黒柳悦郎は走ったり走らなかったりする

織姫ゆん

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9章  九日目 雨の日

9-1 いつもと同じ雨の朝

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いつものように朝が来る。
窓の外ではチチチと小鳥が……。

(あれ?)

枕元で鳴るピピピピピというスマホのアラームに急かされながら、俺はゆっくりと目を覚ました。
いつもよりも若干薄暗く感じる部屋の中。
俺はスマホのアラームを止めるとベッドから出てカーテンを開けてみた。

「ああ、そういうことか」

サーッと細かい雨が、咲の部屋と俺の部屋の間を遮っていた。
耳をすませば屋根に当たる細かい雨音も聞き取れる。

「天気予報、今日は雨になるとか言ってたっけ」

割りと天気に無頓着な方の俺は、それをしっかりと確認した覚えがなかった。
なにしろそのあたりは、ほぼ咲に丸投げだからだ。

「今日はとっとと起きて、咲の負担を軽くするか」

いつもなら咲が起こしに来るまでボーッとしてたり二度寝したり、きちんと朝の支度をはじめずにうだうだすることが多い。
もちろんそういう時間の過ごし方が心地いいからというのもあるが、咲への甘えの気持ちがそこにあること認めなくもない。
ではなぜ、今日はとっとと起きて咲の負担を軽くするのか。
それは、雨の日ならではの理由がある。
まあ、男である俺からしたらよくわからない部分もあったりするのだが、想像がつかないことはない。

そんなことを考えたりしながら、俺は咲が部屋をノックしに来る前に着替えて1階のリビングへと向かった。

「うわ! おはよう。今日は早いね」

階段を降りきったところで遭遇した咲。
早めの起床の俺に驚きの表情を浮かべている。
どうやら、ちょうど俺を起こしに来ようとしていたタイミングだったらしい。

「おはよう咲。外、雨みたいだな」
「うん。そうみたい夕方には止むって」
「そうか」
「朝ごはんの支度してるから、顔洗ってきて。あと、鉄子さんたち朝のトレーニング明けでシャワー浴びてるからバスタオル用意しておいて」
「了解」

そこからはほぼいつもどおり。
若干俺に任せられる雑用が多めではあったが、それは予定通りなので別に面倒ではない。
なにしろ、そのために早めに起きてきたのだから。

っていうか、食事当番で入ったあの子、いつの間にかかーちゃんたちの朝のトレーニングに出るようになったのか。
ゆっくりかもしれないけど、少しずつ夢に近づいてるみたいだな。
よかったじゃないか。
脱衣所で遭遇して反射的にビンタはやめてほしかったけど。

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