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それぞれの兄弟姉妹
しおりを挟む(薬師 美琴)
家族の話をするわたしに、みことは笑顔を見せた。
「嬉しそーだねぇ。うちもけーすけ来るって言ってたなぁ」
けーすけくんはみことの弟さん。
みことはわたしより一歳年上。
うちのダンサーさんたちは美人ぞろいだが、わたしの勝手な感性で言えば、学生メンバーの中ではほづみとみことが際立って見た目が良いツートップだと思っている。
小中高、ほづみの場合は大学と、全時代でクラスに部活にバイトに登下校中にと、告白されたというエピソード数が群を抜いているという情報に多少影響を受けているのは認めるが、そのエピソードは図らずもわたしの感性は世間からさほどずれていないことの証明でもある。
そんな美貌のみことの弟けーすけくんは確か今中学二年生。
スタイルの良い姉に似て既に長身の美少年として成長していて、しかもサッカーで部活ではなくプロの育成組織であるユース入りも視野に入るほどの実力を持っているのだから、学校内ではきっと人気者だろう。
『ソルエス』の年少のダンサーの何人かもイケメンイケメンと騒いでいた。わたしもちらっと見かけたことがあったが、確かに格好良かった。
一方、年相応のメンタリティを持っている彼は、姉のサンバの現場にはあまり顔を出さず、みことが小学生の頃は観覧と迎えを兼ねていた親についてきていたが、最近はサッカークラブの活動の忙しさも相俟ってほぼ顔を出すことはなくなっていた。
「最近思春期か知らんけど生意気でさあ。なんであのクソガキがモテるのか理解不能。試合のたびに応援に来てる子たちに本性教えたろうかしら」
どんなに人気者でも、姉にとってはただの弟だ。
他人を魅了する要素も身内には効果がない。それは弟にとっての姉も同様のようで。
「弟とかいない人はさ、『照れてるだけ』とか『構ってほしいんだよ』とかいうけど、あれ、ガチで私のこと邪魔で鬱陶しいと思ってるよ」
別に嘆くでもなく淡々と語るみこと。
ある意味兄弟姉妹の関係性ってそれくらいなのが一般的なのではと思が、どうなんだろう。
カモエリも弟がいるらしいが、かわいくて仕方ないと言っていた。まだ小さいのかなーって思ってたら、意外ともう中学生で、身長もとっくにカモちんを抜いている。
『動物じゃないんだから、見た目の可愛さじゃないよー。存在がね、かーいーの!』とはカモエリ談。
カヨはお兄さんが居るって言っていたな。
あまり話さないが別に仲が悪いわけではない。思えばわたしとマレもそうだった。それぞれの生活があって、特段意識しなければ交わることは少なくなって。でも、別に仲が悪いわけではなくて。
それでも、ちょっとよそよそしかった空気は、ちょっとしたケンカで壊れて同じイベントに一緒に出るために練習したりしているうちに、割とやり取りする関係性になった。
それも普通の範囲で、特別仲が良いとは思っていなかったが、実はこれは結構仲が良い方かもしれない。
まあ、同性の同い年と、年齢差のある異性とでは距離感は異なるのだろう。
いや、異性間でも仲の良い兄妹はいるか。
渡辺くんはとても妹想いだし、ミヤちゃんはお兄ちゃんによく懐いている。
ただ、これは弟妹が小学生という幼さであるが故という要素もありそうだ。
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