スルドの声(共鳴2) terceira esperança

桜のはなびら

文字の大きさ
100 / 269

それぞれの兄弟姉妹

しおりを挟む

薬師 美琴やくし みこと

 家族の話をするわたしに、みことは笑顔を見せた。

「嬉しそーだねぇ。うちもけーすけ来るって言ってたなぁ」

 けーすけくんはみことの弟さん。
 みことはわたしより一歳年上。
 うちのダンサーさんたちは美人ぞろいだが、わたしの勝手な感性で言えば、学生メンバーの中ではほづみとみことが際立って見た目が良いツートップだと思っている。
 小中高、ほづみの場合は大学と、全時代でクラスに部活にバイトに登下校中にと、告白されたというエピソード数が群を抜いているという情報に多少影響を受けているのは認めるが、そのエピソードは図らずもわたしの感性は世間からさほどずれていないことの証明でもある。

 そんな美貌のみことの弟けーすけくんは確か今中学二年生。
 スタイルの良い姉に似て既に長身の美少年として成長していて、しかもサッカーで部活ではなくプロの育成組織であるユース入りも視野に入るほどの実力を持っているのだから、学校内ではきっと人気者だろう。
『ソルエス』の年少のダンサーの何人かもイケメンイケメンと騒いでいた。わたしもちらっと見かけたことがあったが、確かに格好良かった。
 一方、年相応のメンタリティを持っている彼は、姉のサンバの現場にはあまり顔を出さず、みことが小学生の頃は観覧と迎えを兼ねていた親についてきていたが、最近はサッカークラブの活動の忙しさも相俟ってほぼ顔を出すことはなくなっていた。
 
「最近思春期か知らんけど生意気でさあ。なんであのクソガキがモテるのか理解不能。試合のたびに応援に来てる子たちに本性教えたろうかしら」
 どんなに人気者でも、姉にとってはただの弟だ。
 他人を魅了する要素も身内には効果がない。それは弟にとっての姉も同様のようで。

「弟とかいない人はさ、『照れてるだけ』とか『構ってほしいんだよ』とかいうけど、あれ、ガチで私のこと邪魔で鬱陶しいと思ってるよ」
 別に嘆くでもなく淡々と語るみこと。
 ある意味兄弟姉妹の関係性ってそれくらいなのが一般的なのではと思が、どうなんだろう。


 カモエリも弟がいるらしいが、かわいくて仕方ないと言っていた。まだ小さいのかなーって思ってたら、意外ともう中学生で、身長もとっくにカモちんを抜いている。
『動物じゃないんだから、見た目の可愛さじゃないよー。存在がね、かーいーの!』とはカモエリ談。

 カヨはお兄さんが居るって言っていたな。
 あまり話さないが別に仲が悪いわけではない。思えばわたしとマレもそうだった。それぞれの生活があって、特段意識しなければ交わることは少なくなって。でも、別に仲が悪いわけではなくて。
 それでも、ちょっとよそよそしかった空気は、ちょっとしたケンカで壊れて同じイベントに一緒に出るために練習したりしているうちに、割とやり取りする関係性になった。
 それも普通の範囲で、特別仲が良いとは思っていなかったが、実はこれは結構仲が良い方かもしれない。
 まあ、同性の同い年と、年齢差のある異性とでは距離感は異なるのだろう。
 いや、異性間でも仲の良い兄妹はいるか。
 渡辺くんはとても妹想いだし、ミヤちゃんはお兄ちゃんによく懐いている。
 ただ、これは弟妹が小学生という幼さであるが故という要素もありそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem

桜のはなびら
現代文学
何かを諦めて。 代わりに得たもの。 色部誉にとってそれは、『サンバ』という音楽で使用する打楽器、『スルド』だった。 大学進学を機に入ったサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』で、入会早々に大きな企画を成功させた誉。 かつて、心血を注ぎ、寝食を忘れて取り組んでいたバレエの世界では、一度たりとも届くことのなかった栄光。 どれだけの人に支えられていても。 コンクールの舞台上ではひとり。 ひとりで戦い、他者を押し退け、限られた席に座る。 そのような世界には適性のなかった誉は、サンバの世界で知ることになる。 誉は多くの人に支えられていることを。 多くの人が、誉のやろうとしている企画を助けに来てくれた。 成功を収めた企画の発起人という栄誉を手に入れた誉。 誉の周りには、新たに人が集まってくる。 それは、誉の世界を広げるはずだ。 広がる世界が、良いか悪いかはともかくとして。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

スルドの声(共鳴) terceira esperança

桜のはなびら
現代文学
 日々を楽しく生きる。  望にとって、それはなによりも大切なこと。  大げさな夢も、大それた目標も、無くたって人生の価値が下がるわけではない。  それでも、心の奥に燻る思いには気が付いていた。  向かうべき場所。  到着したい場所。  そこに向かって懸命に突き進んでいる者。  得るべきもの。  手に入れたいもの。  それに向かって必死に手を伸ばしている者。  全部自分の都合じゃん。  全部自分の欲得じゃん。  などと嘯いてはみても、やっぱりそういうひとたちの努力は美しかった。  そういう対象がある者が羨ましかった。  望みを持たない望が、望みを得ていく物語。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...