スルドの声(共鳴2) terceira esperança

桜のはなびら

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中学生の恋愛

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 いわゆるわかりやすい充実した学生生活を求めていた與田くん。
 與田くんの見た目と性格なら、そんな中学時代を送れていそうな印象があるが。

「興田くんてモテてたんじゃないの?」
 モテていたなら、例え部活中心だったとしても華のある生活は送れていそうなものだが。
「まーなぁ。体育祭とかでわーわー言われたりとかはしてたなかなぁ」
 すんなり肯定すんのかい。
 それは、自覚があるということ。自覚させるだけの、周囲の反応があったということ。
 
「でも、別にどうということもなかったし。ちゃんと告白とかもされたことなかった気がする」
 ニュアンスのみとか、誰が気があるなんてのを人伝にきくとか、そんな感じの淡い交錯が多かったのかもしれない。
 
 中学なんて、まあ高校もだけど、クラスや学年――いや、学校全体かも――で、どういう空気を作っているか、作られているかで、恋愛事情や男女の絡み方が変わってくる。
 学校によっては彼氏彼女がいて当たり前みたいなところもあれば、基本的に同性同士で固まっていて、たまにその輪の中から飛び出したカップルが誕生して周りを騒がせるなんてところもある。誰かひとりが空気を作って追随するみたいなこともあるのかもしれないが、なんとなく、全体的に醸成されて行って、その社会の空気感が作られることが多いと思う。
 今のうちの学年は、バランス型な印象だ。ちらほら付き合っているなんて話も聞きはするし、珍しくもない割合ではあるものの、おおよそ男子と女子それぞれの塊で行動することが多い。でも、少し特別感のあるイベントや外出なんかでは、男女混合になることもあり、それが殊更特別視されるほどではない。と言った感じ。
 聴いている限り、與田くんの中学も似たような雰囲気だったようだ。そこまで男女間の関係性が活発ではない中では、部活中心の生徒は、例えモテるタイプだったとしても、さほど恋愛ごとに発展しなかったのだろう。
 
「結局、大体男子と遊んでたよ。それで全然楽しかったし、良いんだけどさ」
 モテていたことを肯定した與田くんは、しかし中学時代は誰とも付き合ったりはしなかったようだ。
 
「告白されんのが前提なんて、やっぱモテ男は違うねー」
 
 会話のための会話を繰る中で、流れで生じた茶化す言葉。それ以上の意図も意味もない浮ついた言葉。
 のはずなのだが、わたしの心のその奥底に、探る意図は隠れていなかっただろうか?
 
「別にされんの待ってたわけじゃねーし。されたとしても、誰でも良いってわけじゃないから、結果は変わらない」
 
 誰でも良いわけじゃないということは、誰かなら良かったということもあるのか?
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