竜の恋人

異世界生活

異世界(エリザベート)

情報を集め、自分自身も彼の方に会うために自分を磨きながら父に視察と慰労目的でシュタルク領訪問を願い出た。
それなら許可が出ると考えたのだ。
彼の方がそこに居るという情報を得たから。

許可を待つ間に、とんでもない情報が舞い込んだ。
彼の方に『番』と称する女性が現れたとの事。
しかも、平民。
『運命の番』に関しては、貴族も平民も関係ない事は知識で知っている。
でも、なぜ今頃現れるのか…
彼の方は私のモノなのに。
その女が私から奪った………


嫉妬が憎悪に変わる。
そんな時、弟が私に会いに来た。
現在この世界を守るため、各国の代表などのお力を借り『聖女召喚』の儀式が行われ、この世界に現れた事は知っていたが、まさか弟が魔塔の者として、魔力提供目的で帰国しているとは思わなかった。
そして、弟が言うのには、その時二人女性がいたと。
一人は『聖女』もう一人は『転移者』。
シュタルク領から提供されているポーションの質が以前より向上しており、その『転移者』である女性が関与している可能性がある。
自分が昔から『聖女』や『転移者』というものに興味があり、特にその力を解明して今後のために役立ちたい。
『転移者』は、そういう研究者達に引き渡し、研究対象とするべきだと強く話して来た。
以前の自分であれば、特に気にしなかったかもしれないが、今は違う。

そう、あの私の彼の方を奪う憎っくき女。その女が『転移者』で、弟が研究対象として欲しいと言うなら、下げ渡しても良いと考えたのだ。そうすれば、彼の方にとって私が『番』となれる。
ヒト族であり、この国の権力者である父の娘。
それに、自分が彼の方の側にたっても十分な美貌だとも。
そう、彼の方に必要なのは、弟のモルモットではなく、自分であると信じたし、弟もおおいに同意した。

「姉上、もしその女と接触した場合、これで触れて下さい」

そう言って渡された物。

「これは何？」
「これは、その者を強制的に私の元に移動させるものです。つい最近研究で出来ました。」

そう言って、嬉しそうに話す。
転移者がこれで転移でき、その状態も確認したいと言っていた。
既に実験で確認しているが、異世界人ならどうなるかを知りたいらしい。
詳しい実験結果は秘密だとか。

「わかった。これは預かっておきます。シュタルク領に赴いて、その女がお前が求めている者かどうか確かめて送るけれど、もし違う者であっても送っても良いかしら？私にとって邪魔な者なんです」
「良いですよ。もし私が求めているモノでなくても、実験体として使えれるでしょうから。お待ちしておきます。ありがとうございます。姉上」

そう言って、私の協力も惜しまないと約束してくれた。
ふふっ、これで邪魔者を消し去る事が出来る。
ただし、彼の方や他の者達にはバレないように注意はしないといけない。
全ては私が彼の方を手に入れる為。

弟から渡された魔道具の中には、姿や気配を消せれる物もあった。
だだし、使用回数の制限があるから注意するようにとも言われた。
服のポケットに仕舞えるぐらいの小さな物だ。
落とさないようにも気をつける必要があると、しっかり自分自身で管理する事にした。