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異世界生活
異世界(エリザベート)
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城を出て数日。やはりこの馬車にして正解でした。
魔道具や魔石も備わった特別仕様のこの馬車。乗り心地が良くて、疲れ知らずです。
兄や家臣達に止められましたが、母が強く言ってくださったし、私からもお願いした甲斐があります。
それに、美しい白色に金色の飾りが施されていた馬車ですから、皇族専用の馬車であると遠目でもよく見え理解していただけるでしょう。かなりの印象を植え付けることもできますし、私の彼の方が迎えに来てくださるとの事。
この馬車であれば、すぐに彼の方に見つけてもらえれます。
そう思いながら、馬車の旅を進めて、シュタルク領内に入る手前の小高い山を降りた川の近くに着きました。
休憩をここでとの事で、馬車を降り、侍女が準備してくれた椅子に腰掛けてお茶を飲んでおりましたら、彼の方のお姿が遠目でも確認できました。
私を迎えに来てくださった彼の方に似合った騎士の服装に簡単な装備をつけておられます。
そのお姿も美しく、なんとも言えない思いが心を満たしていきます。
ですが、私は皇女。淑女としてきちんとしないと。
彼の方に相応しいのは私だと皆にも認めさせなくてはいけません。
私の愛しいアルホンス•セイクリオン様。もう、アルホンス様で良いでしょう。
彼の方が素晴らしい手綱捌きで駆けて来られます。
数人の騎士に囲まれ、守られている私ですが、彼の方をで迎えるために、私はこちらですと見つめてしまった。
淑女、皇女としては少しはしたないですが、恋する乙女ですから、多少の事は許してくださるでしょう。
私達から少し離れた場所で馬を止め、降りて挨拶して来たのは、私のアルホンス様ではなく、この領主直属の騎士だろう。
この国の騎士でないから、遠慮されたのかもしれない。
その配慮も素晴らしいと思った。
ですが、私が声をかけたいのは、愛しい彼の方です。
目的外の騎士達に道を開けていただき、私の愛しい騎士様の前に行き、とっておきの綺麗な所作を披露した。
そして、私に微笑んで言葉を下された。
「初めてお目にかかります。アステード王国からロザリアン神聖国、シュタルク領に派遣されましたアルホンス•セイクリオンと申します。以後お見知りおきを」
「他国からお越しいただいたのに、わざわざ私の迎えに来てくださりありがとうございます。私はこのロザリアン神聖国第二皇女。エリザベート•ロザリアンです。聖女召喚の儀式の前の宴でお会いしたのを覚えておられますか?私、あの日の事が忘れられませんでしたのよ。今回、この領内視察が決まり私にその命を受けました。同行及び護衛の依頼を我が兄、皇太子から受けていただけたと聞いて、あなた様にお会いできるのを楽しみにしていました。」
あの時、私の名前を伝え忘れていた事を思い出しました。
しっかりと、あなたの愛しい私の名前をお伝えしなければいけません。
しかも、私はこの国の皇女。貴方似合う女性である事も。
皇族女性に対しての挨拶をしてくれるものと、手を差し上げようと思ったら、なぜか彼の国の騎士としての礼をされてしまった。
なぜ?一瞬表情が引き攣りましたが、そこはあなた様の皇女。直ぐに微笑みながら貴方様に近づいて…
なぜまたそんな対応を?
スッと後ろに下がられてしまった。
一瞬思考が停止してしまう。
この私が、なぜ?どうして?
『直ちに出発しましょう。それでは失礼する』とだけ言って踵をかえてその場を後にされてしまった。
あぁ、こんな場所より、早く領主の館に到着して、私と一緒の時間を取りたいのでしょう。
きっとそうよ。それしかあり得ない。
私が連れた騎士達もいる。
この中には我が国の貴族の子息もいるから、恥ずかしいのかもしれない。
少し冷たい対応も、素敵と思ってしまった。
早く彼の方に『番』とされて、愛おしいと見つめてもらいたい。
それは、私だけが…
あぁ、そう言えば、邪魔な『番』と名乗る女が居ました。
それを排除しないといけませんね。
弟からのお願いもありますし。
思わずニタっと笑ってしまいましたが、扇子で隠しましたから、見られていないでしょう。
魔道具や魔石も備わった特別仕様のこの馬車。乗り心地が良くて、疲れ知らずです。
兄や家臣達に止められましたが、母が強く言ってくださったし、私からもお願いした甲斐があります。
それに、美しい白色に金色の飾りが施されていた馬車ですから、皇族専用の馬車であると遠目でもよく見え理解していただけるでしょう。かなりの印象を植え付けることもできますし、私の彼の方が迎えに来てくださるとの事。
この馬車であれば、すぐに彼の方に見つけてもらえれます。
そう思いながら、馬車の旅を進めて、シュタルク領内に入る手前の小高い山を降りた川の近くに着きました。
休憩をここでとの事で、馬車を降り、侍女が準備してくれた椅子に腰掛けてお茶を飲んでおりましたら、彼の方のお姿が遠目でも確認できました。
私を迎えに来てくださった彼の方に似合った騎士の服装に簡単な装備をつけておられます。
そのお姿も美しく、なんとも言えない思いが心を満たしていきます。
ですが、私は皇女。淑女としてきちんとしないと。
彼の方に相応しいのは私だと皆にも認めさせなくてはいけません。
私の愛しいアルホンス•セイクリオン様。もう、アルホンス様で良いでしょう。
彼の方が素晴らしい手綱捌きで駆けて来られます。
数人の騎士に囲まれ、守られている私ですが、彼の方をで迎えるために、私はこちらですと見つめてしまった。
淑女、皇女としては少しはしたないですが、恋する乙女ですから、多少の事は許してくださるでしょう。
私達から少し離れた場所で馬を止め、降りて挨拶して来たのは、私のアルホンス様ではなく、この領主直属の騎士だろう。
この国の騎士でないから、遠慮されたのかもしれない。
その配慮も素晴らしいと思った。
ですが、私が声をかけたいのは、愛しい彼の方です。
目的外の騎士達に道を開けていただき、私の愛しい騎士様の前に行き、とっておきの綺麗な所作を披露した。
そして、私に微笑んで言葉を下された。
「初めてお目にかかります。アステード王国からロザリアン神聖国、シュタルク領に派遣されましたアルホンス•セイクリオンと申します。以後お見知りおきを」
「他国からお越しいただいたのに、わざわざ私の迎えに来てくださりありがとうございます。私はこのロザリアン神聖国第二皇女。エリザベート•ロザリアンです。聖女召喚の儀式の前の宴でお会いしたのを覚えておられますか?私、あの日の事が忘れられませんでしたのよ。今回、この領内視察が決まり私にその命を受けました。同行及び護衛の依頼を我が兄、皇太子から受けていただけたと聞いて、あなた様にお会いできるのを楽しみにしていました。」
あの時、私の名前を伝え忘れていた事を思い出しました。
しっかりと、あなたの愛しい私の名前をお伝えしなければいけません。
しかも、私はこの国の皇女。貴方似合う女性である事も。
皇族女性に対しての挨拶をしてくれるものと、手を差し上げようと思ったら、なぜか彼の国の騎士としての礼をされてしまった。
なぜ?一瞬表情が引き攣りましたが、そこはあなた様の皇女。直ぐに微笑みながら貴方様に近づいて…
なぜまたそんな対応を?
スッと後ろに下がられてしまった。
一瞬思考が停止してしまう。
この私が、なぜ?どうして?
『直ちに出発しましょう。それでは失礼する』とだけ言って踵をかえてその場を後にされてしまった。
あぁ、こんな場所より、早く領主の館に到着して、私と一緒の時間を取りたいのでしょう。
きっとそうよ。それしかあり得ない。
私が連れた騎士達もいる。
この中には我が国の貴族の子息もいるから、恥ずかしいのかもしれない。
少し冷たい対応も、素敵と思ってしまった。
早く彼の方に『番』とされて、愛おしいと見つめてもらいたい。
それは、私だけが…
あぁ、そう言えば、邪魔な『番』と名乗る女が居ました。
それを排除しないといけませんね。
弟からのお願いもありますし。
思わずニタっと笑ってしまいましたが、扇子で隠しましたから、見られていないでしょう。
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