異世界で聖女活動しています。〜シスコン聖女の奮闘記〜

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試練

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目的地に着いたのは、夕陽が沈みかけた頃合いだった。

道すがら魔獣と出会し討伐を行なっていたからだ。

上空に見える扉は、以前と変わった感じは見受けられない。
うん、変わってないよね?

「開き具合は変わっていないように見えるが…」

そう言って、確認して来るから、他の者達は休むように言われた。
オズバンもエレンもかなりの強行突破でここまで駆け抜けてきたから、疲労が溜まっているだろう。
宿泊用に整えられた建物内に入っていき、身体を休めて来ると言っていた。
私はここで待っていようと思っていたのだが、女性騎士達に促されて準備されている部屋に行くことになった。
既に湯の準備がされており、身体を休めるためにもと促されて湯船に浸かっている。

癒しの効果を促す目的にか、ほのかに優しい香りがする。
湯もトロミが付いている感じで、肌がしっとりし、かなり癒された。

「湯加減はいかがですか?」

時折声をかけられて、大丈夫だと伝えておいた。
城では大分となれたとはいえ、侍女達に傅かれて世話をされていた。
ここでは女性騎士達が世話を焼いてくれている。

剣を握るためか、侍女達に比べて掌が硬いが、それでも女性であるからしっかりと手入れされているのだろう。
彼女達は貴族の者が多いようだったが、もと平民の仲間にも気さくに対応する優しい女性達でもあった。

自分で着替えれると言っても世話を率先として行われ、髪もしっかり魔法で乾かされた。

生活魔法の一種だろうか?便利だと思う。
私のは使えないけど…
ん?使った事ないだけかもしれない。今度実践してみよう。
世話されるのになれすぎて、自分では使った事なかった。

私が使ってきたのは、浄化ばかりだったから。
一部治癒も行ったけれどね…

基本、世話はエレンがしてくれていたし、この所はエドワードが率先してしてくれていた。
エドワードはかなりのチート能力保持者のようで…
うん、彼がいないとダメな人間にされそうだ。

いゃ、今はそんな事はどうでも良いか…

着替えてみんなの元に行く。
既に巡礼メンバーのみんなは席につき各々で食事をとっていた。
私も席につき食事をいただく。

私の横の席はまだ空席だ。
エドワードはどうしているのだろうか…

そう思っていたら、彼が部屋に入ってきた。

「沙也加は疲れ取れた?」

そう言って気さくに声をかけながらテーブルについた。
食事を担当している騎士達が食事と共に飲み物を彼の前に置く。
私も既に同じ物をいただいていたから…

「私の方は大丈夫。エドワードは?」

そう言って、たわいもない会話を行った。
扉の件は後でみんなに話すからその時にと前置きされたから。

「そうそう、さっきアルホンス殿達が到着したようだ。今日は疲れているようだから、明日朝食を共にしようって事にしておいたよ。」
「怪我とかは?」
「大丈夫。直ぐに会いにいきたいだろうけど、今日は休ませてあげよう。明日の朝、さっき確認してきた事も踏まえて話したいしね。」

そう言われてしまえば、妹の所に突撃するわけには…いかないか…

妹の手紙で、彼らは婚姻したと言っていた。
自分は参加出来なかったけれど、小規模での婚姻。
この世界の今の状況が落ち着けば、きちんとした結婚式を行うから、その時は絶対に来てねとも。

うん、その時は絶対に行くし、私も…

「ん?どうした?顔が赤いよ?」

そっと覗き込みながら、私の指にハマっている指輪をスルッと撫でられ唇が寄せられた。
これは絶対にわかってやっていると思う。

「なんでもない。早く食べて、皆んなに…」
「そうだね。皆んなに伝えないといけないね。」

そう和かに微笑まれて、さらに顔に熱を持つ。
この所、この男の対応が…なんとも言えなくなるのは何故なんだろうか。
そっぽを向いて、黙々と食べる。

クスクスと笑われて、『可愛い』と艶のある声で呟かれる。
その姿を皆んなに見守られているとは思っても見なかった。
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