竜の国のご都合主義?

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聖女がやって来るみたいです

聖女がやって来るみたいです

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それからの話の内容が余りにも濃すぎて時間が足りなくなり、ディは今夜この屋敷に泊まることになった。

婚約者が泊まる分には、特に屋敷的には問題がない。
客室は十分あるし、いつ誰が泊まることになっても良いようには、常に準備されている。

ただ、もう少ししたらアカデミーに戻らなくてはいけなくて、話の解決策を練る時間が余りないように感じた。
どうすれば良いかと悩んでいたら、ディからアカデミーの件においては、今回は特例として、いつもの長期休暇が前倒しになると説明された。だからその間で出来るだけ解決できるように考慮しようと提案された。
前倒しになった長期休暇分は後期で休みがその分減らされるらしい。
それは仕方がないと思うけど…

明後日には一度アカデミーに戻る必要性があるのだとか…
もう少し休暇があると思ったんだけどなぁ。残念だ。

父は相変わらず仕事に追われている様子で、約束の日には戻れないと連絡して来た。
兄達はそれぞれの仕事で奮闘中だ。これも現在の問題のせいかもしれない。
国民を混乱させるのは良くないと、出来るだけ貴族や軍、神官職達で治めれるものは治めようと奮闘している結果だろう…
いつまでもはもたないだろうが…

寝室に戻ろうとしたら、ディに呼び止められた。
少し二人で話をしようとの事だった。

色々な情報過多で、僕がかなりの不安を持っていると思っているのだろう。
実際にそうではあるが…

何と言っても、サヤカからの情報は度肝が抜けた。
ゲーム設定には全然無かった事だった。そんな裏ストーリー、あった??って思ってしまったんだ。
まぁ、この世界が現実世界である事は、今では受け入れてはいるんだけれど…でもなぁ…

「飲むか?」

そう言われて渡されたのはホットチョコレート。
まぁ学生ではあるけれど、とりあえずはお酒を飲んでも良い年齢なんだけどなぁ…
この世界ではだけどね。
向こうで生きていた時の年齢からしたら、十分飲める年齢でもある。
お酒は二十歳からだったよな…

ちびちびと飲む。
実は猫舌なんだ。う~ん、ここからもお子ちゃま扱いなのかもしれないか…

横に座ってきたディはグラスに氷が入れられている。
芳醇な香りで、これはブランディーだと思った。
ロックで飲むんだね…

カランとグラスの中で音が鳴る。
その姿をじーっとみてしまった。

「そんなに可愛い顔をして見つめられるとな…」

そう言って笑う姿も何とも言えない色気を感じるよ。
僕が大人の女性ならって思う。
まぁ、この世界、男女問わず子供もできるし結婚だってできるのだから、性別関係ないと言われたらそうなんだけどね…でも、カッコいい男性には綺麗な女性ってついつい思ってしまうよ。
実際、かなりモテていて、婚約の打診も多かったと聞いている。
竜人族で、『運命の番』を求めていなければ…単に『番』だけなら僕以外でもなれる方法があるんだからね…

その話は昔、大人達の会話で聞いた事があるし…

「今、何を考えた!?」

ディが何とも言えない顔をしている。
機嫌が悪い。もしかして思った事を読み取った??

「俺の婚約者はカルロス・セイクリオン。お前だけだ。そして、兄である国王にも、カルの両親にも急遽了承を得た事がある。」
「えっ?了承??」
「そう、あの時書いた書類のことは覚えているか?」

何の事だろうか?
父達にディが婚約者である事は告げられて、アカデミーに入る前に幾つかの書類にサインはした。
アカデミーに入る為の書類は当然だが、婚約をする際に婚約届けの書類もだ。
向こうの世界では『婚約届け』なんて書類は無いが、この世界にはある。
特に貴族や王族などが必要とされているんだ。
向こうでは婚約の約束と、家族間でちょっとした儀式みたいなのはあったと思うんだけど…
従兄弟の兄が結婚する前に婚約する時にそう、結納だっけ?それで大変だって言っていた。
この世界にも結納はあるけど、少し違うような…婚約届けがそれと同じ儀式か?

それにあの時見せられたあの用紙には、今は使われていない古代文字が使われていると言っていた。
それは婚約や婚姻といった特別な術式を用いたものであるからと教えられたし、そう習った。
他にも特殊な誓約書などには古代文字が書かれており、術式の関係で今の文字にはまだ出来ない状態らしい。
サインを記入する場所だけが、現在の言葉で書かれており、そこにサインを施すんだ。
だから、言われた通りにサインはしたけれど…

「もしかして、アカデミーに入る前に書いた書類の事を言っている?それ以外の書類は覚えてないけれど…」
「あぁ、そうだ」
「あれは、婚約の書類だよね。そう説明されたし…」
「一枚はな…」

そう言われると、何だかぞわぞわする。

「えっと、二枚あったよね。同じようにサインしたのが…もしかして婚約破棄の書類だったりする?僕が向こうの国に行かなくてはいけなくて…戦争回避とかの目的とか何かで問題が起これば直ぐに婚約破棄できます的な?」

そっか…そうだよね…
ロザリアン神聖国が僕をよこせと言われたら…ディは王弟だ。国や国民を守る義務•必要性がある。
そうでなくても魔素溜まり問題から魔獣被害、扉の件。この世界の危機だ。
僕はモブであのゲームの内容のように死ぬ運命なんだろう…だから、切り捨てれるように事前に書類があっても不思議じゃない。
何せ全然読めない文字で書かれた書類だったしなぁ…
そっか…そう言うことか…

前回の封印が不完全だったのももしかしたら…
今回の聖女召喚に関係してくるのか…

なんか泣けてくるな…

「なっ、何を勘違いしている!!そんな事は有り得ない!この俺から離れようと考えるなら、どうなるか判っているんだろうな!!」

思いっきり両肩を掴まれて揺さぶられた。
僕の考えていた事が全部声に出ていたようで、ディが物凄く怒っている…




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