兄様達の愛が止まりません!

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悪役令嬢回避

サーカス(ギルベルト)

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サーカスを観に行ったその日は、父上達の帰りは結構遅かったんだ。
エルやレインは先に休み、私とアシュは父上の帰りを待っていた。
父上があのサーカス団にいたあの二人の獣人の子供をどうするのか気になっていたのと、エルとレインの今後の事だ。

あのサーカス団の催しを家族で楽しんだ後、馬車までの移動中に目撃したある事により、レインの未来視のスキルが発動。エルも前世の記憶が蘇ってきたみたいだったんだ。

二人が見たモノを、私とアシュはお互いのスキルで確認し、つい最近完成させた魔道具でお互いの情報交換を行ったんだ。

父上には私達が見たものを渡す事はできていないのだから、二人が見たモノを見て確認される事はできていない。が、エルが私達や父上に説明し、レインが頷き同意した事でおおよその事は理解されたんだ。

勿論、父上の片腕であり、闇の者を率いるレイも同席していたからね。父上と同様に理解していると思うよ。

多分だが、アシュと相談しての自分達の見解では、父上はあの二人を野放しにするのは危険と判断したのだろう。そして、我が家で引き取る為にサーカス団と交渉。
今までもサーカス団とはやり取りがあるようで、顔見知りのような気もしていたんだ。
特にレイの方だけれども…。

で、やり取りの中で多少の金銭も動いたと思われたんだ。
そして引き取った後、直ぐに屋敷に連れて来ず、獣人としての能力もあるからと、一時的にレイの実家の方に預けたんじゃないかと思われるんだ。

レイの実家…。あの一族は、我がフィンレイ侯爵家との繋がりが古いらしい。
そして、代々我が家の家令として勤めているんだ。
我が家の家令は、影の者を纏める事もしていたんだ。
アシュはつい最近教えられたようだ。私はアシュよりも以前に教えられていた。長男であり後継者でもあるからね。

歴史ある侯爵家だ、過去にはいろんな事があったと推測されるんだ。
あくまでも予測予想であるが、間違っていないと思う。

それに、レイは父上が幼少時よりずっと側で支えている親友であり、兄的存在であり、片腕。執事兼護衛まで兼ね備えている男だったんだ。
歴代的にも最強の部類に入るらしいけれど、その辺りは私にはわからないんだ。

私にとっては既に父上の執事兼護衛で、我が家の家令。父上の友人仲間のお一人なんだ。
闇の者を率いるのは以前教えてもらい、引き合わせてももらっている。わずかな者だけだがな。
既に私自身にも付いているんだ。侍従の一人がそうなんだよね。

アシュは驚いたようだが…。教えられたのがつい最近であるから仕方ないとも思う。
侍従の一人がそうなんだ。単にレイの親類の一人としか思っていなかったようだからね…。

日付が変わるまでにはお帰りになられ、私達が待っている事をお伝えしたら、直ぐに時間を作ってくれたんだ。
明日と言われるかとも思っていたんだけれどもね…。

「ギルもアシュも待たせたね。」
「いいえ、無理を言って申し訳ありません。」

父上の声掛けで、僕達はいつもの席につき、レイがお茶を出してくれたんだ。
私が代表として父上に返事をしたんだ。

「さて…」

そう言って父上は席につき、レイにも座るように促していた。

「さて、レインとエルの事もあるが、まずは直ぐに話せる事を話そう。あのサーカス団の獣人の子供二人だが、ギルやアシュも想像していると思うが、我が家の侍従として受け入れる事にした。あの二人は少し特殊ではあったんだが…。サーカス団の方はそれを知らなかったようだ。あえて教えるつもりもないがな…。で、今はレイの実家で教育と訓練を依頼した。怪我とかは、神殿に依頼したかったんだが、親のいない獣人に対しては、本来あってはならないんだが差別的発言などをする者がまだいたとはな…。治療を拒否された。で、友人に打診して治療してもらったよ。一部の者達の件は、しっかりと再教育しておくと言っていた。まぁその事は任せるとして、あの二人の怪我は大丈夫だ。すっかり良くなっているよ。ただ、傷以外の事もあるからね。そこは様子を見ながらだ。」

そこで父上はため息をひとつ吐いて、レイが入れてくれていたお茶を飲んだ。

「レイの実家でどのくらいの期間が必要かはまだ未明だが、訓練が無事終了すれば、エルとレイン付きとする予定だ。年齢的にもだが、あの子達が最初に見つけ、判断したんだ。途中でスキルが発動して言い切れてはいないが、あれで判断したとする。となれば、しっかりと面倒を見ないといけないからね。ギルとアシュはあの子達の補佐をしながら、主従関係が取れるようにフォローしてやって欲しい。」

「はい。それは勿論ですが…。」
「あの二人の特別は、後にわかるだろう。今はそれに触れないように。」

そう言われてしまえば、それ以上踏み込む事はできない。
だが、このぐらいの情報だけでも十分だとも思ったんだ。

「後、サーカス団がいる場所で発動してしまった件だが、それはきちんと隠匿できている。一部怪しい動きをした者は影が捉えて排除した。そうだったな?」
「はい。怪しい動きをした者は五人ほど。全て捕らえて、いつもの通りに。」

レイの表情がなんとも言えない表情だ。
絶対にこの男は怒らせてはいけない男だと、再度思ったんだ。

「そうそう、お前達に婚約の打診がまた来ている。」
「「断ってください。」」
「あぁ、その約束だからね。ただ面倒なのは、ギルの方にはカルストロフト公爵家とエレクトロ伯爵家からだ。ギルかアシュにと皇族側からレイラン皇女殿下かシルファ皇女殿下を勧められている。お二人はそのつもりのようだが、これも断っているよ。お前達に自ら打診してくる可能性がある。その事は覚えておいてくれ。レインの方は第三皇子殿下であるビスクローズ殿下が婚約、エルは側近候補の打診が来ているが、断った。だが、ビスクローズ殿下は諦めてないようだ。今の所の要注意人物達はそんな所だな。」
「私はその気はありませんし、レインは私の伴侶と求めている者です。誰にも渡す気はありません。」
「エルは僕の伴侶として望んでいる。だから、誰にも渡しませんよ。ビスクローズ殿下がエルとレインに興味を持たれたのはどうしてですか?接点はあのお茶会ですよね。しかも、レインは挨拶ぐらいしかしていないと聞いています。エルの方は…。」
「エルは…、あの時能力を見られたんだ。ビスクローズ殿下と同じ能力がある事に興味を持たれたのだろう。皇王は我が侯爵家の意向を理解されているがな…。お前達には伝えても良いだろう。あの二人の祖父。あの子達の実父の父親は、前皇王の弟君だ。彼の方は、私の父上ともご友人でもあったんだ。兄君である前皇王が即位される前から後継者争いに巻き込まれないように、冒険者として城から出られていた。権利も破棄されてな…。各地域の魔獣や魔物を討伐し、国を守っていたと言っても良いだろう。それだけの実力者でもあったんだ。で、辺境の地で運命の出会いをされたと聞いている。聖女の子孫の女性と好意を持ち、婚姻。結果グランデュオが生まれたんだ。唯一の子だ。それが当時隣国との小競り合いのような戦さと、魔獣や魔物の凶暴化により戦は終戦。住んでいた村や街は崩壊した。最後まで守り続けていた王弟殿下とその妻は死亡。生き残ったのはグランデュオただ一人だったんだ。王弟殿下や街の者達の犠牲でこの国は危機を乗り越えたと言っても良いだろう。我が父上が連れ帰り、私達兄弟の末の弟として引き取ったんだ。以前より王弟殿下から当時の皇王に生まれた子供、グランデュオが生まれた事は伝えていたが、自分は市井に降りたからと、自分の子達や子孫達は、極力後継者争いに巻き込まれないようにと願い出ており、受理され魔法契約までされていたようだ。だから、現皇王が若かれし時、グランデュオを望まれた時も拒否し、結果的には受け入れられたんだ。当時妻となるアイリス嬢に夢中に恋した。そしてグランデュオは婿養子として婚姻したんだ。今回のレインやエルに関しても魔法契約は通用しているが、もし本人が受け入れた場合は別だ。無理強いは絶対にされないというだけだ。ビスクローズ殿下はそこまではご存知ではなく、努力して得てみせると豪語しているらしい。我が家的には今後も断り続けていく予定だ。だから、お前達自身が頑張りなさい。遥か昔は血の濃さや魔力の力を強めるためには、レインやエルのような者を得るのは得策かもしれないと、どこからか情報を得て動き出す者が出てくる可能性がないとは言い切れない。だから、そうならないようにも牽制はしておくがな…。本当にやる事が多いが、父様は頑張るよ。」

そう言って苦笑いしている父だが、目は鋭かったんだ。
私達はとりあえずお願いし、今後をどうするか明日また兄弟で相談する事にして部屋を出たんだ。
少し得た情報が余りにも重いもので、真剣に考える必要性があると思うんだ。



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