私の恋愛事情

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亜希子の呟き

先輩と飲んで

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必死で仕事を定時で終わらせて、先輩と出かける。
リーズナブルな値段で美味しいし、品数も多いこの店。
少し隠れ家的な場所にあるんだけど、噂が噂を呼んで人気店になっているようなんだ。
この所のお気に入り。

「先輩、何食べます?」
「そうね、サラダと、焼き物何が良いかなぁ、この串焼きセットと、お刺身セット。カルパッチョも食べたいな。」
「良いですね。私は、そうだな~、唐揚げかなぁ、取り敢えず。後、生飲みますよね。注文は、タッチパネルで……と」

2人でタッチパネルを操作して注文していく。
しばらくして、生ビールと付け合わせの枝豆が届き、乾杯し、グビッとビールを飲んだ。
うん、やっぱり、仕事終わりのビールは美味しい。

「仕事終わりのビールは美味しいですね~~~枝豆もウマ!!」
「もう、若いのに、そんなオバさんみたいなこと言わないでよ!」
「え~~、先輩、2人だけなんだから良いじゃないですか!」

そう言いながら、運ばれてくる料理を2人でつつきながら飲んでいく。
先輩もいい気分で飲んでくれてるから、誘って良かった。

「先輩なら、も~っと良い男が寄って来ますよ。次いきましょう次!」
「そう言う亜希子はどうなの?確か上杉君だっけ?」
「あ~~アイツとは別れましたよ。もう、最低!!先輩、聞いてくださいよ。あの馬鹿、子供が出来たから、別れてくれ!だって。もう、信じらんない!真面目だと思ってたのに、下ゆるすぎでしょ!」
「子供………出来たんだ……」
「そうなんですよ、取引先のお嬢さんだとか……信じらんない。もう、奴のことはいいですよ。今日はパーッと飲んで忘れましょう。もうすぐ年も明けるし、次はもっと良いことあるはずですよ!」

先輩も男運が無かったけど、実は私もそうだった。
同期で入社した年上の奴。奴は大卒だったし、営業でもあった。
同じ入社だったが、かなりのやり手だったのか、ただ単に要領が良かったのか、業績が良く、先輩方から色んな仕事を任されていた。そんな奴との未来を真剣に考えていた事は、今となっては誰にも言えない。
付き合い始めた時は、まめに連絡をよこしていたが、この所忙しそうにして、すれ違いが多かった。

仕事だから……そう思っていたんだよ。本当に、身体壊さないといいけど……なんて心配もした。
それがどうよ、取引先のお嬢さんといつの間にか関係持って、子供ができた!?
子供は悪くないが、浮気する男ってどうよ!!
だから、綺麗さっぱり別れましたとも。

そんなつまらない話もしながら、数時間、飲んで食べてした。
お腹一杯になったけど、なんだか飲み足りない。
そう言って、いつもより早いペースで飲んでたら、先輩に止められた。

「これ以上は飲ませられないなぁ……」

そう言って、微笑まれた。

店を出て、タクシーを呼ぶ。

「自分で帰れます!」と言って、1人で乗って帰った。

本当は先輩と梯子したかったんだけどね、失敗した。
奴の事、スッキリしたつもりだったんだけど、先輩と飲んで話したら、寂しさが込み上げて来て、ペースが早まってしまった。

先輩ごめんね。
次はきちんとするからね。
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