君に逢えてよかった

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えっと

えっと

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何時もより遅くなった部活帰り、いつも通る道を自宅に向けて帰っていた。

「今日の晩御飯なんだろうなぁ。今日も疲れた……ん?桜が満開だ。もうそんな時期か。月も満月ぽいし、夜桜って感じで良いな。」

そんな事を考えながら、ヒラヒラと舞い落ちる桜の花びらを手に取る。
いきなりスマホの着信音が鳴る。
ポケットから出して、確認。
姉からのメッセージだ。

「牛乳買うの忘れたから、コンビニででも買って来いって。パシリかよ。仕方ないなぁ…」

姉は今自宅に帰って来ていた。
出産後というのもあるけど、義兄が海外出張とかで、育児が大変だろうからと、両親や義兄に説得されて実家暮らしだ。まぁ、姪っ子が可愛いから良いけどな…
小さい子の顔は、疲れた時に癒しになる。
まぁ、姉と2人きりだと育児疲れでそんな気にもならないのかも知れないけどな…
よく育児ノイローゼとか言うからな。
呑気な姉はどうか知らないけど…

とりあえず、『了解』と返事して、ついでに夜桜の写真を撮って送ってやった。
結構綺麗に取れたと思うんだ。

「良い出来。」

スマホをポケットにしまい、自宅近くのコンビニに向かうい事にしようとした……
したんだけど……

一瞬強い風が吹き、桜の花びらが舞う事で、視界が塞がれた………と思ったら、知らない場所にいた。

「ここは何処だ?どうなってる?」

思わず自分の体を触って確認する。

「鞄…持ってる。スマホはポケットの中。よし。怪我…無いな。」

一通り確認し、周りをみる。
やっぱり知らない場所だ。


心臓がドキドキするのを何とか落ち着かせ、とりあえずスマホをいじってみるが……やはり圏外だ。

すると、近くの草むらから黒いローブを被った者が近づいて来た。

「おや?面白い者がいるね。これは良い。」

そう言うと、何やら怪しい呪文を唱え出した。
というか、俺の知らない言葉だ。
ローブを被った者がいきなりこっちに杖先を向けたと同時に、眩しい光で包まれた。

「うわっ」

思わず後ろにのけぞってしまい、尻餅をつきそうになる。
が、実際はそうならなかった。

身体が縮んでいき、服が脱げてしまう。
そして………

「にぁ~お」
『おれ、どうなった?身体が黒い毛玉だ。えっ?嘘だろ??』

「クックッ、ちょうど使い魔が欲しかったんだ。今は星空だが、月明かりの時は人に戻れるから良いだろ。誰も猫が人間なんて思わないさ。魔力は無いみたいだけど、それは何とでもなる。良いものを拾ったよ。」

そう言うと、ローブを俺に被せて捕らえられた。
老婆の姿かと思えば、絶世の美女の姿(でも、何故か毒々しい)になり、そばに落ちた俺の服や鞄を持って、その場から姿を消した……
というか、捕らえられて、気絶してしまったから、そこらへんの事はよくわからなかった。
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