愛理の場合 〜レズビアンサークルの掟〜

本庄こだま

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5.El Dorado(エルドラード)

恥辱、服従、そして開眼。



 「ほら、始めるわよ」

 「イヤッ……来ないでッ!」

 ケイを睨みつけ牽制する愛理。胸と陰部を隠しながら、後ろに後退あとずさ

 「こんな……外でするなんて!おかしいわ!狂ってる!」
 
 そんな愛理の必死の訴えに、ケイは口元に立てた人差し指を当て、静寂を促す。

 「外でキャンキャン吠えないでよ。人に見られるわよ?」

 その言葉に、愛理はハッとして周りを見渡す。

 「……?」

 だがここは超高層マンションの最上階。

 離れた両隣の部屋こそあるものの、このベランダを覗く者は存在しない。

 「愛理ってほーんとバカだね❤︎」

 しまった──!?

 気付いた愛理が防御の姿勢に入る前に、両腕を掴まれてベランダの手すりに押さえつけられた。

 チュプッ❤︎ジュルッ❤︎

 「ん"ンッ!?ん~~……❤︎」

 愛理の厚い唇をこじ開けて捻じ込まれる長い舌。他人の味に口内を侵される。

 前戯するまでもなく濡れそぼった愛理の肉壺に、ケイは躊躇いなくペニスを当てがう。

 「愛理、念のためにもう一度だけ言っておくわ」

 一切の抵抗なく、ケイの亀頭が陰裂の浅い箇所に埋没してゆく。

 「私が許可するまで絶対に〝イクな〟……いいわね?」



 ズッ……チュッ!

 「んあァァッ!❤︎」

 ケイが愛理を正面から抱えるようにして腰を降ろすと、そのまま真上に突き上げた。

 貫かれた愛理はベランダの手すりに背中をもたれて、昼下がりの冬の寒空を仰ぐ。

 「いい?勝手にトブんじゃないわよ」

 パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎

 「!?❤︎ふァッ❤︎やめッ❤︎そんなッ❤︎急にッ❤︎おォッ❤︎」

 ケイは愛理の片足を抱えるようにして固定すると、荒い腰使いで愛理のを深々とえぐる。

 身長差もあり、ケイに片足を取られた愛理の軸足はもはやバレリーナのように爪先立ちで、体重の殆どをベランダの手すりに預けた状態だ。

 眼前に広がる東京湾の波間さえ穏やかな、昼下がりの静寂。

 地上100mの空中で、肉と肉が弾け合う乾いた音だけが響き渡る。

 パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎

 「ひィィッ❤︎いぎィッ❤︎ん"ァァッ❤︎」

 逃げ場のない愛理は片足立ちのまま、ただひたすらにケイのペニスによる怒涛のをノーガードに喰らいまくる。
 
 (こんなのッ❤︎無理ッ❤︎でもッ❤︎ガマンッ❤︎ガマンしなきゃッ❤︎)

 「ふんッ❤︎うゥンッ❤︎んンンッ❤︎」

 愛理は歯を食いしばりながら、何とか快感の波を紛らわそうと、腰を小刻みに動かして抵抗する。
 最も脆弱な〝最深部の急所〟に対し、ピストンの照準を絞らせないためだ。

 だがケイは、そんな愛理の稚拙な反抗などお構いなしに、凄まじいパワーで襲い掛かる。

 「ほら、また膣内ヴァギナがキュンキュンしてきた。ペニスを懸命に締め付けて、射精に期待して、貪欲で浅ましい愛理の姿そのままね❤︎」

 「イヤぁぁ……❤︎違うぅぅ……❤︎」

 ケイの指摘に愛理は首を横に振る。

 「そう?だったら耐えてみせなさい。自制心を持ったマトモな人間だと証明してみせて。それができないなら、あなたはただのセックス狂いのマゾ豚よ」

 「イヤぁッ❤︎マゾ豚なんてイヤぁぁッ❤︎」

 閑散とした東京の冬空に、愛理の叫びが響き渡る。
 密着した肉体は逃走を許さず、自慢の長い黒髪はケイの手にしっかりと絡め取られ、まるで手綱のように愛理の身体を操る。

 (ヤバイッ❤︎もうッ❤︎無理ッ❤︎またイクッ❤︎またッ❤︎イッちゃうゥッ❤︎)

 「ぐゥゥッ❤︎あッ❤︎あッ❤︎あッ❤︎イ"ィッ❤︎イ"グゥ❤︎あ"────ッ❤︎」



 愛理が絶頂に昇り詰める刹那、ケイは見計らったように腰の動きをピタリと止めた。

 だ。

 また〝手にしたはずの快楽〟を、横から掠め取られた。

 「……はッ❤︎はッ❤︎うぅぅ……ごめんなさいッ❤︎ごめんなさいッ❤︎」

 ケイが言葉を発するよりも先に、愛理が詫びる。

 この後、己に対して向けられるであろうケイの罵り、嘲り……そして〝更なる快楽の地獄〟が、愛理にとっては何より恐ろしかった。

 「何を謝ってるの?謝るくらいなら耐えるのよ。もし次、勝手にイクような事があれば……」

 ケイは愛理の髪を引っ張り、首を力任せに捻じ上げると、涙と鼻水、よだれにまみれてグシャグシャになった愛理の顔を覗き込む。

 「ココから真っ逆さまにやろうかしら?」

 「や……待ってッ!!」

 グイッ!

 ケイはもう片方の愛理の軸足を担ぎ上げた。

 愛理の小さな身体は宙に浮き、その体重は心許こころもとない細い手すりにすべて預けられた。

 「ヒィッ!?イヤぁッ!!降ろしてッ!!落ちるッ!?怖いッ!!怖いィィッ!!」

 愛理の肩から上は手すりの外に投げ出され、長い黒髪が地上100mの風にサラサラとたなびく。

 眼下に伸びる産業道路を行き交う人や車はミニチュア細工のようで、愛理の脳裏には嫌でも〝万が一〟の光景が浮かび上がってしまう。

 「ふふ、少しは目が覚めた?恐ろしくて、セックスどころじゃなさそうだけどね」

 そんな中でもケイは冷ややかな笑みを浮かべ、再び腰を動かし始める。

 ズチュッ❤︎ズプッ❤︎クチュッ❤︎

 「あぐッ❤︎イヤッ❤︎やめ……くぅんッ❤︎」

 身のすくむような恐怖と、再び湧き上がる肉体の情欲。目まぐるしいほどの感情の起伏。

 逃げ場のない思考回路が激しく愛理の脳内で錯綜し、恐怖や絶望さえも、それを凌駕する〝極上の性的快楽〟に上書きされてゆく。

 「ふンッ❤︎ふンッ❤︎どうしたの愛理?さっきよりもてきてる❤︎まさかあなた、この状況で興奮してるの?」

 「きひッ❤︎くォォォッ❤︎あぁぁぁマンコいいッ❤︎マンコッ❤︎マンコ死ぬゥゥッ!!❤︎」

 「イクんじゃないわよッ!❤︎勝手にイッたらホントに殺してやるからッ!❤︎」

 「あァァァッ❤︎無理ッ❤︎絶対ムリぃぃッ!!❤︎殺してッ!!❤︎イキたいッ❤︎マンコイキたいィィィッ!!❤︎」

 ジョポッ……ジョボボボ……

 「?」

 ふと、ケイが温もりを感じ、愛理との股間の結合部を見る。

 溢れ出る琥珀色の液体が、ケイの両脚を濡らしながら足元に水溜りをつくる。鼻をつくアンモニア臭。

 愛理が失禁した。



 「あゥンッ❤︎ふゥゥゥ……❤︎お?……おォッ❤︎」

 まるで止まる気配の無い自らの放尿を、愛理はほうけた顔で見つめている。

 決定的な恥。女としての終わり。

 だが、愛理は恥じる様子も悪びれる様子もなく、ひたすらに腰を動かし続ける。

 「うぅぅ❤︎ケイッ❤︎イカせてッ❤︎お願いイカせてぇッ❤︎無理ッ❤︎ガマンなんて無理ッ❤︎狂うッ❤︎頭ッ❤︎おかしくなるッ❤︎」

 「……とっくに狂ってるわよ、バカ女」

 呟くように愛理を腐すケイ。

 しかし、その内心は〝戦慄〟の一言であった。

 (この状況で〝セックス〟を選んだ?この娘、どこまで色狂いなの……)

 ケイは愛理の〝精神強度〟を試すために、ひたすら性的絶頂オルガズムを禁じ、肉体を虐め、プライドを折り、生命の恐怖すら与えたつもりだった。

 だが、愛理はその怒涛のような責めの中でさえ〝貪欲な性への渇望〟を選んだ。

 結果、理性のが外れ、小便を漏らしながらセックスを懇願する〝下劣で無様なマゾ〟としての本性が明らかになったのだ。

 恐怖と我慢による過大な精神ストレスが、最後まで守るべき〝愛理の自尊心〟を跡形もなく粉砕した。

 「……2日もいらなかったみたいね」

 ケイはARISAからの特命を完遂させた安堵に胸を撫で下ろす。

 それと同時に、ARISAや史織らサークルの権力者が、揃ってこの「愛理」という女に魅入られてしまった理由を理解した。

 (こんなオンナ、放っておけるワケないじゃない……❤︎)

 そしてまたここに一人、愛理の淫力に魅せられた女が誕生した。



 「あンッ❤︎ケイッ❤︎ケイお願いッ❤︎マゾでいいッ❤︎マゾ豚でいいからッ❤︎チンポッ❤︎チンポ突いてッ❤︎イキたいイキたいイキたいィィィッ❤︎」

 口からよだれを垂らしながら、愛理が髪を振り乱して泣き叫ぶ。

 目は焦点が合わず、顔は紅潮し、泡を飛ばして叫び続ける声は痰が絡んでけだものの唸りのようだ。

 ほとんど気が触れてしまったかのような愛理の有様……。

 その哀れなオンナの姿を前に、ケイの心に〝悪魔〟が入り込む。

 「うるさいッ!」

 パンッ!

 突如、愛理の頬をケイの平手打ちが襲う。

 「うぐッ……」

 「口の利き方を知りなさい、マゾ豚。お前のカラダをどうしようが、それは私次第なの」

 「いや……ケイッ……好きッ……」

 大きな瞳を潤ませながら、愛理が健気にもキスをせがむ。

 パァンッ!

 「ふゥッ!?ひッ……」

 だが、ケイは聞き入れない。躊躇ためらいなき、無慈悲な二撃目が愛理の頬に炸裂する。

 「好き?それ、媚びてるつもり?残念、私はお前を〝醜悪なマゾ豚〟としか思わない。好きだなんて、反吐が出そう」

 「ひぐッ……ご……ごめんなさい……」

 快楽を得るために必死に媚びた結果、呆気なく拒絶される愛理。

 女としての恥辱の極み──。

 だが、ケイから発せられた言葉は意外なものだった。

 「……まぁいいわ。そんなにイキたいならイッてもいい。これは〝許可〟よ。好きなだけイキなさい」

 「!!……じゃ、じゃあ」

 「ただし」

 そこまで言うとケイは、担いだ愛理の両脚を降ろし、ペニスを引き抜いてしまう。

 「はゥッ!?❤︎……えっ……?」

 ケイに告げられた言葉は、愛理にとってあまりに残酷すぎる命令だった。

 「ここでオナニーしなさい。イク時は、私の目を見て、はっきりと申告すること。いい?」

 「は……?」



 膝から崩れ落ち、その場にへたり込む愛理。

 冷えた小便の水溜りが尻を濡らすが、もはやそんな事さえ些末な様に思えた。

 暗闇の大海原にただ一人放り出されたような、孤独と絶望。

 (オナニー?なんで?そんな……ここまできて?なんで、なんでセックスしてくれないの?)

 茫然自失と中空を見つめ、理不尽な現実を反芻はんすうする。

 「愛理、やるの?やらないの?あなたの〝覚悟〟を聞いてるの」

 ケイが愛理の前髪を掴んで顔を上げさせる。

 断れない。嫌われたくない。

 これ以上、ケイに失望されたくない。

 「や……やるッ。やるわ」

 愛理が反射的に答えると、ケイは髪から手を離す。

 「あ、そ。なら待ってなさい」

 ケイはそう言うと、窓を開けて部屋の中に入る。

 数十秒後、戻ってきたケイの手にはハンディマッサージャー、いわゆる〝電マ〟が握られていた。

 ケイはベランダにへたり込む愛理に、部屋の中からその電マを投げて渡す。

 「これを使ってするの。お前ひとりでね……」

 目にうるさい程の毒々しいピンク色の電マ。
 
 愛理は手にしたそれを暫し呆然と見つめたままだったが、顔を上げると窓に立つケイを恨めしそうな目で睨んだ。

 (なんで私……こんな……!!)

 険しく眉間に皺を寄せ、ケイを睨んだ愛理の目から涙が溢れる。

 見せつけられた圧倒的な実力差。自らの弱さ。完膚なきまでに叩き潰されたプライド。

 そして、〝女〟としての否定……。

 そこに残ったのは、暴走する性欲に身を焦がし、快楽の為には魂の堕落も厭わない、ひたすらにセックスをねだる卑しい家畜。

 悔しい。こんな自分、絶対に許せない。

 (なのにッ……どうして……!!)

 愛理は電マのスイッチを入れる。

 ヴヴヴヴヴヴヴヴ……

 ヘッドが強烈に震え始め、その振動が愛理の手にも伝わる。

 この無機質な刺激が、抑揚の無いモーター音が、愛理の最後に残った〝尊厳〟を根こそぎ断ち切るのだ。

 (狂ってしまいたいッ!堕ちてしまいたいッ!)

 愛理は下唇を噛み、ケイの眼を真っ直ぐに見据えながら、一気に電マを己の陰部に押し当てる。

 「ほォッ!?❤︎こッ……くゥッ……❤︎」

 素っ頓狂な叫びとともに、愛理の身体が大きく仰け反る。

 「んふッ!❤︎おォォッ……クリッ……あッ!!❤︎あイクッ❤︎あぁイクイクイクイクイクッ❤︎イグぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ❤︎❤︎❤︎」

 果てるまで、ものの5秒。

 愛理は自らの意志で、快楽のために尊厳を捨てた。



 屋外である事をまるで忘れ、ありったけの声量で狂い叫ぶ愛理。

 醜く無様な肉欲の奴隷のれ果てを、ベランダの窓越しに立つケイは満足げに見下ろしていた。

 「あれだけ頑なに守ってたチンケなプライド、一瞬の快楽のために迷いなく捨てたわね?上出来よ、❤︎」

 「ん"ッ❤︎ん"ゥゥ……ぎも"ぢい"い"ン……❤︎」

 声を枯らし、涙を流しながらも、愛理はニッコリと微笑んでうなずく。

 (やっぱり私、マゾだったんだ)

 (セックスしてもらう価値すらない、独りよがりの卑しいオマンコ奴隷)

 (でも……気持ちいい……ホントの私……こんなにも気持ちいいのォォ……❤︎)

 「何度でもイキなさい、お前の気が済むまで。もう我慢なんて必要ない。マゾにプライドなんて必要ないの」

 ケイは愛理にそう告げると、部屋の奥へと姿を消す。

 「んォォォォッ❤︎おッ❤︎おッ❤︎またイグッ❤︎すぐイグッ❤︎イグイグイグッ❤︎❤︎」

 から無限の絶頂許可を得た愛理は、ただひたすらに、脇目も振らずに自らの性器をいじめ抜く。

 時刻は17時過ぎ。

 陽はとうに暮れて、冷たい夜風が情欲に火照る愛理の身体に吹きつける。

 その後、身勝手に性的絶頂オルガズムに達し続けた愛理は、9度目の絶頂で気を失った。



 眩しい光がまぶたをこじ開ける。

 「ん……うぅ……?」

 肉体の隅々に宿る気怠けだるい余韻。霧がかった様な、曖昧な思考。

 「!?……あっ……」

 愛理が目覚めたのは、ケイの部屋のフローリングだった。
 
 2度目の気絶。

 すべてを思い出した愛理は頭を抱えて天井を仰いだ。

 奥歯を強く噛み締め、泣き叫びたくなる気持ちを必死に抑え込む。

 マゾである事を認めた時、そこにあったのは確かなる〝よろこび〟だった。

 (くッ……なんでッ!なんでよッ!!)
 
 認めてしまった快楽と、認めざるを得なかった悔しさの狭間で、愛理の精神は張り裂けそうになっていた。

 ガチャッ

 「!?」

 リビングのドアが開く。

 入ってきたケイと目が合う。

 「っ……」

 愛理は気まずそうに目を逸らし、姿勢を正して座り直す。

 絶頂を我慢できず、失禁させられ、挙げ句の果てに〝マゾ宣言〟までさせられた。

 見放されても仕方ない。El Doradoエルドラードで戦い抜く実力が、今の私には無い──。

 言葉に窮し、ただうつむくだけの哀れな女に、先に声を掛けたのはケイだった。

 「起きたわね愛理。身体、冷えてるんじゃない?シャワーでも浴びてきなさい」

 ケイは言いながらソファに座り、テレビのリモコンに手を伸ばす。

 冷徹な嘲笑や激烈な罵倒を予期していた愛理にとって、ケイの言葉は予想外だった。

 固く結んだ唇を開いて、愛理はポツリと呟く。

 「……失望したでしょ?El Doradoエルドラードにこんなマゾ女が参戦してるだなんて」

 震える声はテレビの音量に掻き消されたのか、ケイは背を向けたまま何も反応しない。

 その背後で、愛理は無言のまま立ち上がると、フラフラとした足取りで歩き出す。

 (泣いてどうするのよ。全部、自分が弱いせいじゃない)

 悔しくて、情けなくて、溢れそうになる涙を悟られぬように、足早にバスルームへと向かった。



 午後6時過ぎ。

 冷えた身体にシャワーを当てると、滞っていた血流とまた同じように、絶望に滞る愛理の思考もにわかに動き始める。

 (ケイに見捨てられてしまっても、El Doradoエルドラードの試合はこれからも続くのよ。私は私で、弱いなりに精一杯戦うしかない)

 腰まで届く長い黒髪を丁寧に洗いながら、姿見の中の自分を睨む愛理。

 自らのマゾヒストとしての本性をケイに暴かれてしまっても、一度踏み出した道を戻る事は考えられなかった。

 (ケイには謝って、帰るしかないわ。これ以上、ケイに迷惑は掛けられないもの)

 バスルームから出た愛理はドライヤーで髪を乾かすと、ケイの居るリビングへと戻る。

 だが、そこには思いもよらない女の姿があった。

 「えッ!?」

 目を丸くし、悲鳴にも似た声をあげる愛理。驚愕のあまり、その場に立ち尽くす。

 「愛理来たよー、頑張ってる?」

 ソファに座るケイの横に、恭子の姿があった。

 いつもの調子で笑顔を浮かべながら、愛理に手を振る恭子。

 「きょ……恭子……」

 その姿を見た瞬間、抑えていた愛理の感情が号泣となって溢れ出した。

 「恭子ォ……!うぐッ、ひぐッ、うぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

 人目をはばからず子供のように泣きじゃくる愛理の姿に、恭子は動揺する。

 「えっ?ど、どうしたの?私なんか悪いことした??」

 「ハハッ……恭子、あなたナンパ師のくせに鈍いね……」

 狼狽する恭子の隣で、煙草を燻らすケイは目を細めて苦笑いする。

 だがそれも束の間、ソファから立ち上がるとそのままベッドへと向かい、愛理を人差し指で手招きする。

 「愛理、いつまでも泣いてる場合じゃないわ。これからに入るから」

 「そ……総仕上げ……?」

 愛理は泣き腫らした顔でキョトンとケイを見つめる。

 「そう。このセックス・トレーニングの集大成。正直時間が足りないと思ったけど、まさか1日で終わるとはね」

 「だって……私……もう……ケイの期待には応えられない……ケイだって分かったでしょ?こんな弱くて堪え性の無い女……」

 愛理はまたもや泣き出しそうに顔を引き攣らせてケイに訴えるが、返ってきた答えは予想外だった。

 「愛理、その逆よ。あなたは期待以上のものを魅せてくれた。必要なに達するのに、2日もいらなかったの。この数時間で、はほぼ完成したわ」

 「……?」

 愛理には、ケイの言葉の意味するところが全く分からなかった。

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 「さぁ、愛理。こっちへ来て。ここからは〝本気〟でいくから……❤︎」

 ケイは先程まで見せることの無かった柔和な笑みを浮かべて愛理を誘う。

 冷徹に見えた女の思い掛けない表情に、愛理は思わず胸の高鳴りを覚えた。

 (でも……)

 愛理の横目に恭子の姿が映る。

 恭子はソファの背もたれに両肘を乗せながら、興味深そうに2人のやり取りを見つめている。

 (恭子が見てるのに……あんな無様な姿は見せられない……)

 ケイに敵わない事は、今日だけで散々身をもって思い知らされた。

 ましてや〝マゾ宣言〟までしてしまった今、おそらくこれから行なうセックスも、ケイに一方的に辱められるだけの半ばレイプのようなものになるだろう。

 惨めに絶頂を繰り返し、その挙句に失神するような様を、よりによって恭子に見られるだなんて……。

 愛理がベッドに向かう事を躊躇ためらっていると、恭子が口を開いた。

 「愛理、自分の感情に素直になりなよ。プライドや見栄えなんて関係ない。欲望のまま、感じるままのセックスをすれば、愛理は無敵なんだから」

 「……!」

 恭子の言葉に、愛理はハッとした。
 
 〝快楽は与えられるのではなく、自ら掴み取るもの〟──。

 いつか言われた言葉が、愛理の脳裏によぎる。

 その言葉の意味、自らが起こすべき行動、今ならばその全てを理解できた。

 (そうよ……私、全然分かってなかった)

 愛理は俯き、目を閉じて、小さく一つ息を吐く。

 そして顔を上げた時、その目には既に迷いの色は無かった。

 「恭子ッ」

 「ん?」

 振り向いて愛理が名を呼ぶ。その声に、恭子が微笑み返す。

 「ちゃんと見ててね…………!」

 愛理は迷いなくベッドへと歩みを進め、ケイの隣にピョンと飛び乗った。

 弾む小さな身体をケイは抱き止め、2人は互いに目を合わせる。

 「愛理……❤︎」

 「ケイ、来て……んむッ!?❤︎」

 優しく頬を寄せ合った2人が、瞬時に激しいキスを交わす。
 指を絡め、胸を合わせ、舌を互いの口腔に捻じ込み合って情欲をぶつける。

 愛理の〝最終テスト〟が始まった。

11

 キスをしながらも、互いに目線は逸らさない。まるで相手の次の手を読み合うように、瞳の奥の〝本心〟を探り見るように……。

 「んんッ❤︎」

 「あッ……」

 初めに仕掛けたのはケイだった。

 体格の優位を活かして愛理の上に覆い被さると、そのまま仰向けに押し倒した。

 「愛理、たまらないちちしてるよねッ❤︎ARISAが欲しがるワケだわ……ジュルッ❤︎」

 「はァンッ!?❤︎」

 寝転んでもなお、ツンと上向きに張り詰めた、大きく弾力のある愛理の乳房にむしゃぶりつくケイ。

 先程までのクールなイメージとはまるで違う、荒々しいケイのプレイに愛理は戸惑っていた。

 チュッ❤︎チュパッ❤︎ジュルルル❤︎

 「あッ❤︎あッ❤︎あンッ❤︎ケイはげしッ❤︎」

 「激しいの好きでしょ❤︎マゾ愛理ッ❤︎」

 乳首を強く吸われるたびに甘い吐息を漏らす愛理と、その反応を愉しむケイ。

 巧みな舌先の刺激で膨らんでゆく乳首は、ケイの口の中で完全な勃起を迎えた。

 チュポンッ!❤︎

 「はァうッ!❤︎」

 ケイが唇を勢いよく離す。
 
 ジンジンと疼く桜色の乳首が、唾液に濡れて輝いていた。

 その瑞々しいつぼみを、ケイは指先でコリコリと遠慮なしに弄ぶ。

 「んひィッ❤︎いやッ❤︎乳首そんなッ❤︎」

 継続的な甘い刺激に愛理は身をよじって抵抗するが、抱きついたケイの腕力には敵わない。

 「そんな嫌そうな素振そぶりしてもムダよ?あなたの本性は分かってるから❤︎」

 ケイはニンマリとした非情な笑みを浮かべながら、愛理の喉元に手を伸ばした。

 ギュウウ……!

 「あゥッ!?……ぐはッ!!」

 ケイの細く長い指が、愛理の首に食い込んで締め付ける。

 (また……!)

 先程も見せた、ケイの残忍なプレイ。

 愛理の顔が、耳まで真っ赤に充血してゆく。

 「くふッ……んぐゥゥゥ……」

 情けなくうめいた口角からは唾液が溢れ、見開いた目からは涙の雫が流れ落ちる。

 「愛理、あなたの口から言いなさい。ちゃんとお願いするの。いい?」

 ケイは顔を近付けて、耳元で囁くように愛理に投げかける。

 その言葉の意味を、愛理も理解していた。

 愛理は苦痛に顔を歪ませながら、ケイの言葉にコクリと頷く。

 「はァッ、んぐッ……い……挿入いれてッ……くださ……❤︎」

 「ん?何を挿入いれてほしいの?はっきりと言いなさい」

 「おッ……おチンポぉぉ……❤︎」

 絞り出すようなかすれ声で、赤裸々に挿入を求める愛理。

 その言葉に、卑屈さは一切ない。

 愛理は今度こそ、自らの意志で〝愛されること〟を選んだのだった。

12

 「そう……ならお望み通りに……❤︎」

 愛理の懇願を聞き、ケイはすかさず愛理を腕を掴んで横倒しにする。

 「あぅッ!……んはァッ、ゲホッ!ゴホッ!うゥゥ……」

 首絞めチョークから一時的に逃れた愛理は激しく咳込みながら、本能的にケイの側から離れようと身体をうごめかせる。
 だがケイは愛理の背中に回り込むと、あっさりと愛理を羽交い締めにして自由を奪う。

 横たわった愛理の股ぐらに、熱く脈打つ肉の槍が当てがわれた。

 「鳴きなさいッ、可愛い可愛い〝雌穴〟ちゃん❤︎」

 ズプッ!ズリュ……ブチュッ❤︎

 「くォッ❤︎あぐゥゥッ❤︎挿入はいッ……❤︎」

 今日だけで何度目か、ケイのペニスが愛理の膣内に挿入される。

 午前中から酷使され、トロトロにほぐされ尽くした愛理の膣肉は、いとも簡単にケイの〝スペシャル・ディック〟を飲み込んでしまった。

 (くッ❤︎奥ッ❤︎奥気持ちイイッ❤︎)

 「んはァァァッ❤︎あゥゥゥッ❤︎」

 思わず声を出して喘ぐ愛理。

 肉体の真芯を貫くような強烈な性感を受け止めながら、自らが〝極上の雌〟である悦びを全身で噛み締める。

 「あぐッ❤︎はァうッ❤︎んぎッ❤︎チッ、チンポッ❤︎チンポ効くゥッ❤︎」

 「一人で盛り上がっちゃって……❤︎まだ動かしてないのよ?卑しいマゾ豚ッ❤︎」

 パァンッ❤︎

 「ほォッ!?❤︎んおォォッ❤︎イッ……グッ❤︎❤︎」

 ケイが愛理の腰回りを引きつけ、ぶつけるように力強く奥を突く。
 たった一度の突きで、愛理の肉体は性的絶頂オルガズムへ達した。

13

 「はッ……❤︎はァッ……❤︎あゥンッ❤︎」

 クラクラと部屋の風景が歪み、朦朧とする愛理の視界に、恭子の姿が映る。

 恭子は2人のセックスを何も言わずに見つめていた。

 先程までと変わらない、ソファの背もたれに頬杖をついた姿勢で、〝女たちの交尾〟を興味深げに眺めている。

 (恭子……)

 愛理と恭子の目線が交わる。

 恭子が、少しだけ笑ったような気がした。

 現在進行形で他の女に身体を愛されながら、愛理は貪欲に〝彼女の愛〟を求めていた。

 (欲しい……❤︎)

 ゴリュッ!ズチュッ!ブチュッ!

 だが、そんな愛理のいじらしい女心は、膣内で暴れ出した凶暴なペニスに引き裂かれてしまった。

 「あァッ❤︎あンッ❤︎ケイッ❤︎ケイだめッ❤︎すごいッ❤︎」

 「なに恭子のこと見てるのよ?今の愛理はなの。よそ見しないで、全力で応えなさいッ、マゾ豚ッ❤︎」
 
 「ひィィィッ!❤︎ごッ❤︎ごめんなさッ❤︎あィィィッ!❤︎……イクッ❤︎❤︎❤︎」

 プシャッ❤︎プシッ❤︎ジョボボボ……

 ケイの腕の中で、愛理の身体が大きく反れる。先程よりもより深い性的絶頂オルガズムに、愛理は股間から潮を噴き、脱力したと同時に小便を漏らした。

 「あらら、またお漏らし?ふふっ、なんだか恥ずかしいがついちゃったみたいね❤︎」

 放出された体液でぐっしょりと濡れたシーツの上で、それでもケイは愛理の身体を愛おしげに抱きしめる。

 「たまらないわ……愛理……最高の女」

 ケイはなおも腰の動きを止めないまま、愛理の耳元で囁く。

 「ねぇ愛理、あなた〝膣内射精なかだし〟の経験はある?」

 「はッ❤︎はッ❤︎あえっ……?」

 愛理はケイの問い掛けをすぐさま理解できなかったが、〝膣内射精〟という言葉には敏感に反応した。

 「イッ、イヤッ……!膣内なかだけはッ……ダメよ……!」

 「ふぅん?経験ないんだ?それは怖いわねぇ……妊娠しちゃうかもだしね❤︎」

 (違うッ!違うのッ!)

 愛理は心の中で強く否定する。

 膣内射精が怖いのではない。ペニスの恐怖に打ち勝つ心が、今の愛理にはあった。

 (恭子が……恭子が見てるッ!)

 愛理の〝怖さ〟は、愛する女の眼前で、「誰かのもの」にされてしまう恐怖だった。

14

 パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎

 「朝からあなたばかりイキっぱなしだけど、私一回も出してないんだよ?わかってる?」

 ケイは腰を振りながら、愛理のマゾとしてのをなじる。

 「あンッ❤︎はァンッ❤︎ごめんなさいッ❤︎ごめんなさいィィッ❤︎」

 鬱憤を晴らすかのようなケイの荒々しい腰使いに、愛理はただひたすらに詫びることしかできないが、それでも卑しく貪欲な肉体は快楽を受けて悦びの声を上げる。

 「もう一度聞くわ。愛理、膣内射精なかだしの経験は?」

 ケイは愛理の顎を掴んで、無理矢理に顔を向かせる。

 「いぎッ❤︎……いッ、1回だけ……おッ❤︎」

 愛理が目線を送った先には、恭子がいる。恭子も、じっと愛理の様子を見ている。

 「そう。相手は誰だったのかしら?恋人?それとも商売の客?」

 「そ……れは……」

 言えない。

 は、私をこの世界に導いた人。
 独りよがりで意固地な私に、〝本当の性の悦び〟を教えてくれた人。

 そのの膣内射精を許した人の名前を、言えるわけがない。

 「……!!」

 口を真一文字に固く結んで返答を拒否する愛理。

 パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎

 「くンッ❤︎うゥンッ❤︎おォォッ❤︎」

 リズミカルで、テクニカルで、パワフルなケイの腰使い。
 〝オンナの急所〟を知り尽くした、その完璧なる性技パーフェクト・セックスに、愛理は翻弄されるままだ。

 「……まぁいいわ。とにかく、膣内射精の経験はその1回きりなのね?」

 「はぐッ❤︎あゥッ❤︎そッ、そうよッ❤︎一度だけッ❤︎一度だけだから……うあァッ!❤︎イクッ!❤︎」

 問答の合間にも休まず責められ続ける愛理は、何度も何度も絶頂を繰り返す。

 それでも、もう二度と気を失うような無様な醜態は晒したくない。単なる性処理人形ダッチワイフとして扱われる事なく、〝オンナ〟として愛されたい。

 マゾを受け入れた愛理の、最後の意地だった。

 「そう。なら……」

 ギリッ……

 「ぐッ!?あ"ぁ"ぐッ……!」

 愛理の首にケイの長い腕が回され、蛇のようにゆっくりと頸動脈を締め上げる。

 先程までの指での圧迫とはまるで異なる力と密着感に、愛理は一気に意識が遠のく。

 薄れゆく意識の中で、ケイの囁いた言葉が反響する様に響いた。

 「なら、これでね❤︎」

 ビュルッ!❤︎ブピュッ!❤︎ドクッ❤︎ドクッ❤︎

 「イッ❤︎……お"ォォォォ……❤︎❤︎❤︎」

 愛理が最後に感じたのは以来の、天を舞うような最上のエクスタシー。

 ケイの腕の中で、愛理は深い眠りに落ちた──。

15

 ヌッ……ポン❤︎

 窮屈そうにケイのペニスが引き抜かれると、栓を抜かれた膣穴から白濁液が溢れ出てきた。

 見紛う事なき、膣内射精なかだしの証明。

 「これで良かったのよね?恭子」

 「……うん」

 ケイに尋ねられ、恭子は複雑な笑みを浮かべて軽く頷いた。

 「追い詰められて、蔑まれて、マゾである自分を受け入れた愛理……ARISAさんの思惑通りになるかな?」

 「そのための最後の障害が、あなたへの〝執着〟だった……」

 ケイの言葉に、恭子は目を伏せながら独り言のように呟く。

 「常識を超えた〝淫乱〟になるためには、愛なんて邪魔なだけだよ……」

 全てを見届けた恭子は、そう言うとソファから立ち上がり玄関へと向かう。

 「愛理に……〝お疲れ様〟って伝えて」

 恭子は背中で言い残し、振り向かないまま部屋を出て行った。

 「……柄でもない強がりね、恭子」

 ケイは溜め息をひとつ吐くと、眠りについた愛理の頬を優しく撫でる。

 「愛理、あなたを中心にして色んな女たちが動いてる。そして、色んな女たちを狂わせてる」

 いつしか夜景に変わった窓外には、海に浮かぶ吊り橋のカクテルライトが照らされ、漆黒の水面に溶け落ちていた。

 「天性の愛奴……だけど」

 眠りにつく愛理の顔は、幼児のあどけなささえ感じさせる程に無垢そのものだ。

 「すべてのオンナを惹きつける女王クイーンにもなりえる……?」

 〝新たなる愛理〟が舞台に立つまで、あと5日……。


(5章 完)
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