兄様達の愛が止まりません!

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青銅の鏡

新たなる敵とその家族は…

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執務室に息子達と共に戻る。
戻りながらも、さっきの男が口走っていた言葉が何度も頭をよぎっていた…。

そう、さっき捕らえられ尋問にかけられていた男の事だ。
名はドロクスと言っていた。
家名が無いようだから、多分平民だろうが、所作は貴族の者とも劣らないらしい。
影社会では有名な男でもあったようだ。
どちらかと言えば平凡な顔で、認識にも残りにくいと言った感じの男だった。
身長も何処にでもいる男性と同じぐらい。身体はやや細めに見えるが、実際は鍛えられているようだった。
今はこちらに対して睨んでいるが…。
意志は強そうだ…。

あの時精霊が協力してくれたおかげで、今回あのように捕らえることが出来たと言ってもいい。
あの残された針だけでは、自分達は直ぐには敵を捕えることは出来なかっただろうから…。
それ以外にも色々と理由はあるがな…。

まぁ、それだけ精霊達を怒らせたとも言えるが…。

妖精や精霊は別次元の存在と言ってもいい。
よって私達と見方や考え方が違ったりしてくるのは当然だろう。
そして怒りの沸点も変わってくる…。

まぁそれは良いとして…。
今回は、捕らえた男の尋問において特別な薬も使っていた。
だから、本来の尋問の姿に比べたら…。
まぁ悍ましいものではなかっただろう…。

私やレイも初めはそれなりの尋問も考えていたし、尋問官も同様だった。
だが、レイの研究好きな弟が「試作段階だが…」と持ち込んできたモノがあったんだ。
それは小さな薬瓶に入った液体で、特に身体に害は無いらしいが、効果は期待以上だが、使用された者は…基本かなり落ち込むらしい。
後は、味が良く無いとも言っていた。

実際に使用しようとして飲ませるのに抵抗が強かった。
ほぼ強制で飲ませたんだ。
やはり味が悪いんだろう…。
液体の色もなんとも言えない色ではあっしな…。

しかし、効果は本当にテキメンだった。
少し詰問すれば、訊きたい事以外にも関連した事を喋り出したんだ。

まぁ、確かに優秀な隠密活動をしている者達であったら、心が折れるか…。
秘密厳守な彼らが、こうもスラスラと秘匿した情報を喋ったとなるとな…。

この薬はエルの知識も関係しているらしい。
エルが「素直になるお薬を作ったら、特に怪我させなくても喋り出すよね…。」とレイの前で呟いたのがきっかけだ。
その言葉で『素直になる薬』としてネーミングされたんだ。
エルは「『自白剤』だね」とも言っていた。
後から報告で訊いた私は、その名の通りだとも思ったんだ。

エルの前世の知識では、針で刺して体内に注入する『注射』という方法で使ったりすると読んだことがあると言っていた。『推理小説のスパイが出てくるやつ』とも言っていたが、その『スパイ』がよく理解できず、詳しく聞けば影の者と同じような存在だった。

レイが直ぐに影の研究部門の者を呼んで、レイの弟筆頭に研究されていたんだ。
屋敷に来る精霊や妖精にも薬草関係を訊きながら…。
研究者として訊く事ができたのはレイの弟だけで、レイを通して紹介してもらい、角砂糖や蜂蜜(各地域から取り寄せて)、お菓子などを捧げて頼み込んでいたようだ。
まぁ、妖精や精霊がそれで良いのなら、無理に止めても無駄だしな…。

「余り使いすぎると自我が崩壊したり、憔悴して死に至る」と、エルは「前世の知識ではそうだった」と言っていた。だから、精霊や妖精に何度も意見を求め、体調が崩れることがないように考慮して作り上げていたらしい。

出来あがったものは、鑑定スキルを持つ者が鑑定してから私の方に報告が上がり、使用許可となる…。
スキルではしっかりと『素直になる薬』として表示され、材料の種類と使用量。効果や副作用。発案者と研究機関まで表示されていた。発案者と研究機関は上掛けして魔法で隠匿することは可能らしい。それ以外は無理だが…。
なぜそれができるかは不明。
エルの名前や我が家の事は出さない方がいい。
だからそこは隠匿するように指示を出していた。

まぁ、その結果が今回使われたモノだったが…。

男から得た情報は、驚きも多いが、やはりと言った感じだったんだ…。
あらかじめ影が集めて来た情報などで知っていた事もあるが…。

息子達をいつもの場所に座らせる。

「今回初めてあの薬を使用したが、思った以上の効果が認められたな…。」
「そうなんですか?」
「あぁ、ギルやアシュにも講義では習ったと思うが、従来は冷水をかけたり鞭打ちなどがよく行われている。他の方法も…。」
「はい。領主として必要になるからと学びました。」
「俺も侯爵家の者として習いました。」

そう、帝王学を学ぶ者や上位貴族は知識の一つとして教えられる。
エルやレインには教えていないが…。
これはそれぞれの領で方法が変わって来たりもするから、学園ではまず習わないものだった。
ギルとアシュが『不必要』と判断して交渉して来たから、エルやレインには学ぶ機会も与えていなかった。
閨教育と同じように…。

尋問…そう、拷問に関しては、今後も教える気もないらしい。
ただ、エルは前世の知識では知っていたようだった。
あくまで知識のみで、実際に見た事はないとも言っていた。

まぁ、余り見せたいものでも、やらせたいものでもないからな…。

「父上、さっきの男、ドロクスは今後どう処分されるのですか?」
「あぁ、あの男は貴重な実力を持っているから、囚人奴隷と身分を落としてレイに預ける。」
「影の者とするという事ですか?」
「そうだ。囚人奴隷とすれば、勝手に動く事はない。裏切りもないからね。」

そう言うと、ギルは納得したようだ。アシュはやや不満そうだが。
理由は勿論、アシュの大切なエルが狙われたからだ。
私達にとっても大切な秘宝だ。だが、アシュにとっては伴侶だからね…。

「それよりも、ジルベルト•アシュバールとは?」

「彼はリンデルン国の貴族だ。元は我が国の伯爵家の者だった。」
「だった?」
「そうだ。話せば少し長くなるが…。」

そう先に告げて、紅茶を飲んで喉を潤してから、少し昔の話を息子達に聴かせたんだ。

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