69 / 221
マレの提案
しおりを挟む
マレからの動画撮影のお誘い。
すごくやりたいし、やりたいことはたくさんある。
でも、目下のところ新たな時間を創出するのは難しかった。
「忙しいよね。バイトも減らしてるんでしょ?」
マレの声が寂しそう。なんとかできないかなぁ……。
「そうだ、例えばなんだけど、浅草の準備……衣装の製作してるとことかを撮影しておいて、別撮りでスルドの音も録っておく。ちょっと鼓舞する系の演奏で録る。で、マレにはチアリーディングの衣装で、バレエの技術を取り入れた応援する感じのコレオを踊ってもらって、『浅草準備応援シリーズ』みたいなのにするのどう? そうしたら、カーニバル当日の映像も使って、観客としての感想と、演者としての感想を言い合うみたいなのもできるし」
これなら元々やらなきゃいけないことをやるだけなので、時間の調整は必要ない。
マレのバレエが軸となるチャンネルなのに私の方がメインでサンバ中心になってしまうのと、その割にマレへの要求が重いのが気になるところだが。
「あー面白そう! イベントのときの『まれほまれ』でも、サンバの音とバレエのダンスを合わせたり、バレエやロックダンスの要素を取り入れたサンバを踊ったり、刺激と気付きが多かったんだよね。バレエを取り入れたチア的なコレオを自分で考えて作るのも発見ありそうだなぁ。空き時間でやるからちょっと時間かかるかもしれないけど、別撮りで編集してつくるから、ほまれちゃんは撮影の機会あったら素材の撮影進めておいて!」
「うん、任せて! マレのチャンネル視聴者増えてるから、これを機に浅草サンバカーニバルやサンバにも興味持ってもらえたら嬉しいなぁ」
「人数増えてるのは、ほまれちゃんのお陰もあるんだよ。チャンネル全体で言えば、のんやのんの同級生たちもだけどね。バレエにこだわらず、わたしやユニット、出演メンバー自体を見たくて見るって感じの視聴者が増えたら良いよね。そんなわたしたちがやっている、バレエや、サンバに、みんなが興味持ってもらえるような作りにしていこう」
それ良い!
浅草サンバカーニバルは、通常のイベントのカーニバルとも趣が異なる。
毎年テーマを作り、テーマに合わせた衣装や山車、振り付け、曲や歌詞をつくる。
楽曲については、事前に浅草サンバカーニバル参加『エスコーラ』合同で、CD化もするため、レコーディングをする。また、その年の曲をお披露目する全参加『エスコーラ』が出演するイベントも開催される。
ひとつひとつが、ゼロから生み出すものとなるため、設計や買い出しなどから始まっていく。当然かなり大掛かりな準備が必要になる。
もちろん大変な作業なのだが、その作業のひとつひとつが、実は楽しかったりもする。
文化祭は準備が意外と盛り上がるのに似ているかもしれない。
そう言った側面を配信することも、サンバの魅力を伝えるひとつとなると思った。
「本当は映像作品の方でも、なにか素材撮れればなぁと思うんだけど、動画も写真も撮影できる状況ほとんどないからなぁ」
「まあ、テレビとかはそういうの厳しそうだもんね。前なんかの取材受けたとき、SNSで発信するのも解禁日までダメみたいな誓約書書かされたよ」
「仕方ないよね。無事完成して、世の中にリリースされたら、感想&紹介回みたいなの作れるかもね」
「うんうん! 活動してることはほとんど素材として使えるね。わたしも時期によっては忙しくなるから、効率よく色んな動画アップ出来たら良いなぁ。もちろん、収益出たらほまれちゃんにも払うからね!」
そこはそんなに気にしなくて良いのだけど……遠慮したらマレは却って恐縮してしまうだろうし、決してお金に余裕があるわけではないから、わずかでももらえるのは正直助かる。
当てにするようなものではないけど、もしもらえるタイミングがあったら、臨時ボーナス的な気持ちでケンタッキーでも買おう。要さんにも食べさせてあげよう。
楽しみだなぁ。
すごくやりたいし、やりたいことはたくさんある。
でも、目下のところ新たな時間を創出するのは難しかった。
「忙しいよね。バイトも減らしてるんでしょ?」
マレの声が寂しそう。なんとかできないかなぁ……。
「そうだ、例えばなんだけど、浅草の準備……衣装の製作してるとことかを撮影しておいて、別撮りでスルドの音も録っておく。ちょっと鼓舞する系の演奏で録る。で、マレにはチアリーディングの衣装で、バレエの技術を取り入れた応援する感じのコレオを踊ってもらって、『浅草準備応援シリーズ』みたいなのにするのどう? そうしたら、カーニバル当日の映像も使って、観客としての感想と、演者としての感想を言い合うみたいなのもできるし」
これなら元々やらなきゃいけないことをやるだけなので、時間の調整は必要ない。
マレのバレエが軸となるチャンネルなのに私の方がメインでサンバ中心になってしまうのと、その割にマレへの要求が重いのが気になるところだが。
「あー面白そう! イベントのときの『まれほまれ』でも、サンバの音とバレエのダンスを合わせたり、バレエやロックダンスの要素を取り入れたサンバを踊ったり、刺激と気付きが多かったんだよね。バレエを取り入れたチア的なコレオを自分で考えて作るのも発見ありそうだなぁ。空き時間でやるからちょっと時間かかるかもしれないけど、別撮りで編集してつくるから、ほまれちゃんは撮影の機会あったら素材の撮影進めておいて!」
「うん、任せて! マレのチャンネル視聴者増えてるから、これを機に浅草サンバカーニバルやサンバにも興味持ってもらえたら嬉しいなぁ」
「人数増えてるのは、ほまれちゃんのお陰もあるんだよ。チャンネル全体で言えば、のんやのんの同級生たちもだけどね。バレエにこだわらず、わたしやユニット、出演メンバー自体を見たくて見るって感じの視聴者が増えたら良いよね。そんなわたしたちがやっている、バレエや、サンバに、みんなが興味持ってもらえるような作りにしていこう」
それ良い!
浅草サンバカーニバルは、通常のイベントのカーニバルとも趣が異なる。
毎年テーマを作り、テーマに合わせた衣装や山車、振り付け、曲や歌詞をつくる。
楽曲については、事前に浅草サンバカーニバル参加『エスコーラ』合同で、CD化もするため、レコーディングをする。また、その年の曲をお披露目する全参加『エスコーラ』が出演するイベントも開催される。
ひとつひとつが、ゼロから生み出すものとなるため、設計や買い出しなどから始まっていく。当然かなり大掛かりな準備が必要になる。
もちろん大変な作業なのだが、その作業のひとつひとつが、実は楽しかったりもする。
文化祭は準備が意外と盛り上がるのに似ているかもしれない。
そう言った側面を配信することも、サンバの魅力を伝えるひとつとなると思った。
「本当は映像作品の方でも、なにか素材撮れればなぁと思うんだけど、動画も写真も撮影できる状況ほとんどないからなぁ」
「まあ、テレビとかはそういうの厳しそうだもんね。前なんかの取材受けたとき、SNSで発信するのも解禁日までダメみたいな誓約書書かされたよ」
「仕方ないよね。無事完成して、世の中にリリースされたら、感想&紹介回みたいなの作れるかもね」
「うんうん! 活動してることはほとんど素材として使えるね。わたしも時期によっては忙しくなるから、効率よく色んな動画アップ出来たら良いなぁ。もちろん、収益出たらほまれちゃんにも払うからね!」
そこはそんなに気にしなくて良いのだけど……遠慮したらマレは却って恐縮してしまうだろうし、決してお金に余裕があるわけではないから、わずかでももらえるのは正直助かる。
当てにするようなものではないけど、もしもらえるタイミングがあったら、臨時ボーナス的な気持ちでケンタッキーでも買おう。要さんにも食べさせてあげよう。
楽しみだなぁ。
0
あなたにおすすめの小説
スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem
桜のはなびら
現代文学
大学生となった誉。
慣れないひとり暮らしは想像以上に大変で。
想像もできなかったこともあったりして。
周囲に助けられながら、どうにか新生活が軌道に乗り始めて。
誉は受験以降休んでいたスルドを再開したいと思った。
スルド。
それはサンバで使用する打楽器のひとつ。
嘗て。
何も。その手には何も無いと思い知った時。
何もかもを諦め。
無為な日々を送っていた誉は、ある日偶然サンバパレードを目にした。
唯一でも随一でなくても。
主役なんかでなくても。
多数の中の一人に過ぎなかったとしても。
それでも、パレードの演者ひとりひとりが欠かせない存在に見えた。
気づけば誉は、サンバ隊の一員としてスルドという大太鼓を演奏していた。
スルドを再開しようと決めた誉は、近隣でスルドを演奏できる場を探していた。そこで、ひとりのスルド奏者の存在を知る。
配信動画の中でスルドを演奏していた彼女は、打楽器隊の中にあっては多数のパーツの中のひとつであるスルド奏者でありながら、脇役や添え物などとは思えない輝きを放っていた。
過去、身を置いていた世界にて、将来を嘱望されるトップランナーでありながら、終ぞ栄光を掴むことのなかった誉。
自分には必要ないと思っていた。
それは。届かないという現実をもう見たくないがための言い訳だったのかもしれない。
誉という名を持ちながら、縁のなかった栄光や栄誉。
もう一度。
今度はこの世界でもう一度。
誉はもう一度、栄光を追求する道に足を踏み入れる決意をする。
果てなく終わりのないスルドの道は、誉に何をもたらすのだろうか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スルドの声(共鳴2) terceira esperança
桜のはなびら
現代文学
何も持っていなかった。
夢も、目標も、目的も、志も。
柳沢望はそれで良いと思っていた。
人生は楽しむもの。
それは、何も持っていなくても、充分に得られるものだと思っていたし、事実楽しく生きてこられていた。
でも、熱中するものに出会ってしまった。
サンバで使う打楽器。
スルド。
重く低い音を打ち鳴らすその楽器が、望の日々に新たな彩りを与えた。
望は、かつて無かった、今は手元にある、やりたいことと、なんとなく見つけたなりたい自分。
それは、望みが持った初めての夢。
まだまだ小さな夢だけど、望はスルドと一緒に、その夢に向かってゆっくり歩き始めた。
スルドの声(共鳴) terceira esperança
桜のはなびら
現代文学
日々を楽しく生きる。
望にとって、それはなによりも大切なこと。
大げさな夢も、大それた目標も、無くたって人生の価値が下がるわけではない。
それでも、心の奥に燻る思いには気が付いていた。
向かうべき場所。
到着したい場所。
そこに向かって懸命に突き進んでいる者。
得るべきもの。
手に入れたいもの。
それに向かって必死に手を伸ばしている者。
全部自分の都合じゃん。
全部自分の欲得じゃん。
などと嘯いてはみても、やっぱりそういうひとたちの努力は美しかった。
そういう対象がある者が羨ましかった。
望みを持たない望が、望みを得ていく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる