愛理の場合 〜レズビアンサークルの掟〜

本庄こだま

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7.檻に眠る愛奴(ペット)

仮面の下の欲望



 「立て、愛理」

 「はぅッ!?いぎッ……!」

 大柄な女は愛理の髪を乱暴に掴んで引っ張り上げる。
 その手荒な動作には一切の手加減もなく、まるで愛理を〝モノ〟同然に扱う。

 頭皮が裂けるような鋭い痛みに、疲労困憊の身体を必死にもがいて立ち上がった愛理だが、女の凄まじい腕力に振り回されて足元はヨロヨロとおぼつかない。

 女はそのまま愛理を部屋の壁際にまで連れて行き、勢いよく壁に向かって押し付けた。

 ダァンッ

 「うぐッ……やめ……!」

 「ん?やめろ?アンタ、マゾ豚のくせに指図する気なんだ?フフッ……まだ自分の立場が分からないみたいだね、このバカ女!」

 パァンッ!

 「ひッ!?……ぐぅ……!!」

 愛理の右頬を襲う強烈なビンタ。コンクリートに囲われた部屋に、乾いた音が反響する。

 ビンタ、というにはあまりにも攻撃力の高い、〝張り手〟とも呼びたくなる渾身の一撃。

 巨大なてのひらによる凄まじい一撃は、愛理の意識をいとも容易く吹き飛ばす。

 「ぉ……ぉ……」

 愛理はフラフラと昏倒し、虚ろな目をしながら女の腕の中に抱かれると、女はその隙にキャットスーツの胸元に仕舞い込んでいた首輪を取り出す。

 獰猛な大型犬に嵌めるような、見るからに頑丈そうで無骨な黒革の首輪。

 その側面にはシルバーの装飾で〝SEX SLAVE性奴隷〟の文字──。

 女はそれを手慣れた様子で愛理の白く細い首に嵌め、リング状の金具にチェーンを掛けた。

 「さぁ愛理……アンタの本性を見せてみな」

 ジャラ……

 チェーンを強く握り返した女の目が、紫色のヴェネチアンマスクの下で妖しく笑う。

 一つの首輪が、これからの主従関係を決定的なものとした。



 朝6時──。

 昨夜から降り続いた雨は日の出前に止み、冬空を分厚く覆っていた雨雲の合間からは、温もりを含んだ陽光が射し込んでいた。

 朝日に照らされた湾岸沿いのタワーマンションの最上階。

 ケイと恭子、2人は眠れない夜を過ごした。

 消えた愛理の行方と、連れ去った者の正体……そしてその理由。

 愛理という1人の女の加入により、絶対女王たるARISAを核心としたこの巨大なレズビアンサークルが、決して磐石な一枚岩ではないというという事が明らかになった。

 「週末のEl Doradoエルドラードまでには帰ってくるって、ARISAさんは言うけど……」

 恭子が独り言のように呟く。

 「それまでに愛理が無事である保証なんて無い。悠長に待つなんてできないよ」

 呟くその声は小さいが、確かな〝怒り〟が込められていた。

 愛理の存在を意のままにしたい者。愛理の活躍を快く思わない者。

 恭子の脳裏には〝たった1人〟しか浮かばなかった。

 「やっぱり史織さんに会いに行く。たとえそれで私の立場が危うくなっても、こんな横暴は許すことができない……!」

 恭子は握った拳をソファに打ち付ける。

 「恭子……落ち着いてよ」

 ケイは苛立つ恭子をなだめるが、ケイ自身も史織の関与を第一に疑っている事は同じであった。

 ARISAに反旗を翻した史織は、おそらくARISAのである愛理を利用して揺さぶりをかけるつもりなのだ。
 
 サークル内での史織は人事とその管理権限を持つ、ある意味ではARISA以上に強力な「実力者」である。
 そんな彼女に、賛同する者や協力者が他にいても不思議はない。

 史織とて、勝てぬ博打を打つ程に愚かではないであろう。

 《ピコン》

 その時、ケイのスマホにメッセージが届く。

 すぐさま画面に目をやったケイは、驚いたように目を見開いた。

 「ARISAからだ……」

 「えっ…?」

 ケイは無言のまま本文に目を通すと、何かを決意したように小さく頷くとおもむろに立ち上がった。

 「恭子、ARISAの滞在するホテルに行こう。一緒に、史織さんもいる」

 「……!」



 パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎

 「ほらッ❤︎動けッ❤︎もっと下品に腰ふれッ❤︎」

 「ひぎッ❤︎おゥッ❤︎ほォうッ❤︎んぉぉぉッ❤︎」

 愛理は長い黒髪を振り乱しながら、巨体な女の丸々とした太鼓腹の上で、上下に激しくスクワットする。

 腕のように太く赤黒いペニスで無理矢理に肉体を繋がれて、愛理の小さな身体が沈み込むたびメリメリと陰裂を押し拡げながら、深々と〝オンナの最深部〟を突き上げる。

 (太いッ❤︎太くてッ❤︎オマンコ裂けるッ❤︎)

 グチュッ❤︎グポッ❤︎ブリュッ❤︎ブチュッ❤︎

 ペニスが抜き挿しされるたびに水っぽい卑猥な音を立て、白く泡立った愛液がネットリと糸を引いてマットに垂れ落ちる。

 「あァッ❤︎イッ……イクッ❤︎イクぅ……あッ!?」

 絶頂を迎える刹那、嵌められた首輪のチェーンを強く引っ張られて動きを制御されてしまう。

 「うぐッ!?……くぅン……❤︎」

 「奴隷風情がご主人様より先にイこうとするなんて……マナーもろくに知らないマゾ豚が」

 ドンッ

 「あうッ!?」

 いきなり下から突き飛ばされた愛理の身体は、女の腹上からもんどり打って背後に転がり落ちた。

 「愛理、お前は単なる性奴隷なんだよ。チンポに媚びを売って、快楽のを貰うだけのセックス乞食なんだ。その自覚をもってご奉仕しな!」

 「ひッ……」

 女は仰向けに倒れた愛理の前髪を掴み、恫喝するように愛理の向かって罵倒を浴びせると、そのまま間髪入れずに愛理の下半身を力任せに引き上げる。

 「きゃッ!イヤぁッ!」

 後転する勢いで頭の横にまで両脚を投げ出した愛理は、愛液でとろけきった秘部を天井に向かって晒された。

 「アッハッハ!恥ずかしいマゾにお似合いの格好じゃないか!マンコもケツ穴も丸見えだよ!」

 「離してッ!こんなのイヤッ!」

 いわゆる「まんぐり返し」で体勢を固められた愛理は、抵抗すらできずにただ羞恥に泣き叫ぶことしかできない。

 そんな抗議を無視して、女は間髪入れずに愛理の剥き出しの蜜壷に亀頭をあてがうと、再び無慈悲にペニスを挿入してゆく。

 ズプッ……❤︎ズリュ……❤︎

 「おぐッ……んォォッ❤︎太ぉぉぉ❤︎」

 「ちゃんと見ておきな、あんたのチビマンコに……ご主人様のぶっといチンポが全部挿入はいるトコ……❤︎」

 女の巨体に相応すぎるパワフルなペニスが、愛理の膣壁を掻き分けながら突き進む。

 その〝侵略〟の光景を、愛理は眼前にまざまざと見せつけられる。

 (勝てない……何もできない……)

 何度か試みた抵抗も、女の桁外れの体躯と残酷な加虐性の前ではまるで意味を為さなかった。

 疲労感、恐怖心、そして絶望。

 だが、それでも抱かれたいと求めてしまう、〝マゾの本性〟──。

 「今度勝手にイキそうになったら……膣内なか射精してやるから覚悟しな❤︎」

 ズンッ❤︎

 「ほォッ!?❤︎んぁぁォッ!!❤︎」

 女の巨体が、全体重が、愛理の小さく華奢な身体に浴びせられる。

 骨格がきしむ。肺が潰されて呼吸もままならない。

 愛理の心は折れかけていた。



 昇り始めた朝日の陽光に照らされたシティホテルの玄関に、1台のタクシーが停まる。

 その後部座席から、ケイと恭子は降り立った。

 2人の表情からは焦りとも期待とも付かない、何かに急かされるような様子がうかがえる。

 「史織さんも一緒にいる……って、愛理の居場所を聞き出せるってこと!?」

 吹き抜けの広々としたロビーを一直線に突っ切り、足早にエレベーターホールへと向かいながら恭子が息を弾ませてケイに問う。

 「それは分からない。でも、ARISAと史織さんが一緒にいるってことは恐らく……」

 ケイは真っ直ぐ前を向いたまま、恭子の言葉に小さく頷いて返す。

 愛理の行方を知るであろう……いや、ともすれば失踪に関わっている張本人かもしれない史織本人がいるならば話は一気に解決へと進む可能性が高い。

 何から問いただそうか?どう問い詰めようか?

 焦りや怒り、もどかしさ……。

 エレベーターの中の2人は会話もせず、ただ階を示す液晶画面の数字を無言で見上げていた。



 冷たいコンクリートの床に雑に投げ棄てられた無数のコンドーム。

 そのどれもが水風船のようにぷっくりと膨れ、の多さを主張している。

 「ふーッ❤︎ふーッ❤︎……あッ❤︎またッ❤︎またイクぅンッ❤︎」

 「ぅッ……❤︎ぅぅン……❤︎」

 ビュルッ❤︎ピュッ❤︎プピュッ❤︎

 ショートカットで細身の女が、愛理の膣内なかで身を震わせながら2度目の絶頂を迎えた。

 「最ッ高……❤︎レズマゾ奴隷の名に恥じないスーパー名器だね、可愛い可愛い❤︎」

 女は四つん這いに組み伏せた愛理を背後から抱えながら、ねぎらうように頭を撫でて頬に何度もキスをする。

 「ほらッ、休んでんじゃねーよ。今度はコッチの咥えろ❤︎」

 「はぁッ、あッ、むぐッ……!?」

 前方からは茶髪ロングヘアに色黒なギャル風の女が、項垂うなだれる愛理の髪を掴んで無理矢理にペニスを愛理の口内に捩じ込む。

 愛理は言われるがままに怒張した汗臭いペニスを頬張り、懸命に口淫奉仕する。

 ジュルッ……クポッ❤︎チュパッ❤︎ズルル……❤︎

 「おぉ……❤︎コイツ、舌使いヤバ……❤︎」

 「でしょー?ね、愛理ちゃんは進んでおクチ奉仕しちゃう真正マゾだもんねー?」

 思わず声を漏らすギャル女と、立て続けに3度目の〝ゴム本番〟を始めるショートカットの女。

 リーダー格の巨体女は散々に愛理の肉体と精神を甚振いたぶり尽くしたあと、事後の裁量をこの女達に任せてこの場から姿を消した。

 「あッ❤︎ヤバッ❤︎ヤバイクッ❤︎」

 「えー!?フェラでイカされんの!?早すぎ!チョー早漏じゃん!❤︎」

 相手が変われど、愛理の置かれた立場は変わらない。女達の無邪気で残酷な性欲の捌け口として粗雑に扱われる〝便利な共有ダッチワイフ〟だ。

 「イクぅぅッ❤︎❤︎❤︎」

 ブビューッ❤︎ビュルッ❤︎

 「!?……ぶふッ……ごぼ……」

 熱く生臭い、強烈な射精が愛理の喉奥に射出された。

 だが、もはや愛理に抵抗の意思はなく、この地獄のような輪姦まわしの永続にひたすら身を委ねながら、ただ時間が過ぎるのを待っていた。

 「おォう……❤︎スッゲェ出る……❤︎」

 ギャル女は愛理の頭を自らの下腹部に押さえ付けたまま、身を震わせながら深い射精の余韻に浸る。

 「︎ほら、全部飲め❤︎一滴でもザーメンこぼしたら許さねー❤︎」

 「……!!」

 ズルルル……コクンッ❤︎ゴキュッ……❤︎

 愛理はギャル女の命令通り、口内に排出されたドロドロの粘液を、喉を鳴らして呑み下す。

 臓腑ぞうふに落ちる凄まじい臭気と、量と、粘度の〝他人の子種たね〟──。

 若い女の性欲が生み出す繁殖力の高い精液の味に、愛理の中の〝オンナ〟が無意識に媚びてしまう。

 そんな僅かな変化を、女たちは決して見逃さなかった。

 「おマンコちゃん腰動いてるよ?おチンポ咥えてムラムラしちゃったの?いやん❤︎ホントにスケベ豚なんだからァン❤︎」

 スパンパンパンパンパンパンッ!!❤︎

 「んぐッ!?❤︎あゥッ!❤︎んォォォッ❤︎」

 突如、背後からショートカットの女が激しく腰を振る。
 薄っすらと割れた腹筋と、四肢に浮き出た滑らかな筋肉の隆起が、まるでネコ科動物のようにしなやかに、力強く動く。

 不意を突かれた愛理が思わず叫ぶと、咥えたギャル女のペニスを吐き出して口の端からは飲み切れなかった精液が噴き出た。

 「おっ、ご主人様の貴重なザーメンこぼしたなマゾ愛理❤︎命令違反でイラマ続行な❤︎ちゃんとできるまで終わんねーから❤︎」

 「待っ……んぶッ!?ん~~……ッ!!」

 果てのないMaster&Slave主人と奴隷の戯れ……。

 いつしかは意識を失った。



 「来たわね、入って」

 客室のインターホン越しにARISAの声が聞こえると、数秒後にドアロックが解除される音がした。

 ケイがドアノブを回し、室内を確認するように目線を左右に動かすと、奥のソファにはARISAの横顔が見える。

 「失礼します……」
 
 ケイの背後から恭子が身を乗り出す。一刻も早く、事の真相を知りたかった。

 「……!」

 2人が室内に導かれると、対面したソファにはサークルの〝ツートップ〟が座り、共に視線をこちらに向けていた。

 ARISAと、史織──。

 「座りなさい」

 ARISAが着席を促すと、ケイと恭子はそれぞれソファの端に腰を下ろす。

 ひとつの部屋にサークルの主要メンバーが4人。定期的に行われるサークルの運用会議の場では馴染みの顔ぶれだ。

 だが、今そこに流れる長い沈黙は「サークルの現状」をまざまざと浮かび上がらせていた。

 「……史織さん」

 口火を切ったのは恭子だった。

 矢も盾もたまらずにケイと飛び出してきた恭子だが、場の雰囲気に飲まれて想いを口に出せずにいた。

 だが、限界だ。

 今こうしている間にも、愛理の身に危機が訪れていたとしたら……。

 「単刀直入に聞きます。昨夜の出来事はあなたが仕組んだことですか?それと、愛理の行方を知ってますか?」

 恭子は史織を見つめたまま返答を待つ。

 史織は2人が入室する前から腕組みしたまま憮然ぶぜんとした表情で座っていたが、普段とは異なる薄化粧の顔を恭子に向けると、ひと言答えた。

 「昨夜の事はARISAちゃんから聞いたわ。それと愛理ちゃんの事も……」

 「?じゃあ知らなかったって事ですか?DEEP LOVERディープラヴァーの運営も、会員の個人情報管理も、史織さんの管轄ですよね?」

 恭子が語気を強める。恭子はこの事件の首謀者を史織だと確信しているし、彼女が何らかの理由をつけてシラを切る事も予想していた。

 だが、ここにはARISAもケイもいる。彼女に向けられた容疑に対して知らぬ素振りを決め込むには多勢に無勢だ。必要とあらば、恭子は力付くにでも史織にを吐かせるつもりだった。

 「ごめんなさい……確かに恭子ちゃんの言う通り、今回のことは私の監督責任よ。何も言い訳するつもりは無いわ」

 神妙な面持ちで恭子に詫びる史織。

 だが、そのしおらしい態度が余計に恭子を苛立たせる。

 「謝ってほしいんじゃないッ、愛理は何処にいるのか聞いてるんですッ!!」

 恭子が怒鳴る。真っ直ぐな敵意の目で史織を刺す。

 史織は少し眉間に皺を寄せると、それでも再び小さく「ごめんなさい」とだけ言って目線を伏した。

 「恭子、落ち着いて」

 ケイが恭子の背中をさすりながらなだめる。
 恭子は鼻で深く息を吐き、ソファに座り直した。

 やり取りを終始無言で見ていたARISAが、落ち着きを取り戻した恭子の様子を見てようやく口を開いた。

 だが、その言葉に恭子は耳を疑った。

 「恭子、ケイ……史織は本当に何も知らないわ。残念だけど……」

 「……え?」



 凍てつくような朝の空気が、濡れた身体を芯から冷やす。

 小さなりガラスの窓から弱い日差しが差し込み、部屋の隅でカタカタと震えて横たわる惨めな女を照らし出していた。

 「ハァッ、ハァッ、寒い……」

 真っ白な吐息が不規則に震える唇から漏れる。
 厚手の毛布に頭まで包まり、愛理の顔はすっかり青ざめていた。

 奴隷にようやく訪れた、束の間の安息。

 だが、1月の山間やまあいの寒冷が、睡眠すらも許さなかった。

 心身ともに疲労困憊の愛理だが、眠りに就こうとするたびに猛烈な寒さが意識を覚醒させた。

 (死ぬ……イヤ……)

 ガチャ……キィ……

 「……?」

 ふと、部屋の鍵を開ける音がする。だが今の愛理には、振り向いて確認する程の余力すら残っていなかった。

 「ハァッ……だ、誰……?」

 背後に近付くヒールの音に、消え入るような声で呼び掛ける。

 「……ふっ、生きてるんだ?つまんないの」

 「……?」

 声の主は横たわる愛理の真後ろで立ち止まる。愛理は何とか身体を仰向けにし、細めた目で声の方向を睨んだ。

 「……!?」

 そこにいた人物。愛理の記憶にはっきりと刻まれた〝因縁の女〟の姿……。

 「……夏……樹……?」

 愛理の鼓動が一気に加速する。

 あの日の記憶が、まるで数時間前の出来事のように恐怖となって愛理を襲う。

 「無様な格好かっこ……マゾそのもの、お似合いの格好だけどね」

 そう言いながら、夏樹は愛理の首輪のリードに手を伸ばす。
 不吉な予感に、愛理は早くもさめざめと落涙しながら首を振る。

 「イヤぁぁ……もうイヤぁぁぁ……」

 「ふふっ、その言葉が聞きたかったの。でもじゃダメ。アンタみたいな恥知らずの勘違い女は、態度で示してもらうから……」

 夏樹は力任せにリードを強く引っ張る。首を締め付けられる苦痛に、愛理も思わず立ち上がる。

 「今日がアンタの……❤︎ほら、ついてきなッ!」

 「うぐッ……!?」

 夏樹に連行される愛理。建物の玄関先には、ここに来た時と同様に黒いミニバンが待ち構えていた。

 突如として現れた夏樹と、「おしまい」という言葉の意味……。

 愛理を乗せた車は、わだちだけを残して街の方向へと消えていった。
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