愛理の場合 〜レズビアンサークルの掟〜

本庄こだま

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7.檻に眠る愛奴(ペット)

愛奴と暴君



 ワァァァァァァ!!!!

 決着の時へと突き進む女たちのステージ。

 ステージ横に設置されたタイマーが、刻一刻と時間をすり減らしてゆく。

 だが、2人の女はそんな事は気にも止めずに、互いの身体を一心不乱に貪り合う。

 欲情しきった女の肉体がかもす、淫猥で甘美な味とかおり……。

 脳幹まで沁み渡るようなその強烈なの快楽に酔い痴れながら、愛理と夏樹は今まさに〝最終局面〟を迎えていた。

 パンッ❤︎……ブチュッ❤︎……パンッ❤︎

 「ん"ォォッ❤︎ひぐッ❤︎うォォ……❤︎」

 夏樹は愛理の胴体に必死にしがみ付きながら、ゆっくりと、しかし力強く腰を打ちつける。

 ペニスを受け入れた愛理の陰裂からは、夏樹が腰を動かすたびに白濁したが泡混じりにドロリとしたたり落ちた。

 「ほォうッ!❤︎……どッ、どうしたのよッ❤︎それが本気?……おォッ❤︎……ヘコヘコと情けないッ……ふゥッ❤︎……腰つきね……❤︎」

 「うッ……うるさいッ!❤︎キチガイみたいにスケベな声あげてるクセに!奥ほじくる度に……あァッ❤︎……しっ、白目剥いてんの……バレてんだよッ❤︎」

 愛理は夏樹を挑発し、夏樹もまたそれに応じて愛理をなじる。

 憎しみの言葉が、いつしか互いをたかめ合う〝精神の愛撫ペッティング〟となって性的興奮に変貌してゆく。

 無防備に曝け出した裸の心と肉体、その2つで愛理と夏樹はどこまでも互いを求める。



 ギュウッ❤︎

 「ふァァッ!?❤︎ダメぇぇッ❤︎」

 一瞬の隙を突いて、愛理が下から夏樹の両乳首をつねりあげた。

 不意の快感に夏樹は思わず動きを止め、首を反らして天を仰ぐ。

 「気持ちイイでしょ❤︎夏樹の乳首……レオタードの上からでもビンッビンなのが丸わかりよッ❤︎責めてほしくておねだりしてるみたいッ❤︎」

 「ふざッ……❤︎誰がッ……くゥゥッ❤︎」

 摘んだ夏樹の乳首を指の腹でクリクリとリズミカルにねてやると、夏樹は表情を歪ませて愛理の胸に力なく顔をうずめる。

 「ふふッ❤︎乳首いじられただけで随分可愛くなっちゃったわね……そろそろイキなさ……ッ!?❤︎」

 ギュウゥ……ッ❤︎

 「ひァァッ!?❤︎」

 今度は愛理が叫ぶ。

 夏樹が打って出た反撃の一手は、奇しくも愛理と同じ「乳首責め」だった。

 ピンと上を向く愛理の両乳首を、夏樹は指先で乱暴に引っ張り上げた。

 「あ"ィッ!?❤︎いッ、痛いッ❤︎取れちゃうッ❤︎」

 「ハハッ❤︎痛いのが気持ちいいんでしょ?❤︎引っ張るとマンコがキュウキュウ締め付けてくんだけど❤︎」

 「くぅぅ……このッ!❤︎」

 ギリッ……!

 「はァァッ!?❤︎」

 負けじと愛理も夏樹の乳首をつねりあげる。

 夏樹が堪らず腰を引くと、愛理は逃すまいと夏樹の細い腰に両脚を絡めて密着した。

 「はァッ❤︎逃がさないわよ……早く射精しちゃいなさい……あンッ!❤︎」

 「誰が逃げるッ……かよ……あッ❤︎とっとと……イキ顔晒せ……ッ❤︎」

 「「ん"ン"ッ❤︎❤︎」」

 チュゥゥゥッ❤︎レロッ❤︎ジュルルル……❤︎

 両者は額をくっ付けて睨み合いながら不敵に笑い合うと、再び唇を重ねて舌を絡めた。



 「はッ❤︎はッ❤︎はッ❤︎……うゥンッ❤︎」

 (くッ……夏樹、粘るわね……とっくに射精してもおかしくないハズなのに……!)

 愛理は、予想を上回る夏樹の耐久力にやや焦りを感じ始めていた。

 膣内に感じるペニスの膨張は、いつ射精してもおかしくない程にパンパンに張り詰めている。

 それでもなお、夏樹はゆっくりとではあるが腰をピストンさせながら、愛理の膣内の深い所をコンコンと攻め続けていた。

 愛理も余裕があるわけではない。

 長らく挿入されている夏樹のペニスは、完全にほぐされた愛理の膣肉にガッチリと食い込み、僅かな振動を与えられる度に身震いするような快感が愛理の全身を駆け巡った。

 (受け身でいたら先にイカされてしまう……責めに出るなら今しかない……!)

 「ふッ❤︎うゥッ❤︎……やァァッ!!」

 「うッ!?」

 (この女……まだそんな力が……ッ)

 覇気を込めた雄叫びとともに愛理は夏樹の上半身を両手で押し戻すと、腹筋の力を用いて上体を起こす。

 (いけるッ!このまま上を奪って……責めてやるッ!!)

 正常位のまま夏樹に責めさせる状態が危険と判断した愛理は、対位を騎乗位に移行することでセックスの主導権を握ろうとしていた。

 だが、夏樹の取った行動は予想外のものだった。

 「ふんッ!!」

 グイッ!

 愛理に押された夏樹は自ら後方に倒れ込むと、愛理が起き上がる勢いをそのまま利用してブリッジの姿勢で愛理を跳ね上げた。

 「なっ!?」

 ダァンッ

 顔面から突っ伏しそうになる寸前、愛理は両手を着いて持ち堪える。

 しかし、狙いとは異なる四つん這いの姿勢は、これこそ夏樹の〝本領〟であった。

 「ラストスパート……覚悟しなッ!!」



 ゴンッ!❤︎ゴンゴンゴンゴンゴンッ!!❤︎❤︎❤︎

 「やッ……うほォォッ!?!?❤︎」

 愛理の腹の下に密着した夏樹は、激しい腰の動きで愛理の子宮口を素早く〝殴打ノック〟し始めた。

 「ほらッ❤︎オラオラオラッ❤︎突き殺してやるよッ❤︎マゾメス愛理の雑魚マンコッ!!❤︎❤︎❤︎」

 怒涛のように直線的な夏樹の腰振りが、強烈かつ的確に愛理のとろけた恥肉に容赦なく突き立てられる。

 パンパンパンッ❤︎❤︎パンパンパンパンパンッ❤︎❤︎❤︎

 「まッ❤︎やめッ❤︎あ"ッ❤︎ひッ❤︎お"ォッ❤︎ほッ❤︎ほッ❤︎ほッ❤︎ほォォンッ❤︎❤︎」

 (ウソッ❤︎ヤバいッ❤︎下から突かれるのがッ❤︎こんな気持ちイイなんてッ❤︎❤︎)

 高速ピストンの責め苦から逃れるように、腰を前後左右へとくねらせる愛理。

 だが夏樹は愛理の腰にしっかりと両腕を回して密着し、愛理の〝快楽からの逃亡〟を許さない。

 パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎

 ステージに響く、肉と肉が打ちつけ合う乾いた音。

 ピシャッ❤︎ピシャッ❤︎ピシャッ❤︎ピシャッ❤︎

 やがてそれは、水気を帯びた粘着質な音へと変わってゆく。

 夏樹の繰り出す高速ピストンは相当な運動量らしく、夏樹は全身に玉のような汗を浮かばせて、火照った肌がライトにギラギラと照らし出される。

 「ふゥゥッ❤︎うォォォッ❤︎んはァァァァッ!!❤︎❤︎」

 「あ"ッ❤︎あ"ッ❤︎ほォ"!?❤︎子宮ゥゥゥゥッ❤︎❤︎❤︎」

 一切の贅肉も無い、細く筋張った、しなやかな褐色の肢体。

 〝黒い弾丸〟が、最後の最後に牙を剥いた。



 『残り時間、1分ッ!!』

 狂宴の終わりを予告するアナウンスの叫び声も、今の2人には聞こえない。

 「うッ❤︎愛理ィ……」

 激しい腰の打ちつけを止めることなく、夏樹が愛理に語りかけてきた。

 「ひッ❤︎ひィィィッ❤︎❤︎」

 だが、防戦一方の愛理は快楽に翻弄ほんろうされるがまま、まともに応じることすら敵わない。

 「はッ❤︎はッ❤︎……アンタさっき……アタシに〝愛を知らない〟って言ったよね……?」

 「はッ❤︎うッ❤︎ぅ……?」

 「〝愛しあうセックスができない〟……〝愛を知らないなら童貞と同じ〟って……フッ、確かにそうかもね❤︎」

 (夏樹……?な、何を……)

 前後不覚の快感の中で、滔々とうとうと語る夏樹の言葉だけが愛理の耳にじっとりと響く。

 「この勝負は……あぅッ❤︎ア……アンタの勝ちでいいッ❤︎でも……❤︎最後に……❤︎」

 (??……最……あッ)

 ゾクッ……❤︎❤︎❤︎

 (あッ、ダメ……来るッ……!!❤︎)

 夏樹の目を見た愛理の身体が総毛立つ。

 身動きひとつ敵わない肉体が、〝オンナの危機〟を直感して一気に鼓動が強まる。

 (夏樹……本気だ……本気で私を……つもり……ッ❤︎)

 オンナの身体が、〝愛〟に応える為の準備を始める。

 プレイではない、愛し合う2人だけに許された交尾セックス……。

 (これダメッ❤︎耐えなきゃッ❤︎耐えなきゃダメッ❤︎)

 絶対に開けてはならない扉を、夏樹が〝愛〟でこじ開けてゆく。

 「最後にッ❤︎私の〝本気の愛〟で死ねッ!❤︎❤︎❤︎」



 ドチュッ!❤︎ブチュッ!❤︎ドチュッ!❤︎ブチュッ!❤︎

 夏樹のペニスが愛理の子宮口を突き崩す。

 ノーガードに打たれ続ける〝オンナの砦〟が、愛理の意識とは裏腹に、受精を求めてキュウキュウと悲鳴をあげる。

 「愛理、アンタの言う通り……アタシは愛のあるセックスなんて知らなかった。目についた女を手当たり次第に抱いて、好きなだけ手荒にパコって、名前なんてほとんど覚えちゃいない……それでセックスを知り尽くした気になってた」

 「う"ッ!❤︎はぁ"ッ!❤︎……そッ、それがあなたの本性でしょ……あッ❤︎哀れな女ッ❤︎お"ォォッ❤︎」
 
 目の前が暗転しては、またグラグラと夏樹の顔に焦点が合う。
 愛理は意識を保つのがやっとの中で、精一杯の皮肉を夏樹にぶつける。

 「そうッ❤︎だから愛理……アンタには特別ッ❤︎アタシのをアゲルわッ❤︎一生記憶に残るッ❤︎アタシの本気の愛ッ❤︎❤︎❤︎」

 「おッ……❤︎ダメッ……❤︎ダメぇぇぇぇッ!!❤︎❤︎❤︎」

 愛理の膣内で、夏樹のペニスがさらに膨張する。パンパンに張り詰めた亀頭の鈴口は、ピッタリと愛理の子宮口にキスをしていた。

 「オラッ❤︎受け取れ愛理ッ❤︎アタシの本気の愛でッ❤︎……はッ❤︎おッ❤︎おォイクッ❤︎イクイクイクイクイクッ❤︎❤︎❤︎」
 
 (来るッ❤︎来ちゃうッ❤︎絶対に耐えなきゃヤバイッ❤︎❤︎❤︎)

 「ほォォ……んむッ!?❤︎❤︎」

 チュウゥゥゥ……❤︎❤︎❤︎

 突如、夏樹は愛理の首に手を回すと、力強く引き寄せて唇を重ねた。

 不意に絡まる熱い舌に、限界を超えて張り詰めていた愛理の理性は、ついに消し飛んだ。

 (あッ、ダメだイクッ)

 「おぉイクぅぅぅッ!!❤︎❤︎❤︎」

 ドピュッ……❤︎❤︎❤︎

 ブピュッ!❤︎❤︎ドプッ!❤︎❤︎ブビュゥゥッ!❤︎❤︎❤︎……

 とろけきった愛理の媚肉の中を、堰を切ったように流し込まれる淫汁の子種。

 愛理の膣内で、夏樹のペニスがぜた。



 「ふッ!?……❤︎ぉ……?❤︎❤︎」

 子宮で感じる夏樹の愛に、愛理の意識は刈り取られた。

 射精の瞬間、ポーンと空中に投げ飛ばされたような、恍惚とした浮遊感と解放感。

 そしてその後に訪れる、急転直下の恐怖と絶望感。

 頭から真っ逆さまに奈落へと堕ちてゆく、背徳のエクシタシー。

 「ぁ……ぁ……ぃ……ッ❤︎❤︎❤︎」

 骨の芯から毛穴の一つひとつ、肉体の全てが高純度の麻薬のような快楽にどっぷりと沈んでゆく。

 いっそ、気を遣ってしまった方がどれほど楽だろう。快楽に身を委ねて、夏樹の愛に服従してしまえばどれほどの悦びであろう。

 そんな矜持をへし折る夏樹の〝本気の愛〟に、真正面から直撃した愛理は理性と快楽の狭間で一心不乱に悶え狂う。

 その時……。

 ゴォォォンッ!ゴォォォン……ッ!!

 『そこまでッ!!』

 空気を震わす銅鑼どらの音と、アナウンサーの叫び声。

 (おッ……終わっ……❤︎)

 試合終了の声を聞き、愛理は極限の緊張から解き放たれる。

 そこに待っていたのは、ダム決壊にも似た怒涛の性的絶頂オルガズムだった。

 「あッ❤︎おッ❤︎あーッダメダメ❤︎イクッ❤︎子宮ぅぅッ❤︎おッ❤︎おォッ❤︎イクイクイクイクッ❤︎あァァァヤバイヤバイイグイグイグイグイグイグゥゥゥゥ─────ッッ❤︎❤︎❤︎❤︎」

 プシッ!❤︎プシャァァァァァァ……❤︎

 銅鑼の音を凌ぐ獣のような叫びを挙げた愛理は、しばしフラフラと焦点の合わない白痴のような顔で辺りを見渡すと、そのまま前のめりに倒れ込んだ。



 ザワザワ……ザワザワ……

 試合終了と共に、ステージ上で伸びたままの愛理と夏樹。

 「え……どっちが勝ったの?」

 「2人とも動かないんだけど……」

 見守る観客は口々に、勝敗の行方と両者の身を案ずる声をあげる。

 凄まじい死闘。女と女、魂のセックス。

 激闘を制した勝者の名を告げるべく、アナウンサーが降り立つ。

 同時に、観客の間を縫うように女がステージに駆け寄る。

 周りよりも頭ひとつ、背丈の抜き出た女。

 「愛理ッ!!夏樹ッ!!」

 恭子はステージ上で倒れたままの2人に呼びかける。

 「うッ……ん……」

 先に動いたのは夏樹だった。身体の上に覆い被さる愛理を押し退けて、ムクリと状態を起き上がらせた。

 「夏樹、大丈夫?」

 恭子が再び呼びかけると、夏樹は小さく手を降って無事をアピールする。

 「ア……アタシは大丈夫、愛理が上にいたから動けなかっただけ……」

 だが、押し退けられた愛理は、横たわったまま未だに動く気配がない。

 ふと夏樹が横を向くと、そこにはアナウンサーが立っていた。

 『只今の勝負……終了間際、夏樹の射精は銅鑼の2秒前……愛理の絶頂は銅鑼の1秒後……』

 アナウンサーは高々と挙げた右手を振り下ろし、マイクを通じて勝者の名を叫んだ。

 『よって勝者……愛理ッ!!』

 オオオォォォォォォォォォッ!!!!

 告げられた「愛理」の名に、フロア内は驚嘆にも似た観客の声が湧き上がる。

 「愛理が勝った!?」

 「3連勝!?ストレート昇格じゃん!」

 興奮冷めやらぬフロアの真ん中で、勝者は未だに起き上がらない。

 「愛理……愛理!!」

 ステージに駆け上がった恭子、対戦相手の夏樹が愛理の名を呼ぶ。

 「ハァッ……ハァッ……」

 愛理は浅い呼吸を繰り返すだけで、薄っすらと開けたまぶたは白眼を剥いていた。

 唇からは血の気が失せて、身体は小刻みに震えている。

 「……とりあえず、控室へ運ぼう」

 恭子は愛理の小さな身体を担ぎ上げ、ステージを後にする。

 「愛理ーッ!最高の試合ありがとーッ!」

 「次のシーズンも頑張ってーッ!」

 その後ろ姿にフロアからは万雷の拍手が送られ、愛理への賞賛と労いの言葉が飛び交う。

 だが、栄冠の花道で勝者がその声に応じることはなかった……。



 控え室のソファで愛理は厚手のバスローブに包まれ横たわっていた。

 唇を仕切りに動かしては、虚ろな目で何かを譫言うわごとのように呟いている。

 「……病院に連れて行った方がいいかな」

 「大丈夫でしょ、体温も血圧も正常だし様子を見ようよ」

 「え……大丈夫かな?ケイって意外とテキトーなトコあるから」

 「大丈夫大丈夫」

 控え室の恭子とケイは愛理の容体を気にしつつも、どこか真剣味の欠ける、間の抜けた会話をしていた。

 「こんなこと、ハードなセックスの後にはよくある事でしょ?過呼吸になったり、筋肉が痙攣けいれんしたり、気を失ったり……少し休ませれば落ち着くわ」

 ケイは同じような症状を何度も見てきたのだろう。まるで落ち着き払った様子で、愛理の隣に座って煙草に火を着ける。

 「ならいいけどさ……ヨダレ垂らしながら白眼剥いて……ブサイクな愛理」

 ガチャッ

 その時、控え室のドアが開き1人の女が入ってきた。

 「あ……」

 その女の纏う空気に、部屋の中はキンと張り詰めた緊張感に包まれる。

 「お疲れさま、2人とも。それに……愛理❤︎」

 「ARISAさん」

 2人が席を立ち挨拶をしようとするのを手のひらで制し、ARISAは真っ直ぐにソファに寝そべる愛理に向かう。

 「激しい戦いだったわね……でも、この娘は勝った」

 ARISAは愛理の震える唇に指を触れる。

 「ぉ……ぅぅ……」

 愛理が反応する。舌を出して、ARISAの指を舐めるような仕草を見せる。

 「ふふっ、そういうことね……根っからの淫乱❤︎」

 ARISAは微笑を浮かべてそう言うと、愛理の身体を抱き寄せて唇を重ねた。

 ジュルッ❤︎ジュルル……❤︎

 その瞬間、愛理の身体が跳ねるように仰け反ると、ARISAの身体を力強く抱き返してキスで応じた。

 「んうッ❤︎ふゥンッ❤︎ジュルッ❤︎ぷはァッ❤︎あァッ❤︎」

 「愛理!」
 
 虚ろだった愛理の瞳は大きく見開かれ、ARISAの唇を無我夢中で吸い返す。

 「うゥン❤︎ふふっ……アハハッ!まだまだみたいね、愛理!」

 「はァッ❤︎シてッ❤︎おマンコしてッ❤︎イキたいイキたいイキたいィィィ❤︎❤︎」

10

 先程までの惚けた顔が一転、ギラギラと貪欲にセックスを求める色狂いの顔。

 だがARISAはそれに応じず、愛理の頬を平手で打つ。

 ピシャッ!

 「あうッ!?❤︎」

 「おあずけよ、可愛い愛理……❤︎」

 呆然と見つめる愛理の顔を、今度はクシャクシャに撫でてやるARISA。

 「ARISAさん…愛理は……?」

 「分からない?恭子、まだまだ甘いわね」

 そう言いながらARISAは、愛理のバスローブの襟に手を差し込み、右の乳首を思い切りつねった。

 「ひィッ!?❤︎いァァッ……くぅンッ❤︎❤︎」

 「この娘はね、El Doradoエルドラードのステージで、自分の殻を破ったの。これからもっと、もっと狂いたいのよ……」

 「……ッ」

 ARISAの横顔……その妖艶な笑みの向こう側に、恭子は〝悪魔〟の影を見た気がした。

 「さて、と……みんな、あとで面白いものを見せてあげるわ。愛理の勝利のお祝いにね❤︎」

 ARISAは立ち上がると、着ていたコートの裾を直しながら朗らかな調子でそう伝えた。

 「面白いもの?愛理の試合がメインイベントで、あとは何もないはずだけど?」

 ケイは眉間に皺を寄せてARISAの顔を見上げる。

 「ふふふ、それは見てのお楽しみよ❤︎……じゃ、また後でね」

 ARISAは無邪気な笑いを浮かべながら、足早に控え室を後にした。

 「……恭子、何だと思う?愛理の勝利のお祝いって」

 「さぁ?ARISAさん直々にストリップでもやるのかな……」

 「フッ!そんなワケ……でもARISAだし、無いとは言い切れない……」

 「目立ちたがりだからね、あの人」

 嵐のように現れて立ち去った絶対女王の残り香は、女たちに様々な予感を呼び起こさせていた。

11

 狂乱の宴も佳境に差し迫った午前3時。

 ハプニングバー『DEEP LOVERディープラヴァー』のステージでは珍しい光景が見えていた。

 『皆さま、本日もご来場ありがとうございます!ここで皆さまに当サークル主催、ARISAよりご挨拶がございます!』

 突然のアナウンスに、フロアはどよめきに包まれる。

 「ARISA!?本物!?」

 「来てるの!?ヤバイ初めて見る!!」

 DEEP LOVERの来場客はレズビアンサークルの会員に限定される。
 そこではもちろん主催のARISAを知らない者はいないが、ARISA自身が会員の前に姿を表すことは通常ほとんど無かった。

 つまりこれは異例の事態であり、観客が色めき立つのは極めて当然の反応であった。

 フロアが暗転すると場内の響めきは歓声に変わり、割れんばかりの黄色い声援が天井を突き上げる。

 そして照らされたスポットライトの下には、絶対女王ARISAの姿があった。

 ワァァァァァァァァァァ!!!!

 「ARISAァァァッ!!」

 「可愛いィィッ!ARISAァァァッ!!」

 フロアのあちらこちらで上がる声援に、満面の笑顔で手を振って応える絶対女王。

 背中から尻の割れ目まで大きく開いた紫色のドレスは、もはや「前掛け」と読んだ方が相応しい程の大胆なものだった。

 声援の治まりを待ち、ひと呼吸置いた後に、ARISAはマイク越しに喋り始める。

 「ふふっ、えー……皆さんこんばんはっ!当サークル主催のARISAと申します!いつもお世話になってますっ!」

 ワァァァァァァ!!ワァァァァァァ!!

 〝絶対女王〟の肩書きとはかけ離れた、どこかぎこちない少女のような声色と語り口に、観客らはますます歓声を大きくする。

 「え、ホント可愛いんだけど!!もっと歳上だと思ってた!!」

 「まだ20代半ばでしょ!?それでサークルの頂点だもん、マジのカリスマだよね!!」

 その中でケイだけが1人、呆れたような笑いを浮かべながらステージの上の女王を見ていた。

 「なに可愛い子振ってんだか……絶対ロクなこと企んでないわ」

 沸き立つ自身への歓声に照れた笑いを浮かべながら、ARISAは尚も続ける。

 「えっとー、今日お集まり頂いた皆さんにですねー、ここでお会いできたのも何かの縁ということで……ふふっ、なんと!私から!サプライズショーをご提供致しまーすッ!!❤︎」

 ドワァァァァァァァァァァァッ!!

 ARISAの声に、今宵一番の歓声が上がる。

 フロアを揺るがすような歓声は、地下の階段を抜けて表通りまで響く勢いだ。

 「サプライズショー?」

 ケイが怪訝けげんそうに呟くと、恭子も首を傾げる。

 「愛理の試合が霞んじゃうね、ARISAさんももうちょっと考えてほしかったな……」

 恭子に肩を支えられ、愛理もステージを見つめていた。

 「ARISAさん……何をする気……?」

12

 会場のボルテージは最高潮に達し、「仕掛け人」となったARISAは喜色満面といった風でステージからフロアを見渡す。

 「それじゃー皆さん……あちらをご覧くださいッ!!」

 大仰な立ち振る舞いで女王が指差した方向を、観客らは一斉に振り返る。

 ケイも、恭子も、そして愛理も、次に起こる〝何か〟に対して固唾を飲んで見守っていた。

 ギ……ギィィ……

 フロアの最後方にある扉、普段は彩飾とオブジェの設置で閉ざされている両開きの大きなドアが、重厚な軋みをあげながらゆっくりと開かれる。

 扉の奥の暗闇をスポットライトが照らし出すと、そこには豊満な肉体を持つ全裸の女が立っていた。

 だが、ただの全裸ではない。
 
 視界はアイマスクで閉ざされ、ボールギャグを咬まされた口元からは荒い呼吸のたびに唾液が糸を引いて巨大な胸元に垂れ落ちる。

 首には黒革の首輪を嵌められ、そこからは銀の鎖が2本繋がれていた。

 両手は胴体に巻かれた太いベルトの両脇で固定され、足元は15cm近くはありそうな、爪先立ちがやっとな程の高いヒールを履かされており、彼女が逃亡の機会さえも奪われていることを象徴していた。

 「歩け」

 ジャラ……

 「うッ!?ふぅッ、うぅッ……」

 全裸のボンデージ女の両脇には、艶黒のラバーキャットスーツに身を包み、ヴェネチアンマスクで目元を隠した2人の女が寄り添いながら、2本の鎖を率いて女を誘導してゆく。

 ヒールの為におぼつかない足取りで、ゆっくりとARISAの待つステージへと歩いてゆく女……。

 その異様な出立ちを見た観客は、先程までの大歓声が嘘のように呆気に取られて静まりかえっていた。

 「あの人……誰?」

 「すっごい下品なカラダ……ARISAの飼ってるマゾ豚かしら?」

 「公開調教って感じ?」

 観客は皆、口々にこれから起こるショーを予想する。

 だが、その人物がに気付いたのは、ケイらを始めとしたサークル内部の者たちだけだった。

 「ARISAさん……マジで……?」

 「ええ……があるから怖いのよ。あの女……」

 愛理もまた気付いていたが、その光景を未だ信じることができなかった。

 「ウソ……でも……まさか」

 半ば強引に鎖で引き摺られながら、女がステージに降り立った。

 視界を奪われ、足の自由も制限され、恐怖と集中でかなりの体力を消費したのだろう。全身は汗に濡れてライトにテラテラと輝き、肩や背中からは蒸気のようなモヤが立ち込める。

 「さぁ皆さん!今宵は私からのサプラーイズッ!貪欲なマゾ豚オバさんの、〝公開制裁マッチ〟の始まりでーすッ!!」

 ARISAの言葉と同時に、両脇の女たちがアイマスクとボールギャグに手を掛ける。

 ブチィッ!

 「んぶッ!?くッ……ぶはァッ!!」

 そして、それらをむしり取るように乱暴な手付きでボンデージ女の顔面から奪うと、そこに現れた女の素顔にフロアの観客は一気にどよめいた。

 オオォォォォォォォ……!!

 「絶対女王は、決して臣に〝愛〟を与える善良な仁君なんかじゃない。どこまでも身勝手で、抗う者には残酷な〝罰〟を与える……暴君よ」

 ケイの言葉に、愛理は身を震わせる。

 自らが目指すいただき……。

 このサークルの到達点に待つ女の、真の姿……。

 「こんな……こんなことって……」

 愛理が見つめるステージの上では、暴君ARISAと、全裸の史織が対峙していた──。


(第7章 完)
感想 28

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