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第二章:辺境伯は溺愛中
25反乱分子
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「アル様。喧嘩はよくないっすよ。サミュエル様はきっと心配なすって言わなかっただけだと」
「ライナス。サミュエルを庇ってくれるのは嬉しいけどさ。僕は隠し事されるのが嫌いなんだ。それに喧嘩するとはまだ決まってないだろう!」
「だって、もう怒ってるじゃねえですか~」
「そりゃそうだよ!」
僕に黙って何をする気だい!
「アルベルト様。気をお静めください。サミュエル様も別に隠すつもりがあったわけではなかったと思います」
警護の騎士が申し訳なさそう言う。そうか、騎士達は知っていたんだね?
「ごめん。それ以上今は言わないで。サミュエルから直に聞きたいんだ」
城に戻ると侍従達が慌てている。予定では僕は昼過ぎまで農園の視察となっていたから急な帰宅に驚いているようだ。何故驚く必要がある?そのまま僕が無言で歩きだすと、もうライナスも護衛の騎士も諦めたように僕の後ろをついてくるだけだった。
「執務室には僕一人で行くから。二人はここで待っていて」
「いよいよ動き出したようだ」
「ええ。では手はず通りに事を進めましょう」
執務室の扉をあけると目の前にサミュエルとデセルトがいた。
「何を進める気なんだい?」
「あ、アルベルト様。これはお早いお戻りで」
「…………アル」
「デセルト。お茶を入れてくれるかい?さあ、サミュエル僕にわかるように説明してくれ!」
「まあまあまあ。帰ってきて早々に挨拶もなしにそれはないでしょ?」
なんと反対側のソファーには母さまが座っていた!僕はまっすぐにサミュエルしか見つめてなかったから部屋に他の人間がいるなんて思っても居なかったのだ!
「へ?母さま?なんでここに?」
「あら、だって遊びにきてもいいって知らせを寄こしたのはアルベルトじゃないの」
母さまがにっこりと笑う。だけど、その笑顔は何かをしでかした時の顔だ。怖いぞ。
「そうだけど。知らせをくれたら出迎えに行ったのに」
「それが出来なかったのだ。任務を兼ねてだったからな」
母さまの隣には次兄であるフレッド兄さんがいた!
「ええ!兄さんまで来たの?」
「いや、違う。正式には俺の任務に母上がついてきたのだ」
額に手を当てて嘆くように次兄が言う。
「ちょっと。何がどうなってるのさ!」
「ぁあ。そうだな。実は俺もこんなにややこしくなるとは思わなくて」
サミュエルの眉間にまた皺が寄っている。これは僕の家族のせいで余計に話が混乱してるのかもしれない。ちょっと申し訳なく感じてしまう。
「あらややこしいなんて。フレッドは任務が出来て私はアルベルトに会えるのだからちょうどいいでしょ?」
ふふふといたずらっぽく笑う母さま。
「はあ。まずは俺から話そう。アルベルト。サミュエル辺境伯はお前に作戦を話さなかったのではなく、話せなかったのだ。それは理解してほしい」
「兄さん。サムが話せなかったってどういうこと?」
「今回の話は辺境地だけの話ではなくなっているのだ。王都絡みとなっているため、極秘事項となっていた。サミュエル辺境伯は真面目だからな。だから団に所属していないお前に伝えることが出来なかったのだろう」
「アル……すまない。何度も話そうとしたんだが、一般人であるお前を巻き込む様なことはできなかった」
「なんだよサム。僕は一般人じゃないよ。辺境伯家の一員……」
そっか。僕はまだ辺境伯家の一員ではないのだ。ただの婚約者なんだ。ここに来てから必死でこの地をよくするために頑張って来た。いや、そうじゃないな。公爵に義父に。認めてもらいたかったんだ。サミュエルの伴侶として皆に認めてもらいたかったんだ。
「……僕はまだ一員じゃなかったんだ」
「それが何?作戦には人手がいるでしょ?それに私はもう聞いてしまったのだからアルベルトも知るべきよ」
「母さまはその作戦をしっているの?」
「私はブルーノから聞いたの」
「やはりそうでしたか。ブルーノさんから全面協力するかわりにと皆さんに内緒でお手紙を何度か……」
デセルトが言いづらそうに話し出す。何しちゃってるのさ。ブルーノさん母さまのファンみたいだったからファンレターでも送ったのかな?でも母さまのことだからそれだけじゃあ済まなかったんだろうな。
「貴方たち騎士団が話しづらいならじゃあ私が話せばいいんでしょう?」
「まあ……そういうことなら」
「………………」
フレッド兄さんは渋々と言った感じ。サミュエルは無言だ。誰も母さまには逆らえないよね?
母さまの話によると数年前から王都に反乱分子が潜んでいることがわかったようだ。以前隣国との闘いの時にも参戦していた生き残りがリーダーとなり暗躍しているらしい。その資金源を調べているとなんとその一部がこの辺境地から流れている可能性が出てきたというのだ。そして近いうちに反乱を起こす用意もしていると。そこに今回のノワールの話がでてきて合致したらしい。
「大変じゃないか……まさかノワール伯爵がその仲間?」
「……まだそこまではわからないが……我が領の品がその資金に充てられてたかも知れぬ」
サミュエルがつらそうだ。でも領主になる前の話だからサミュエルが責任を感じなくてもいいのに。
「そこでだ。王都から騎士団の要請でノワール領を通らない別ルートを探して俺がここまで来たのだ」
これまで山を越える遠回りのルートしかなかったが森林を抜けるルートを見つけたのだそうだ。
「え?フレッド兄さんって騎士団だったの?」
「ああ!この度団員試験に合格したのだ!これがその最初の仕事なのだ!」
「そうなんだ!おめでとう!」
フレッド兄さんは容姿は父さま似だけど、気が強いところは母さまに似たから騎士に向いてると思う。母さま自身も剣の使い手だったらしいし。
「今まではノワール領を通るときに通行料として金品を渡さないといけなかったようだが、先日の測量で実際にはその地域はサミュエル領だと判明させた。だからもう小銭を稼ぐ事も出来ないはずだ」
判明させた?それってまさかノワール領を縮小してサミュエル領に……?
「アルベルト。深い詮索はするな。すべては王が決めたのだ」
「はい。でも、それならなぜ兄さんは別ルートで来たのですか?どうしてノワールを捕まえないの?」
「決め手がないのだ。だからノワールたちに気づかれない様に別ルートで来た。それに捕まえるなら一網打尽にしたいのだ」
「……アル。ノワールだけを捕まえても解決にならないところまで来ているのだ」
「そうだったのか」
「さあさあ、ということで私の出番でしょ?」
「は?なんで?どうしてそうなるの?」
「だって、皆、顔を知られてるじゃないの!うふふ。こういうの前からやってみたかったのよ!」
「だっ……だめです!義母さまはアルにそっくりではありませんか!」
「女性には化粧というものがあるのよ。化粧はね、美しくなるだけじゃないのよ。化けるのよ」
「そうなると思ったんだよ!俺もう知らないぞ。父上には報告できそうもない!」
フレッド兄さまが頭を抱える。
「ふふふ」
母さまがとても嬉しそうだ。いやでも、ちょっとその気持ちは僕にもわかる。そっか僕も母さまの方に参加すればいいのか……。
「ライナス。サミュエルを庇ってくれるのは嬉しいけどさ。僕は隠し事されるのが嫌いなんだ。それに喧嘩するとはまだ決まってないだろう!」
「だって、もう怒ってるじゃねえですか~」
「そりゃそうだよ!」
僕に黙って何をする気だい!
「アルベルト様。気をお静めください。サミュエル様も別に隠すつもりがあったわけではなかったと思います」
警護の騎士が申し訳なさそう言う。そうか、騎士達は知っていたんだね?
「ごめん。それ以上今は言わないで。サミュエルから直に聞きたいんだ」
城に戻ると侍従達が慌てている。予定では僕は昼過ぎまで農園の視察となっていたから急な帰宅に驚いているようだ。何故驚く必要がある?そのまま僕が無言で歩きだすと、もうライナスも護衛の騎士も諦めたように僕の後ろをついてくるだけだった。
「執務室には僕一人で行くから。二人はここで待っていて」
「いよいよ動き出したようだ」
「ええ。では手はず通りに事を進めましょう」
執務室の扉をあけると目の前にサミュエルとデセルトがいた。
「何を進める気なんだい?」
「あ、アルベルト様。これはお早いお戻りで」
「…………アル」
「デセルト。お茶を入れてくれるかい?さあ、サミュエル僕にわかるように説明してくれ!」
「まあまあまあ。帰ってきて早々に挨拶もなしにそれはないでしょ?」
なんと反対側のソファーには母さまが座っていた!僕はまっすぐにサミュエルしか見つめてなかったから部屋に他の人間がいるなんて思っても居なかったのだ!
「へ?母さま?なんでここに?」
「あら、だって遊びにきてもいいって知らせを寄こしたのはアルベルトじゃないの」
母さまがにっこりと笑う。だけど、その笑顔は何かをしでかした時の顔だ。怖いぞ。
「そうだけど。知らせをくれたら出迎えに行ったのに」
「それが出来なかったのだ。任務を兼ねてだったからな」
母さまの隣には次兄であるフレッド兄さんがいた!
「ええ!兄さんまで来たの?」
「いや、違う。正式には俺の任務に母上がついてきたのだ」
額に手を当てて嘆くように次兄が言う。
「ちょっと。何がどうなってるのさ!」
「ぁあ。そうだな。実は俺もこんなにややこしくなるとは思わなくて」
サミュエルの眉間にまた皺が寄っている。これは僕の家族のせいで余計に話が混乱してるのかもしれない。ちょっと申し訳なく感じてしまう。
「あらややこしいなんて。フレッドは任務が出来て私はアルベルトに会えるのだからちょうどいいでしょ?」
ふふふといたずらっぽく笑う母さま。
「はあ。まずは俺から話そう。アルベルト。サミュエル辺境伯はお前に作戦を話さなかったのではなく、話せなかったのだ。それは理解してほしい」
「兄さん。サムが話せなかったってどういうこと?」
「今回の話は辺境地だけの話ではなくなっているのだ。王都絡みとなっているため、極秘事項となっていた。サミュエル辺境伯は真面目だからな。だから団に所属していないお前に伝えることが出来なかったのだろう」
「アル……すまない。何度も話そうとしたんだが、一般人であるお前を巻き込む様なことはできなかった」
「なんだよサム。僕は一般人じゃないよ。辺境伯家の一員……」
そっか。僕はまだ辺境伯家の一員ではないのだ。ただの婚約者なんだ。ここに来てから必死でこの地をよくするために頑張って来た。いや、そうじゃないな。公爵に義父に。認めてもらいたかったんだ。サミュエルの伴侶として皆に認めてもらいたかったんだ。
「……僕はまだ一員じゃなかったんだ」
「それが何?作戦には人手がいるでしょ?それに私はもう聞いてしまったのだからアルベルトも知るべきよ」
「母さまはその作戦をしっているの?」
「私はブルーノから聞いたの」
「やはりそうでしたか。ブルーノさんから全面協力するかわりにと皆さんに内緒でお手紙を何度か……」
デセルトが言いづらそうに話し出す。何しちゃってるのさ。ブルーノさん母さまのファンみたいだったからファンレターでも送ったのかな?でも母さまのことだからそれだけじゃあ済まなかったんだろうな。
「貴方たち騎士団が話しづらいならじゃあ私が話せばいいんでしょう?」
「まあ……そういうことなら」
「………………」
フレッド兄さんは渋々と言った感じ。サミュエルは無言だ。誰も母さまには逆らえないよね?
母さまの話によると数年前から王都に反乱分子が潜んでいることがわかったようだ。以前隣国との闘いの時にも参戦していた生き残りがリーダーとなり暗躍しているらしい。その資金源を調べているとなんとその一部がこの辺境地から流れている可能性が出てきたというのだ。そして近いうちに反乱を起こす用意もしていると。そこに今回のノワールの話がでてきて合致したらしい。
「大変じゃないか……まさかノワール伯爵がその仲間?」
「……まだそこまではわからないが……我が領の品がその資金に充てられてたかも知れぬ」
サミュエルがつらそうだ。でも領主になる前の話だからサミュエルが責任を感じなくてもいいのに。
「そこでだ。王都から騎士団の要請でノワール領を通らない別ルートを探して俺がここまで来たのだ」
これまで山を越える遠回りのルートしかなかったが森林を抜けるルートを見つけたのだそうだ。
「え?フレッド兄さんって騎士団だったの?」
「ああ!この度団員試験に合格したのだ!これがその最初の仕事なのだ!」
「そうなんだ!おめでとう!」
フレッド兄さんは容姿は父さま似だけど、気が強いところは母さまに似たから騎士に向いてると思う。母さま自身も剣の使い手だったらしいし。
「今まではノワール領を通るときに通行料として金品を渡さないといけなかったようだが、先日の測量で実際にはその地域はサミュエル領だと判明させた。だからもう小銭を稼ぐ事も出来ないはずだ」
判明させた?それってまさかノワール領を縮小してサミュエル領に……?
「アルベルト。深い詮索はするな。すべては王が決めたのだ」
「はい。でも、それならなぜ兄さんは別ルートで来たのですか?どうしてノワールを捕まえないの?」
「決め手がないのだ。だからノワールたちに気づかれない様に別ルートで来た。それに捕まえるなら一網打尽にしたいのだ」
「……アル。ノワールだけを捕まえても解決にならないところまで来ているのだ」
「そうだったのか」
「さあさあ、ということで私の出番でしょ?」
「は?なんで?どうしてそうなるの?」
「だって、皆、顔を知られてるじゃないの!うふふ。こういうの前からやってみたかったのよ!」
「だっ……だめです!義母さまはアルにそっくりではありませんか!」
「女性には化粧というものがあるのよ。化粧はね、美しくなるだけじゃないのよ。化けるのよ」
「そうなると思ったんだよ!俺もう知らないぞ。父上には報告できそうもない!」
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