スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem

桜のはなびら

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河内さんと小国さん

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 普段は理性的で、今も冷静に見える河内さんの、感情の話しが続いている。

「では、何が気に入らないか。……先ほどまでさんざん付き合わせてもらったのですから、今度は私の語りにもお付き合いいただきたい。監督と『canard sauvage Le montプロ』さんには「今度はお前か」なんて思われそうですが、ここまで来たなら、最後までお付き合いいただけるでしょう」
 
 河内さんの、発注者ならではの少々傲慢な強引さは、個人的な意見を述べる場でも変わらないようだ。
 
「小国さんとは、彼が新人の頃からですから、それなりに長い付き合いです。まあ仕事上の付き合いに過ぎないのでしょうが、飲みに行く機会くらいは何度となくありました」
 
 河内さんは小国さんを見ながら話している。小国さんからは何の反応もない。
 
「……好き勝手言わせてもらいますよ? 止めたければちゃんと止めるように」
 
 無視しているかのような小国さんに宣言し、河内さんは語りをつづけた。
 
「飲みの場ともなれば、口も軽くなろうもの。お互い今よりは若く、それほど年齢差もなかったことから、くだらないことから青臭いことまで語り合ったものです」
 
 内訳を具体的に話すのは憚られるようなことも多かったので、全部は話しませんがね、と河内さん。

 なんだか意外だ。
 河内さんはビジネスライクな感じだし、小国さんは……私が知っている、仕事をしているときの小国さんは、人当たりが良く付き合いやすかった。でも、公私は割と混同しないイメージだ。
 そんなふたりならば、業務外の時間でも業務の延長に近しい接待や接待ではなくても取引会社担当同士の一線引いた節度ある場が想像しやすいが、河内さんの語り口からは、友人や先輩後輩の関係性に近い者同士が醸成している場のように思えた。
 
「気が合うタイプ同士だったかは……よくわかりません。学生時代に会っていたら友達になっていなかったなんて表現もまま聞きますが、そこまで反対でもない。性格的な相性よりも、どちらかと言えば私たちをより結びつけたのは、近しい仕事に対するスタンス。業界を良くしようなんて大仰なことは言わなくとも、同じ現場に挑む異なる立場同士で組み合って、理想的な環境と仕事上で追い求めている理想の実現を目指そうなんて話は、冗談交じりのこともあれば、時に真剣に、時に今ある不誠実に怒りながら、語り合った時間でしょう」

 小国さんからは何の言葉もない。

「あとは……似た背景を持っていたこと」
 
 もう一度、小国さんを見る河内さん。尚、応えない小国さん。
 河内さんの先ほどの宣言を受けてのその態度は、ある意味肯定と容認とも捉えられる。
 河内さんもそう判断したのか、言葉をつづけた。
 
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