兄様達の愛が止まりません!

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他国からの嵐…

対抗戦…アグロス王国の双子

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そうして迎えたこの輝かしい日。

今日、俺と妹はあの憎き『悪役令息』と『悪役令嬢』である二人を、大勢の観衆が見守る中叩きのめし、断罪する予定だ。二人の愚かな行いを人々の目に晒して、俺と妹の大切な者達の世界から出て行ってもうらうのだ。

それにより、人々はきっと精神支配から解き放たれて、従来あるべき姿に戻る。
そう、俺の妻となるアシュレイと妹の夫となる未来を取り戻す。

試合後、地面に打ち伏した相手に婚約破棄をするよう要求し、この学園、この国、彼らや俺達の目の前に二度と姿を現せないように確約させなければいけない。

試合後に学園に駐屯する騎士達に拘束するよう指示を出せればいいが、試合直後であれば直ぐには無理だろう。
俺と妹と対戦するのであるから、怪我をしているだろうしな。
俺達も他国とはいえ王族だ。まぁ、情けとして傷の手当てぐらいは許してやらないといけないだろう。

それに、あの男が欲していたからな…。

悪役である兄妹の二人を欲しいという物好きだ。
特に俺の敵である男子生徒を欲しがっていた…。

まぁ、ここまで協力してくれたのだからな…。

試合会場に入り込み、試合後連れ去るのか、この国から出た途端に連れ去るのかはわからないが…。

最悪の場合、特に悪役令息の身体のどこでも良いから貼り付けて欲しいと渡された刻印魔法の紙がある。
試合後…したくはないが俺も紳士だ。握手ぐらいはしてやるべきだろう。その時に貼れば良いか…。
そうすれば邪魔者は直ぐに消えると言っていたしな…。

手のひらサイズの白い紙に赤のインクで描かれた刻印魔法が施された紙だ。
その紙をポケットの中に仕舞い込んだ。

そうだ、試合が終われば、精神支配から解き放たれたアシュレイに婚姻の申し込みをしないといけないな…。フィンレイ侯爵家の方に直ぐに打診もして…。
試合を観戦に来てくれていたら、全てが容易にうまく行くが…。
まぁその辺りは俺の国の方も動くと父上が言っておられたから安心している。

俺はワクワクしながら試合会場である闘技場に向かったんだ。
途中で妹と合流し、今後の明るい未来を想像し語り合いながら…。

それがだ…。

一学年生の試合が終わり、二学年生の試合が開始。
生徒会側が準備した順番を決めるくじ引きで一番目は妹の試合で、次が俺の試合となったから、俺は次の試合を待つ選手控えの席に座り、妹の試合を見届ける事になったんだ。

俺が座る反対側の選手控え席には俺の対戦相手である悪役令息が座っていた。
俺よりも年齢が下のはずが、アシュレイと同じクラスになりたいからとスキップでこの学年になったのだと周りの生徒達が言っていた。
今から試合の悪役令嬢の方もだ。
この者達の友人も数名が同じくスキップしていたが…。

留学してきた時に同じクラスにいた時には驚いたんだ。
「何故いるんだ!」って感じで。
声に出さなかった自分を褒めたい。

確かに顔の作りとかは、可愛らしいのかもしれないが…。
いや、あいつは悪役だ。見た目に騙されてはいけない。
俺にも精神支配をかけようとしているのなら、残念だったな。
しっかり対抗策はしているんだ…。

そんな事を考えていた時、試合開始の合図だ。

妹は予定通りに直ぐに慣れた手つきで召喚した。
そう、召喚されたのは、彼女の相棒でもある『ソードグリズリー』と呼ばれる魔物だ。
鋭い角や牙。そして、ソードというだけあって、興奮させると体の一部が剣の刃のようになるんだ。

戦闘のため興奮状態になっているから、クマの肘の辺りに剣が見え、背中にも剣が生えてきたようにも見えていた。
本来Aランクの魔物であり、冒険者でもAランクやBランクでないと討伐が大変な存在だ。
そんな凶暴とされるモノを使役する妹は、かなりの実力者である事が良く分かっただろう。

思わずニヤッとしてしまう。

開始合図と同時に姿が現れて、相手に向かって猪突猛進の如く走り寄り、飛びかかる。
相手は持ち剣であるレイピアを構えながら上手く交わしていた。
まぁ、多少は頑張ってもらわねば面白くない。

「その女をズタズタにしてしまいなさい。悪役令嬢らしくズタボロになれば良いのです。いっそ死んで!」

この試合はあくまで学生の交流試合であるが、手加減する必要性はない。
やや興奮しすぎのようだが…まぁ良いだろう。
それにしても、良い動きをしている。

そして、土魔法が使えるから、相手の足元をぬかるみにして、動きを止めた。

「ふふふっ…この試合、私の勝ちです。これで彼の方は私の…。」

妹が勝利を確信して、相手に対して勝利宣言をしようとした時…。

「ギヤッ、ギャオ~~~~~~~」

周りの観戦していた生徒達が、相手が大怪我で負傷して試合終了すると感じ取り、顔を伏せたりした時だ。
妹の使役するソードグリズリーがいきなり炎に包まれて、大きな絶滅の咆哮をあげた後、バターンと倒れたんだ。
真っ黒に煤こけたと思うと、それはサラサラと砂のように崩れていった。
これは一体何が起こったんだ!?

思わず座席から立ち上がり目を凝らす。

「なっ、どういう事ですの!!」

妹が驚愕してそう叫び、周囲の視線が相手の方に。
相手の側には…。
そう、炎のような毛色の巨体な狼が、いつのまにか相手の前に悠々と立ち、守っていたんだ。
「オオーン」と咆哮を上げると、十個ぐらいの炎が現れて、妹に襲いかかった。
そして、妹の身体スレスレを狙うように…。

妹の着ている衣服が一部燃えて煤ける。

「なっ…。」

自分の衣服がボロボロになり、慌ててしゃがみ込んでいた。

「そこまで!」

審判員である講師の合図で、相手の勝利が確定した。

「なんで悪役令嬢が契約魔獣を持っているのよ!あり得ない!!」

ボロボロの姿のされた妹に対して、講師がシーツのような物をかけて退場させていったんだ。

俺は今…何を見さされた?
妹の召喚獣は…あの『ソードグリズリー』だぞ。
それをあの…

それよりも、『悪役令嬢』が召喚獣を持っているなんて情報は無かったし、妹の前世の知識にもない。
俺は今、悪夢を見ているのか?

相手はホッとしながら衣服についた土埃を祓い、守ってくれた巨体な狼の炎のような毛並みをそっと撫であげていた。
美しい毛並みの獣。
魔物でなく魔獣か?
あのような気高そうなものが、何故あの女に従うんだ?

この試合で、あの女はあの魔獣を召喚できる『召喚師』である事も知れ渡るだろう。
俺達の想定外の結果だ…。

妹の怪我とかも心配であるが、自分の試合は次だ。
心配だからと妹の方に向かい、棄権と判断されるわけにはいかない。

だが…妹の魔物をあの様にしてしまうあの魔獣…。
妹には悪いが欲しいな…。

この後の試合で俺が勝利した後、あの魔獣も奪ってやろうか…。

我が国では、条件によっては相手の魔物や魔獣を奪う事が出来たりもする。
余り行わないが…。

妹のあのソードグリズリーはもう二度と召喚出来ないから、俺が勝利して妹に下げ渡すのも良いかもしれない。
アレは悪役には相応しくないモノだ。

我が国では、召喚できて契約できて一人前。
召喚獣が殺されて消え去れば次が必要だしな…。

だが…。
妹の相手になるはずのギルベルトが、いつの間にかあの女に駆けてよる姿が忌々しい。
本来でなら、あのような姿は、妹とあの男であったはずなのに…。

怪我がないか確認し、しかも公衆の前で抱き上げて、頬にキスまで贈っていた。
それを祝福するように周囲から拍手喝采され、ギルベルトに抱き上げられたまま、あの女は美しい狼のと一緒に退場したんだ。

双方が退場し、講師達が闘技場内の安全確認や一部補修して…。
次は俺の番になる…。

確認作業が終わるごろ、あの女とギルベルトは俺のアシュレイが座っている側に一緒に腰掛けたようだった。
俺の妹がいるべき場所にいるあの女。
絶対に許せない。

その前に、あの悪役令息を叩きのめす必要性がある。

俺はそう息巻いて、試合に臨んだんだ。
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