前世で世界一周できなかったので、異世界で一周します

慶田 陽山

文字の大きさ
47 / 48
第3章 獣人族の町〈ヒュユク〉

第41話:ランク昇格の旅【後編】

しおりを挟む
遊園地を開園してから1日が経った。初日の客の足取りはまずまずだったが、2日目になると、忙しさがやまない事が多くなった。

そんな様子を見ていた俺はこの町、ヒュユクを出る準備をしていた。

準備と言っても、あとはトーリンさんを待つのみ。

トーリンさんに預けた冒険者カードのランク欄は今頃昇格しているだろう。

それとついでにクリハの冒険者カードも作ってもらっている。

門を潜るときに身分証明書が必要だからだ。

ロビンはどこからどう見ても精霊だから検査などされることはない。

今にも行列が絶えない遊園地。コースターから聞こえる悲鳴。陽気な笑い声。

それは俺たちが来た時のヒュユクの町とは思えないほどの物だ。

「おう、待たせたな」

そう言いながら開けっ放しのドアから顔を出したのはトーリンさん。

トーリンさんの右手には2枚のカードがあった。

「冒険者カードだ」

そう言いながら俺とクリハに差し出したカードを受け取る。

クリハは俺のパーティーメンバーとなっているのでランクは同じなのだ。

前回がFランクだったので昇格した俺のランクはCランク。

あれ?

Fの前ってCだっけ?

俺は頭の中でアルファベットをAから順番に言っていく。

A、B、C、D、E、F・・・・・・。

3つもランクが上がっている。そんな簡単にランクって上がる物なんだ。

「違いますよご主人様。ランクという物はこんな簡単に上がりません」

俺の心を読んだのか、俺が表情に出していたのかどちらか分からないが、クリハがそう呆れ気味に言う。

「じゃあ、なんで3つもランクが上がってるんだ?」

「国王が関わっているからですよ」

なるほど、納得。

そう心の中で言う。でもまあ、ランク何てどうでもいい。旅さえできれば俺には関係はない。

「されじゃあ、冒険者カードも返ってきたし、行くか」

「ちょっと待て!」

そう言ったのはロビン。

「報酬をもらい忘れてるぞ!」

ロビンに言われて初めて気が付く。依頼達成の報酬をもらい忘れている。

「ああ、それならそこにあるぞ」

そういいながら、トーリンさんが窓越しの外を指さす。

ロビン、クリハは外を見ると驚愕の声を漏らす。

「な!」

俺も二人の後に外を見ると外には大きな袋にぱんぱん詰め込まれている食料が大量にあった。

確かに旅に食料は欠かせない。

だがせっかく最近、時空間収納魔法の容量が広くなったのに、また埋まってしまうとは・・・・・・。

俺はトホホと心の中でつぶやきながら、全員で宿を出る。

そして報酬の食料を時空間収納魔法に詰め込む。

「タクミ殿」

そう言ってきたのはやっと初めて俺の正しい名前を呼んでくれたチャタルさん。

「本当に感謝している。ありがとう」

「いえ、繁盛できてよかったです」

「これ、報酬です」

そう俺に渡してきたのは依頼の成功報酬、300G|《ギガ》のはずだが・・・・・・。

「多くないですか?」

明らかに300G以上あるようにしか見えない。

「ここまでしてもらったのですから、当然です」

そう言うチャタルさん。俺はこの追加報酬を快く受け取ることにした。

「ありがとうございます」

そう感謝の言葉を添えて。

「では、俺達は行きます。さようなら」

そう言って俺は町を出た。

獣人族の人たちからたくさんの元気に背中を押されながら、新たな国に向かうのだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する

ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。 きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。 私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。 この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない? 私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?! 映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。 設定はゆるいです

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...