竜の恋人

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異世界で愛を呟かれ

異世界で愛を呟かれ

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そんな甘い生活が何日か続き、アルがまたお城に呼び出されたようだ。
今度は何が起こったのだろうか?

風の噂で、姉達が頑張っている事は伝え聞いている。
私が作った物も活用されていると…

今日は外が雨模様という事もあり、屋敷でベスターからいろんな事を教わっていた。
主にベスター達が仕事をこなし、最終的にはアルが承認決済などを行うのだが、夫不在時には妻が行う事もあるからと、時々スパルタが込められながら教えを乞うていた。

スパルタといっても、分かりやすく噛み砕きながら教えてくれるので、分かりやすいし、向こうの世界で培ったものも意外と役に立っていた。
時に計算は私の方が早かった。

この世界には『ソロバン』という物が無く、計算用に大きな魔道具を使っていた。
そう、両腕で抱えるぐらいの大きさで、中型犬ぐらいの重さだろうか?
よって、飾って置いている感じだった。
それだけの大きさで、重さがあれば使い勝手が良くない。

ベスターに絵を描いて、こんな感じでと説明しながら『ソロバン』もどきを作ってもらった。
向こうで使ったことがある物に比べてやや滑りが…というか、弾きにくかったりしたが、そこは今後改善の方向で、計算して行くと、やはり作業は捗った。
ベスターや他のもの達も興味を持ち、一時期ソロバン教室を開催したのは言うまでもなかった。

「大丈夫かなぁ…」

作業を一旦中断して休憩を挟んでいる時に、窓から外を覗きながらそう呟く。

周辺の魔獣被害はかなり減っている。
しかし、まだあの男は逃亡中であり、扉の消失もまだ聞いていない。
自分には、姉から送られる伝達魔法ももう少なくなってきた。
渡しておいた物が残り少なくなったためだろう。
後は、胸に飾っているもので何と無く…

「奥様、旦那様からご連絡が。至急城の方に来て欲しいとのことです。」
「お城に?」
「はい。」

侍従の一人からそう言われて、側にいる二人に視線を送る。

リンがベスターに確認してくると部屋を出て、ランととりあえず準備をするからと、待機するよう指示を出した。

何かあればベスターに必ず確認するように言われている。
だから…

そう考えての行動であったのに…

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