もふもふの世界に落っこちて、気がついたら離してくれなくなった件

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手放せない

お出かけ計画

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彼らの休日も終わり、仕事に出かける。
私もついていこうと思ったんだけど、もう少しこの屋敷にいて欲しいと願われた。
お城の中で、連れ去られたのだから、彼らに何か思う事があるのかも知れない。

そうだ、せっかくだから、街に出てみたい。
屋敷の者とか連れてってくれないかなぁ……

そんな事を思っていた。
そっと窓辺から空を眺める。

うん、良い天気。

「どうされましたか?」

急に背後から声がして、ビクッとする。

「誰!?」

振り向くと、お礼を言わねば……と思った彼がいた。

「アル。何処から?」
「我が君。私は影ですから。いつもお側にいますよ。まぁ、あのお二方が側におられる時は、少しだけご遠慮しますけどね。」

そう言って、人懐っこい笑顔を見せる。
チラッと見える八重歯が可愛いと思うのは、内緒にした方が良いのか?

「会えて良かった。この前のお礼を言いたかったの。助けてもらってありがとう。」
「そのような事は気にする必要ありません。当然のことですから。」

ニコニコしながら、そう言い切られた。

「私は影ですから、本来は出てくる事は無いのですよ。でも、この前直接お会いしましたしね。護衛として側に姿を見せることにしました。他の者達の代表みたいな感じでね。お二方にも、話は通していますから、大丈夫ですよ。ですので、いつもお連れください。」

他の者の代表?と言う事は、まだ何人かいるのだろうか……

「今日は天気が良いので、外に出られますか?行きたそうにしてましたよね。」
「えっ?良いの?」
「私が付いていますので、大丈夫ですよ。アイリ様より歳下ですし、見た目もこんな感じですから、護衛としては心配かもしれませんけど、結構強いんですよ。これでも。」

そう言ってニコニコしている。
確かに、助けられた時のアルの活躍は凄かった。
小柄ですばしこいのもあるけど、それだけではないのだろう……
獣化した時は、私を乗せて走れるぐらい大きくて、体力もあったから、人の姿とのギャップに少し驚いたんだけどね。
あの時は、緊張が強かったから、心に余裕なかった。だから、言われるままに、驚きながらも乗せてもらったんだけど……

私、重くなかったかしら………

「どうします?行きますか?」
「えっと………」
「街の近くまで馬車で行けば、買い物をした時便利ですよ。折角なので、この国の商品を求めてみてはどうですか?見るだけより、手に取って、使ってみた方が良い勉強になる時もありますからね。」

そう言われたら、そう言う気もする。
おかしな物を買いそうになったら、止めてもらえばいいし……あっ、でも、私お金持ってない……

「お金の事は気にしなくても預かっていますよ。この国の金銭面の勉強にもなりますしね。」

そこまで言われたら、行かないとね…
少しワクワクして来た。

「それじゃ、お願いしても?」
「はい、喜んで。」

アルは、にこりと人懐っこい笑顔で答えてくれた。
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