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まな板の上のカレ
しおりを挟む(姫田 祷)
「へぇぇ、意外といじられ?」
「クール系がクールのままポンコツ晒してるのってかわいーかもねぇ」
「ちくしょう。楽しそーにして……ねえ、その写真送ってよ」
カタちんが睨みながらも素直な要求をしてくる。
「えー、良いけど……」
みんなこの時の写真はSNSにあげたりしている。
第三者への展開がNGというメンバーはいないから、わざわざ許可を取る必要はない。
「ほい、送ったよ」
「やったぁ! ありがとう‼」
……やっぱ、素直ではあるんだよなぁ。
「なんかぐしゃぐしゃだけど、それでも絵になるね。なんか写真集とかでありそー」
「あー、わかる! 意味の良くわからん廃墟みたいなところで、なぜか濡れてるみたいな?」
「そーそー。んで、よくわからん憂い顔してんの」「あるー!うける!」
「まあ、写真集っぽいってことは、やっぱり格好良いってことだよね」
「うんうん、格好良いねぇ」
「え、がんちゃんも好み?」
「えー? わたしはちょっと渋い感じが良いかなぁ」
「へぇ。キョウさんみたいな? マジおじはやめとけー?」
キョウさんは『ソルエス』のスルド奏者。
元々バンドマンで楽器には精通しており、メインはスルドだがその他の楽器も扱える。また、スルドの中でも手薄のパートを担っている。
以前はプリメイラをやっていて、めがみちゃんのトレーナーでもあった。
めがみちゃんが育ってきたので、最近は人数が求められるテルセイラのひとりとして演奏していた。
「意外と幼い感じの子のほうが年上好きだったりするよね?」
「キョウさん、年上どころじゃなくない? 干支三週くらい違いそー」
「もー、そういうんじゃないってぇ」
「でもがんちゃん、バイクの免許欲しいんでしょ? そんなんもキョウさんの影響じゃん?」
キョウさんはロッカーであり、バイカーでもある。
コテコテだ。
「もおお。しつこいー。渋い感じのひとが良いなって言っただけじゃん。若くっても渋い人やキャラだっているでしょー? 横浜流星とか。北村拓海とか。キャラだとリヴァイとか?」
「へぇ、がんちゃんそういうのが好みかー。でも今あげたのって、渋いってよりクール系?」
「あんまがんちゃんのそーいう話ないよねぇ」
「クール系ならこのカレあてはまりそーじゃん?」「もーうるさいー」
「やー、こいつポンコツよ?」
「お? ヤナまたマウントかよ! でもがんゃんセンパイ、たっきーにコナかけたらダメっすからねっ」
「だからぁ、しないってぇ! 大体どこで声かけんのよう」
急に矢面に立たされて真っ赤になっているめがみちゃん。かわいい。
めがみちゃんはついついかわいがりたくなってしまうタイプだ。
いつのまにかみんなにいじられているめがみちゃん。
席の逆サイドにいるいのりちゃんから妙な気配を感じる。
見ればほづみやルイと喋り、こどもたちの相手も同時にしていたいのりちゃん。だがその意識は明らかにめがみちゃんが発する言葉に向いていた。
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