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今が良い
しおりを挟むそれよりも何よりも、わたしは優先したい気持ちがあった。
「ねええ、グループ内でさ、恋愛とかやめようよお? みんな友だちなのが楽しーんじゃん?」
うん、これが一番、今の私の気持ちを表している。
與田くんも渡辺くんも、好きだよ。絶対的な見方なら、好感を持っている。相対的な見方なら、クラスや身近にいる男性の中では、仲が良く相性も良いと思っている。
でも、異性としてみていたかと言われれば、意識はしていなかった。無意識下のことはよくわからない。
異性として見れるかと問われれば、それはもちろんできる。
できるのだが……今、みんなと忌憚なく気兼ねなく好き放題言い合えている関係性が、居心地が良く快い。その関係性やらバランスやらが崩れてしまうのは、嫌だった。
「そーだよねぇ。でも、男と女なんて理屈じゃないし? 気持ちなんて止められないんだからね?」
カモエリがまた恋愛マスターぶろうとしてくる。
「気持ちを受けたら真摯に! 気持ちが芽生えたら素直に! だよ?」
「う、うん」
ちょっとナメてたカモエリが、意外とそれっぽいことを言ったので思わず素直な返事をしてしまった。
でも、さっき言ったわたしの言葉は、今の時点ではいつわざる本心だ。
彼氏は欲しいと思うし、恋愛だってしたら楽しいと思う。
毎日きっと気持ちが浮き立って、幸福感に包まれるのだと思う。
でも。だけど。
今、過ごしているみんなとの時間。
これがなくなってしまうのは、やっぱりどうしても嫌なのだ。
みんなとの関係性。
これが崩れてしまうのは、とても怖い。
それを思うと、恋愛を否定するつもりはないけれども、グループの中でくっついたり、離れたり、また別の誰かと......なんてことになるのは、嫌だなぁと思った。
そして、そんなことになってる段階で、もうそのグループは、いわゆる仲の良いグループとしての形は保てなくなっているだろう。
自ずと疎遠になるみんな。中には憎みあったり敬遠しあったり、なんて関係になってることもあるかもしれない。
そんな、起こってもいない妄想で、二の足を踏み行動をしないのは臆病が過ぎると思うけど、そもそも行動しようという思いが特段芽生えていないのであれば、それを無理やり育て上げるようなことまではしなくても良い。
とりあえず、今のわたしはこのようなバランスで、物事を考えていた。
わたしにとっては、今時点では恋愛ごとはまだ少し遠い、他人事のようなものだった。
でも、みんなはそれぞれ、恋愛に対しての距離感を持っている。
それは、わたしよりも近い人は多いのかもしれない。
わたしがどれほど望まなくても、敬遠しても。
わたし以外のところで、関係性が深まったり疎遠になったりすることは起こり得るのだ。
さすがに自分以外のことでとやかくいうのは憚られるが、内心ではそれも怖いと思っていた。
わたしは、臆病すぎるのだろうか。
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