竜の国のご都合主義?

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驚きは急にやってくる

誤魔化しきれなかった…

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あれこれ悩んだが、結局どう説明したらいいかわからなかった。

夕食後、家族一同、父の書斎に呼ばれた。
と言うか、僕が呼ばれた時には、もうそろっていた。

ある程度先に話をしていたのか、テーブルには既にお茶が配膳されていた。

ゆっくりと喉を潤している兄達。
報告を受けた父の側に、不安な顔をした母。

「遅くなりました」

そう言って、勧められた席は、双子の兄、ルシウスとシリウスの真ん中だった。

「やっと来た。何を飲む?いつもので良いかい?」

そう言って、ルシウスが控えた侍女に指示を出した。
そして、改めて、各好みの新しい飲み物を準備された。

「さて、体調はどうだ?もう大丈夫かい?」

そう父が声をかけてきた。
体調的に十分落ち着いたから、『大丈夫』と素直に答えたが、この後の質問が怖くて、心の中はかなりオドオドしていた。

「カル…家族みんなが邸を仕事や用事とのためと開けてしまっていてすまなかったね。どうもネズミが入り込んでいたようだ。気分が悪かっただろ?」

 僕が、屋敷内とはいえ、陰でいろんな事を言われ続けていた事がわかったんだろうか?

「侍女長や執事長にも気づかれにくいように、すばしこいネズミがいたようだ。もう駆除したから安心して良い。」
「はい…」

「…………」

沈黙が怖い。
ルシウスがそっと僕の手を握ってくれ、シリウスがそっと労わるように背中をさすってくれていた。

表情が強張っているのがバレたのだろうか…
震えが…冷や汗が…

「カル…でも、私達は知りたいんだ。何故自分からあの場所に行ったのか、君の口から教えてもらえないだろうか…」

長男であるルキウスが悲しそうにそう言ってきた。
家族に迷惑をかけたく無い…そう独りよがりの行動で、家族を心配させ、悲しませたのだ。
自分の口から言ったほうがいい…
それは理解できるんだけど…

「カル…辛いなら、無理にとは言わないよ…」

そう言ってくれたのは、もう一人の兄リカルト。

「でも、できたら…」

そう呟いたのは姉のリリアナだった。
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