くそ。覚えておれよ!」
侯爵は廊下で転がっている部下をかかえて帰って行った。
「どうしよう。この家で侯爵様の部下に暴力をふるうなんて」
父さまがおろろしている。
「おや、大丈夫でしょう。訓練だったのでしょう? 鍛えてもらえてよかったのじゃないかしら」
母さまの笑顔が怖い。
「挨拶が遅れました。俺はサミュエル・ブラッドリー。アルベルトを愛しています」
「僕もサミュエルを愛してるんだ! 結婚するならサミュエルじゃないと嫌だ」
あー、この言い方じゃ子供が駄々をこねてるみたいだ。でもサミュエル以外となんて考えられない。
「母のアレーニアです。こちらは主人のコルテロと長男のコンラッドよ」
「俺は卒業と同時にアルと結婚し、騎士団支部団長となります。辺境伯となりアルと領地を守っていきます」
「アルベルトを辺境地に連れて行くと言うのか!」
父さまの顔が引き攣っている。
「はい。連れて行きます。俺がアルと一緒に居たいのです。どれだけ疲れて帰ってきてもアルの笑顔を見るだけで癒される。アルがそばに居るだけで俺は生きていけるのです」
ひゃあ。恥ずかしい。真顔で堂々と言ってのけたサミュエルに兄上が赤面してる。それに隣にいる母さまの目がキラキラしてる。
「本気でアルベルトが好きなのですね? 一時の気の迷いでなく、一生をかけてこの子を守ると誓えるのですね?」
「神かけて誓う。俺はアルを幸せにしてみせる」
「サム。それは結婚の時に言って欲しい」
「そうだった! すまない。何度でも誓う。アルが気が済むまで何百回でも何千回でも」
サミュエルが僕の機嫌を取るように目じりにキスをしながらすまない、愛してると繰り返し囁く。
「こほん。あー、もうわかったから。親の前であまりイチヤつくな」
父さまが苦虫を潰したような顔をする。
「式にはお呼びいたします」
「当たり前だ……いえ、ありがたき幸せでございます」
ここにきて爵位がサミュエルの方が上だと思い出したのだろう。父さまの顔がまた青くなった。
「「兄さま。大丈夫なのですか?」」
「アル本当に結婚するのか?」
別部屋にいた兄弟達が顔をのぞかせる。
「うん。勝手に決めて皆ごめん。でも僕はサムについて行きたいんだ」
その後はサミュエルを加えての一家団欒になった。口数は少なかったがずっと僕の腰を抱いていたサミュエルに皆は少しずつ打ち解けていった。兄上の士官の話もサミュエルを通して確認してもらった。侯爵家を通じなくても兄上自身を気に入っての話だったらしい。今後は公爵家が後ろ盾になってくれるらしい。やったね兄上。
「爵位を超えて言わせてもらえば、私は息子が一人増えたと思っているのよ。サミュエルさん、これからは遠慮せずにうちに遊びにきてちょうだいね!」
母さまの言葉にサミュエルがうなづいた。心なしか目が潤んでる様に見えるのは見間違いではないだろう。
帰りの馬車の中でサミュエルがぽつりとつぶやいた。
「アルは母親似なんだな」
「そうみたいだな。僕は女顔だってよく言われるよ」
「いや、性格が……」
「え? なんだって」
「なんでもない……」
しばらくして背の高い白髪の軍服を着た男性が現れる。
「おお。これは侯爵さま。今お話をさせていただいていたところです」
「そうであったか。では話は早いな。アルベルトとはこの子か。なるほどジュリアンが執着するのが分かる気がする。綺麗な子だ」
「いかにも僕はアルベルト・ツイリーですが何の御用でしょうか?」
「これ、アルベルト。侯爵殿になんて口の利き方をするのだ」
父さまが焦っている姿が滑稽に見える。
「はっはっは。これは見かけによらず気が強そうだ。君は今から我が家のモノだ。このまま儂と一緒に来てもらおう」
「お断りします! 僕はモノではありません」
「ふん。そのような事申してもよいのか? 兄の士官の話がなくなるぞ」
そうか。コンラッド兄上を巻き込んでの茶番劇だったのか。目の前の兄上の顔がどんどん青ざめていく。さすがに今の侯爵の言葉に不信に思うことがあったのだろう。母さまはこういう駆け引きが大嫌いな性格だったはずだけど?
「ちょっとお待ちくださいな。それはどういうことですの? 侯爵様のお話とは違うようではありませんか?」
母さまの言葉に父さまとコンラッド兄上が固まる。そうなのだ。我が家で一番実権を握っているのは実は母さまなのだ。
「女性は黙っておられよ」
侯爵が冷たく言い放つと母さまの額に青筋がたった。
「それは……聞き捨てならない言葉ですわね。アルベルト、私たちは侯爵様からお前がサミュエル・ブラッドリーに脅されてると聞いてたのよ」
「はあ? そんなの嘘です!」
「お前が侯爵家のジュリアンさまと恋仲なのに同室のブラッドリー家の子息に無理やり襲われ傷物にされたからあわてて婚姻させられると言われていたの」
うっ。半分あっている気もする。でも無理やりじゃないし、ジュリアンとはあれ以来話してないし……。
「黙れ! 儂が直々に格下の家まで来てやっているのだぞ。悪い様にはしないと言っておるだろうが! 黙ってついてくればいいのじゃ」
「そこまでだ!」
地を這うような低い声が部屋に響いた。
「サム?」
振り向くと汗だくになったサミュエルが扉の前に立っていた。まさか、本当にすぐに会いに来てくれたの?
「アル。遅くなってすまない」
「サム!」
僕はサミュエルに抱きついた。
「お前……何故ここに?」
侯爵が顔をゆがめて問いかけてきた。
「何故? 貴殿が騎士団に寄こした襲撃話しが嘘だったからだが? 団長はすでにおわかりだったようだ。近いうちに王都からこの件について貴殿に問い合わせがくるだろう」
サミュエルは僕を抱きしめながら侯爵と視線を合わせたまま話続ける。
「我が子可愛いさから周りを巻き込んで騒ぎを起こすのが侯爵家のやり方か?」
「な、何を言う。言いがかりだ! この儂に恥をかかせる気か? 貴様ただですむと思うなよ」
「その言葉そっくりそのまま返すぞ。俺を怒らせるな。何をするかわからないぞ」
こう言う時のサミュエルは獰猛な狼に見える。隙あれば相手の喉元を掻っ切るだろう勢いだ。僕はまだ経験はないがすでにサミュエルは騎士団とともにいくつかの修羅場を乗り越えてきたのだと言う。つまりは実戦済みなのだ。迫力が違う。
「ついでにそこで居合わせた貴殿の部下達だが実戦不足だったので俺が訓練しておいた」
侯爵は僕を本気で連れて行こうと部下を待機させていたのか。それをサミュエルは倒してくれたんだね。さすがだ。
「は? なんだと! くそ。覚えておれよ!」
侯爵は廊下で転がっている部下をかかえて帰って行った。
「どうしよう。この家で侯爵様の部下に暴力をふるうなんて」
父さまがおろろしている。
「おや、大丈夫でしょう。訓練だったのでしょう? 鍛えてもらえてよかったのじゃないかしら」
母さまの笑顔が怖い。
「挨拶が遅れました。俺はサミュエル・ブラッドリー。アルベルトを愛しています」
「僕もサミュエルを愛してるんだ! 結婚するならサミュエルじゃないと嫌だ」
あー、この言い方じゃ子供が駄々をこねてるみたいだ。でもサミュエル以外となんて考えられない。
「母のアレーニアです。こちらは主人のコルテロと長男のコンラッドよ」
「俺は卒業と同時にアルと結婚し、騎士団支部団長となります。辺境伯となりアルと領地を守っていきます」
「アルベルトを辺境地に連れて行くと言うのか!」
父さまの顔が引き攣っている。
「はい。連れて行きます。俺がアルと一緒に居たいのです。どれだけ疲れて帰ってきてもアルの笑顔を見るだけで癒される。アルがそばに居るだけで俺は生きていけるのです」
ひゃあ。恥ずかしい。真顔で堂々と言ってのけたサミュエルに兄上が赤面してる。それに隣にいる母さまの目がキラキラしてる。
「本気でアルベルトが好きなのですね? 一時の気の迷いでなく、一生をかけてこの子を守ると誓えるのですね?」
「神かけて誓う。俺はアルを幸せにしてみせる」
「サム。それは結婚の時に言って欲しい」
「そうだった! すまない。何度でも誓う。アルが気が済むまで何百回でも何千回でも」
サミュエルが僕の機嫌を取るように目じりにキスをしながらすまない、愛してると繰り返し囁く。
「こほん。あー、もうわかったから。親の前であまりイチヤつくな」
父さまが苦虫を潰したような顔をする。
「式にはお呼びいたします」
「当たり前だ……いえ、ありがたき幸せでございます」
ここにきて爵位がサミュエルの方が上だと思い出したのだろう。父さまの顔がまた青くなった。
「「兄さま。大丈夫なのですか?」」
「アル本当に結婚するのか?」
別部屋にいた兄弟達が顔をのぞかせる。
「うん。勝手に決めて皆ごめん。でも僕はサムについて行きたいんだ」
その後はサミュエルを加えての一家団欒になった。口数は少なかったがずっと僕の腰を抱いていたサミュエルに皆は少しずつ打ち解けていった。兄上の士官の話もサミュエルを通して確認してもらった。侯爵家を通じなくても兄上自身を気に入っての話だったらしい。今後は公爵家が後ろ盾になってくれるらしい。やったね兄上。
「爵位を超えて言わせてもらえば、私は息子が一人増えたと思っているのよ。サミュエルさん、これからは遠慮せずにうちに遊びにきてちょうだいね!」
母さまの言葉にサミュエルがうなづいた。心なしか目が潤んでる様に見えるのは見間違いではないだろう。
帰りの馬車の中でサミュエルがぽつりとつぶやいた。
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「そうみたいだな。僕は女顔だってよく言われるよ」
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「なんでもない……」
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