君に逢えてよかった

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えっと

神様に会いました

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気がつけば、草原のような場所で寝てた。
はて?

見渡す限り、青い空。白い雲。
そして、広い草原。
時より風で草が波打って見えた。

いつか見たアニメ映画のワンシーンを彷彿とさせる。

でも、どうしてここに?

ん??
首元に違和感が……
そっと首を撫でてみる。

無い……

猫になっても、人に戻っても苦しく無いように不思議と調節されていた、あれが…
魔女に付けられた、首輪…
ご主人である、あの人が付けてくれたアクセサリーの様なものも、首輪と同時に無くなっている。

一瞬喜ぶも、不安になる。

「もしかして、死んだ?ここは、死後の世界?」

ぽそっと呟いてみると、それに反応して吹き出し、クスクス笑う者がいた。
思わずそちらの方向に向く。

「誰かいるのか?」

姿が見えない……何なんだ??

「ふふふっ、ごめんごめん」

そう言って、銀色の髪をなびかせた美丈夫が現れた。

「ふぇ?」
「ふふっ、驚かせてごめん。私はこの世界を司る者だ」
「司るって……神様的な?」
「うん、そうだね」

えっと、この世界の神様って、確か男性で、好戦的だったはず。
主人であるアルフレッド・エル・シュナイゼル はこの国の皇族だから、この神の末裔って事か?
見えない……どちらかと言えば、のほほんとしている感じの神だ…

「そう見える?まぁ当時の神であり、シュナイゼル 皇国の建国時の王では無いけどね。それは私の兄だから。私と彼は双子神なんだ。彼はこの国のを作ってから、つい最近までここにいたんだけど、奥方と一緒に今は別の世界にいるよ。当時から、子供や子孫に我々と同じ力を持つ子供ができて、人間の身には身に余る力だったから、暴走しそうになってね。君のような異世界で魂が近い者を番として呼んでいたんだ。つい最近私と交代してね、ちょっと失敗したんだ。ごめんね」

のほほんとしたこの神が、そんな事を言った。
失敗って、どういう事だ?

「君がこの世界に来る事は、必然だったんだ。彼に必要だったからね。」
「必要って、関係ないじゃ無いか。何で……」
「まぁ、こっちの都合何だけどね、本当は、番いのすぐ側に出現させるんだけどさ、手違いで、離れた場所にしてしまったんだ。結果、猫の姿になるようになったんだけどさ。で、それだけはどうにかしたくて、ここに呼んだんだ。」
「そんな勝手な事…」
「神なんてそんなものだよ。だけど、手違いだったから、猫になる魔法は解いてあげる。まぁ、どうしてもなりたいなら、少しの間だけならしてあげるよ。君が望めばね。ただし、ずっとじゃ無いから、そこの所はよろしく」
「元の世界に戻りたいんだけど!」
「それは出来ない。諦めてね。おっと、もう行かないと…君ももう戻りなさいね。何かあったら神殿においで、ちょっとは手助けできるかもしれないから…」

それだけ言って、トンと肩を押された。
いきなり地面が割れて、落とされる………

一気に暗闇に呑まれたと思ったら……
ドサッという音と共に、柔らかく慣れ親しんだ香りのする物に包まれた…
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