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8.月下に微笑(わら)う女

源氏名は、綺羅(きら)。

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 高級ホテルの一室は、眩暈めまいがしそうな程に濃厚な〝雌の芳香〟に満ちていた。

 キングサイズのベッドの上で性交つながる女と女。

 淫臭、というのだろうか──。

 流れ出る汗や体液は熱く火照る肌の温度で蒸発し、それは部屋中に充満したガスのように女たちの理性を麻痺させる。

 パンパンパンパンパンパンパンパンッッ❤︎❤︎

 「ふッ❤︎ふッ❤︎ふッ❤︎ふゥゥッ❤︎」

 「お“ッ❤︎くォォッ❤︎ハァッ❤︎ゔッ❤︎……あ"ァァァッ!?❤︎❤︎」

 肢体が太く、筋肉質で骨太なその女は、下に敷いた華奢な女のに目掛けて何度も何度も手加減なしに腰を叩きつける。

 「おォォッ❤︎あぁイク……❤︎またイクぅ……❤︎❤︎」

 「くッ❤︎お"ッ❤︎お"!?❤︎もッ、もうやめッ……ひぃぃぃッ❤︎❤︎」

 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンッッ❤︎❤︎❤︎
 
 慈悲の懇願も虚しく、責める女は絶頂へ向けて激しく動く。

 「あッ……イグッ❤︎❤︎❤︎」

 ビュルーッ❤︎ビュルッ❤︎ブリュッ❤︎

 「あぐッ!?❤︎❤︎くぅぅ……❤︎」

 長い射精の間、一滴残さず搾り出すようにヒクヒクと下半身を震わせる女。

 その下で、脈打つペニスの振動を肛門括約筋で感じながら、歯を食いしばる女もまた震えていた。

 快感の震えと、屈辱の震え……。

 明暗分かれる2人の震えは、これがSEXよりも強姦レイプに等しいものである事を物語っていた。



 ズルッ……ヌポッ❤︎

 「おふッ……❤︎うわすっご❤︎たっぷり射精したわ❤︎」

 名残り惜しむようにゆっくりと引き抜いたペニスは太くたくましく、装着したコンドームは白濁液で満たされ重たそうにタプンと揺れている。

 女はそれを手荒にペニスから引き剥がすと、うつ伏せに寝たままの女の長い後ろ髪に括り付けた。

 「あはッ❤︎ピンクの〝リボン〟かわいーじゃん❤︎」
 
 髪に結われた4つの使用済みコンドームは、彼女自身の今宵の射精数だ。

 そんな屈辱的すぎる扱いにさえ、虐げられた女はもはや抵抗の声さえ挙げることができず、犯された肛門はぽっかりと拡がってヒクヒクと健気けなげに動くだけだった。

 そのプレイの一部始終を見守り続けた、この空間にいる

 〝絶対女王〟の無邪気な笑みと、氷のように冷たい視線。

 ソファから立ち上がり、ベッドへと近づくと、目下の哀れな女に声を掛けた。

 「どう?私の言う通りにする気になったかしら?❤︎」



 「あ、ARISAッ……ハァッ❤︎ハァッ❤︎ハァッ……❤︎」

 夏樹はうつ伏せになったまま顔も挙げられない程に打ちひしがれ、全身で呼吸をしながらなんとか意識だけは保っている。

 「テメ……覚え……」

 「気絶するんじゃないわよ?あなたの答えを聞くまで、何度でも犯してあげる……」

 ガチャッ

 部屋のドアが開くともう1人、別の女が入ってきた。

 その女は何も言わずに衣服を脱ぎ始め、全裸になるとそのままベッドへと上がる。

 「はい、交代❤︎」

 「4発?随分と頑張っちゃったね❤︎私も負けてらんない❤︎」

 チュッ❤︎ジュル……チュパッ❤︎

 女たちは一言二言の会話を終えると、バトンタッチとばかりに労いのキスをした。

 「じゃーね、あとヨロシク❤︎」

 「さぁ夏樹?今度は私が相手してあげる❤︎」

 「ハァッ❤︎ちょ待……嫌ッ……うァァァァッ!?❤︎」

 ジュプッ❤︎ズルルルル……❤︎

 2人目の女はいきなり夏樹の下腹部に顔を埋めると、極限まで張り詰めて今にもしそうなペニスを、大きな口ですっぽりと咥え込んだ。

 ズルッ❤︎ジュプッ❤︎ジュプッ❤︎ジュプッ❤︎

 「うあァァァァッ!?❤︎おッ❤︎はッ❤︎はげしッ❤︎それ効くゥゥゥッ❤︎❤︎」

 なめらかに繰り出されるフェラチオは、腰が浮いてしまう程に強烈な吸引力でペニスをしごきあげる。

 抗えない射精欲の上昇に、夏樹は暴れるようにベッドの上でのたうつ。

 「ぷはッ❤︎……ふふッ、あの娘ったら自分だけ4発も射精して、夏樹のチンポは放ったらかしだったの?ひどい女……ねぇ?」

 ジュプッ❤︎ジュプッ❤︎ジュプッ❤︎ジュルルルッ❤︎

 「んぉォッ❤︎やめッ❤︎もッ❤︎もう無理ッ❤︎イグゥッ❤︎イ"ッ……グゥッ❤︎❤︎❤︎」

  ボピッ❤︎ブビュッ❤︎ビュルルッ❤︎

 「んッ!?❤︎んふーッ……❤︎ズルルル……❤︎」

 2人目の女がペニスを咥えて僅か1分弱、柔らかな口腔と温かい唾液のぬめり、力強く踊る舌肉の感触の前に、夏樹はあえなく射精した。



 「ぉ“~……❤︎ぅ"ぉ“ッ……❤︎」

 射精の快感と疲労にグッタリと大の字に横たわる夏樹をARISAは冷たく見下ろす。

 「もう一度聞くわ?夏樹、私に協力しなさい。そうすれば、あなたが愛理を勝手に連れ出したコト、水に流してあげるわ……」

 絶え間ない絶頂の連続に、夏樹の肉体と精神は限界に追い込まれていた。

 過呼吸になり、全身を痙攣させても、それでもなお、夏樹は首を縦には振らない。

 「ぃ……ゃ……」

 ARISAは溜め息をひとつ吐くと、気怠けだるそうに頭をポリポリと掻いて苦笑いする。

 「はぁ……〝YES〟とだけ言えば終わる話なのに……バカな女ね」

 そして、きびすを返してドアへ向かい、部屋を出る前に一言だけ言い残した。

 「まだあと控えているわ。夜明けまで犯し続けなさい。夏樹が自ら〝協力する〟と言うまで……ね」

 「はぁーい❤︎」

 女が夏樹にまたがり、深く腰を下ろす。

 「!?待っ……」

 ズプッ……ズププ……❤︎

 「ん“ァ“ッ!?❤︎ほォォォッ❤︎❤︎❤︎」

 (夏樹……あなたには〝毒〟になってもらうわ……必ずね)



 都内某マンションの一室、ここはサークルの本部事務所──。

 人事担当代行を任せられて久しい恭子が、今日も忙しなく書類とノートPCを前に悪戦苦闘していた。

 「いやー……頭パンクしそう。史織さんよくこんなのやってたな。そこは素直に尊敬するよ」

 新たなサークル加入希望者の履歴書管理、面接のスケジュール調整、サークル傘下店舗からのスタッフ派遣要請などなど……。

 「史織さん、それプラス経理とか店舗運営までやってましたからねぇ~、ホント凄かったですよ」

 斜め向かいのノートPCの影からヒョコッと顔を出して、恭子に話しかける赤いメガネの女。

 「久美くみさんもずっとこの仕事やってるんでしょ?どこで覚えるの?こんな大変な……」

 「全部慣れですよ~、私も初めはちんぷんかんぷんでしたから」

 「慣れ……かぁ……」

 そう、「慣れてしまえば問題ない」と当初は恭子自身も考えていたが、己の認識の甘さを日々身を持って痛感している。

 「もう1ヶ月以上経つのに全ッ然、慣れない!私、絶望的に事務仕事向いてないかも……」

 「大丈夫ですよぉ~!私、恭子さんのサポートの為にいるんで!もうバンバン頼ってください♪」

 「久美さーん……ありがとね」

 この〝久美〟という女は、史織がサークルの役職をされる以前から人事関係の仕事を補佐しているスタッフだ。

 前髪を一直線に揃えた黒のセミロングを後ろにポニーテールで束ね、袖を肘まで捲った白いブラウスとタイトなスリットスカート姿。
 明るい笑顔と明朗な声色からは「仕事熱心なOL」といった雰囲気が漂う。

 「あっ!そうそう、恭子さん」

 久美は何かを思い出したように、ひとり頷きながら恭子の方を見る。

 「史織さんがオーナーやってた〝Healing Angelヒーリングエンジェル〟ってソープ、知ってます?」

 「ああ……史織さん自身も嬢として不動のNo.1だった……あの?」

 「そうです!で、そのお店にEl Doradoエルドラード参戦希望の娘がいるらしくて……」

 「へぇ……現役ソープ嬢の参戦、ねぇ」

 久美の話に、恭子はノートの画面に目をやりながら、ほとんど生返事で応える。

 別業種の風俗関係者から一攫千金を求めてEl Doradoエルドラードに参加するのは何も珍しい事ではない。
 の仕事に慣れている彼女らは、一般会員よりもそのハードルは低いのだ。

 「いいんじゃない?グループ店舗のキャストなら、レベル高い娘だし」

 「そうですか?じゃあ、面接いつやります?」

 「うん……えっ?わ、私がやるの?」

 恭子は思わず顔を上げ、驚いた目線を久美に向けた。

 「そうですよ~、だって〝人事担当代行〟じゃないですか!史織さんはちゃんと一人ひとり、面接してましたよ?」

 「そ、そっか……あは、そりゃそうだよね……ハァ……」

 (またまた仕事が増えてしまった……)

 恭子は力無く笑いながら、事務所の天井を大きく仰いだ。



 面接当日──。

 都心は未明よりの雨が、冬の寒々しい景色を艶やかに濡らしている。

 恭子はただ1人、待ち合わせ場所の喫茶店で事前に渡された履歴書に目を通す。

 「ふぅん……ニューホープ、ねぇ」

 史織が表舞台から姿を消した後、入れ替わるように「Healing Angelヒーリングエンジェル」の頂点に君臨した女。

 まだ、入店して3ヶ月。

 それは奇しくも、愛理がサークルに入会しEl Doradoエルドラードで一躍〝看板娘〟となるまでの過程に酷似していた。

 (実力は本物だろーね……来季の目玉になりそう)

 一端いっぱしの人事担当よろしく、イベント運営の展望などを思案していると、横から声を掛けられる。

 「……恭子さん、ですか?」

 「ん?……あっ!綺羅きらさん……?」

 「お待たせしました、綺羅です。今日はよろしくお願いします」

 そこにいたのは黒いロングコートに身を包んだ、金髪黒ギャルの女。
 小さく会釈をすると、乱れた癖っ毛な横髪を耳元で掻き上げる。

 「あ……こちらこそ……あっ!じゃ、とりあえず座って!」

 (なんで私が緊張してんだろ……)

 「失礼します」

 慣れないシチュエーションに辿々たどたどしい振る舞いの恭子と、見た目とは裏腹に物腰柔らかな姿勢を見せる「綺羅」という女。

 テーブルを挟んで、2人は視線を交わらせる。

 「改めて……今日はよろしく、綺羅さん」

 「はい、よろしくお願いします」



 日曜の昼下がりの喫茶店は雨宿りがてらの利用客で賑わっていた。

 店の一番奥のソファ席に掛けた恭子と綺羅は、互いに緊張した面持ちのぎこちない手付きで、テーブルの上のコーヒーカップに口を付けた。

 「……綺羅さん、噂どおり……すっごくお綺麗ですね」

 「いえそんな……ありがとうございます」

 綺羅は笑顔を見せながら、照れたように俯きがちに小さくお辞儀する。

 恭子の言葉はお世辞ではなく、綺羅の容姿は「No.1高級ソープ嬢」の肩書きに恥じない、美麗と色香を兼ね揃えた「一流の佇まい」を有り有りと感じさせた。

 「でも……イメージとギャップありますよね!お写真で見るとかなりイケイケな感じなのかなーって……」

 「あー……よく言われるんですけど……」

 相当言われるのであろう、綺羅は少し困ったように眉間に皺を寄せて苦笑した。

 「ギャル風……っていうんですかね。ファッションはこんな感じだけど、性格はいたってフツーですよ?」

 「へぇ……ギャル風、ね……」

 恭子はその言葉を聞きながら、不思議そうに綺羅の全身に目をやる。

 金髪のロングウェーブヘアに、指先まで黒く日焼けた肌。
 重たげなボリュームのマスカラが効いた睫毛まつげと、グリグリと縁取りの大きな瞳には、グリーンクォーツに輝くカラーコンタクト。

 言い訳無用なほど、バキバキの〝黒ギャル〟である。

 「じゃあギャル風のメイクは、その方がお客さんのウケがいいとか?」

 「えーと、それは……」

 綺羅は「言うべきか」と悩ましげな表情で天井を見つめるが、すぐに開き直ったような真顔であっけらかんと答えた。

 「……前に付き合ってた彼女の趣味で始めただけです」

 その言葉に、恭子は一瞬呆気に取られたように口をポカンと開けるが、不思議なに喉の奥から裏返ったような笑いが起きた。

 「……アハッ!なーんか変なの」

 「変わり者、ってのもよく言われます♪」

 「綺羅さん、面白い娘だね」

 笑い合う2人。

 その空間に面接の緊張感は既になく、あとは互いの身の上話や仕事の話に終始しながら、あっという間に30分が過ぎた。



 (この娘、El Doradoエルドラードで絶対に売れる!)

 綺羅の持つ天性のキャラクターと、人を惹きつける〝魔力〟のような会話術……。

 No.1ソープ嬢という〝商品価値〟を遺憾なくアピールしてみせた綺羅に、恭子はいよいよ交渉に入る。

 「……で、綺羅さんは今回〝El Dorado〟に参戦希望なんだよね?」

 「綺羅、でいいですよ。はい、是非El Doradoのステージで、私自身を試してみたくて……」

 (ふぅん、やっぱだよね)

 金の為、顕示欲の為、自己表現の為……あらゆる目的でEl Doradoのステージに上がる女は数多くいる。

 だが、僅かだがその中に「SEXが好き」という極めて純粋なただ一点のみで参加する好き者もいる。

 そして、El Doradoでのし上がるのは必ず〝そのタイプ〟の女だ。

 「じゃあ、いきなりシリーズ参戦しちゃう?最下層からだけど、綺羅くらい風俗実績あるならすぐ上がっていけると……」

 「あの、恭子さん」

 恭子の説明に、綺羅が割って入る。

 「ん?」

 「実は……El Doradoに参戦したいのは……もう一つ理由があって……」

 「?……うん」

 綺羅の口から、意外な言葉が出た。

 「〝愛理〟……って娘と、戦いたいんです」



 「愛……」

 全く予想外の綺羅の言葉に、恭子は完全に固まってしまった。

 2人は暫時見つめ合ったまま、店内の喧騒だけが意識の遠くで反響する。

 「あ、愛理の事は……どこで知ったの……?」

 「ウチに来るお客様から……噂だけは……」

 人の口に戸は立てられぬ、とはよく言ったものだ。

 いくら完全会員制のパプニングバーと言えど、この狭いレズビアンの世界で「伝説のウリ専」とまで呼ばれた愛理の戦いぶりは、瞬く間に拡がっていたのだ。

 それは、愛理のEl Dorado参戦表明後のサークル会員新規登録者数の推移からも如実に見て取れた。

 もはや愛理の存在はサークル内部だけに留まらず、「ネット上の伝説」を超えて「明確なカリスマ性」の輪郭を現し始めていた。

 「愛理かぁ……愛理とね……」

 沈黙の数秒間、恭子の脳裏に様々な思惑が疾走する。

 (いきなり愛理と対戦させる?いくらNo.1ソープ嬢と言えどレズバトルは未経験……でもポテンシャルは申し分ないし……あ、万が一愛理が負けたら、愛理のプライドもあるし……でも話題になるのは間違いないんだよなぁ)

 うんうんと唸りながら、脳の使った事のない部分をフル回転させる恭子。

 そんな恭子の様子を窺いつつ、綺羅が申し訳なさそうに話し掛ける。

 「……あの、難しいようでしたら大丈夫ですよ?私、愛理さんと戦えるならとEl Doradoに出ようと思ったのですが……それに、なかなか初参戦の素人がお相手して頂けるような方でもないでしょうし……」

 (マズイ!)

 「い……いや!全然大丈夫!綺羅なら全然その資格あるから!愛理とやりたいんだよね?愛理も綺羅なら絶対OKするから!!」

 「はぁ……そう、ですか?」

 一度喰らいついた獲物を逃すまいと、恭子の〝ナンパ師〟としての側面が顔を見せる。

 ただ、勢い余ってあらぬまで口走ってしまったが……。

 「じゃ、決まったらまた連絡するよ。近いうちに……」

 「ありがとうございます……すいません、ワガママを言ってしまって。あと……」

 突然、綺羅はテーブル越しの恭子にグイと顔を近付けると、溜め込むような吐息をじえながら小さく耳打ちした。

 「恭子さん……このあとあります……?❤︎」

10

 「え……」

 恭子は目を見開き、真横に迫ったギラギラと黒く焼けた顔を見る。

 目が合う綺羅は、妖しげな笑みでペロリと舌を出した。

 「そ、それは……」

 「せっかくEl Doradoの主催さんと面接できたので、私の〝実力〟……ちょっとだけお見せできたらなー、って❤︎」

 なんとも単純明快な「夜のお誘い」だ。

 鼻腔をくすぐる甘ったるい香水の匂いに、薄っすらと肌に感じる吐息の熱。

 (マジ……?)

 恭子の下半身に、にわかに情欲の火が灯る。

 No.1高級ソープ嬢の性技テクニックの片鱗を、その身で味わえる機会が来るなんて……。

 普段の恭子ならば、二つ返事で誘いに乗っただろう。

 だが、今は〝肩書き〟がその邪魔をする。

 (コレ……乗っちゃダメなヤツだよね?まんまと乗って「主催を接待した」なんてウワサされたら……史織さん、こういう場合どうしてたんだろう……)

 「あ、あの、綺羅さぁ……」

 返答に困る恭子を見て、綺羅はクスクスと笑い出す。

 「ふふっ、心配しなくても大丈夫です。私、間違いなく自分から誘いましたよね?この事を誰かに言うつもりなんてありませんし、まずは私が〝愛理の相手に相応しいか〟を恭子さんに判断して頂けたらな……って」

 綺羅は恭子の返答を待つ事なく、恭子の右手に指を絡めて席を立つ。

 「さ、行きましょうか……❤︎」

 「え……あぁ……」

 いざなうような視線で恭子の手を引く綺羅。

 2人は雨の中を足早に、路地裏のホテル街へと姿を消した。

11

 (まぁ……役得、ってことで……)

 先にシャワーを浴び終えた恭子はベッドに腰掛けながら綺羅を待つ。

 洗面所からはドライヤーの音が聞こえ、が迫っている事を知らせていた。

 (それに私、元はナンパ師だもん。今は管理者やってるけど、あくまで代行だもん)

 自らに言い聞かせるように、小さく頷いてみせる。

 そう、何も間違っていない……。

 ナンパ師としてこんなを逃したくないし、サークル人事担当者として素性を知っておきたいし、El Dorado主催として彼女の実力の程を肌身で体感しておかなければ──!

 「お待たせしました……❤︎」

 目の前に現れた綺羅はバスタオルを巻いて身体を隠し、恭子の前に立つとこれ見よがしにハラリ、とそのタオルを足元に落としてみせた。

 ファサ……

 「おお……❤︎」

 室内の照明に照らされた、綺羅の褐色のボディ。

 ツンと上向きの挑発的な乳房は形も良く、「ぷるんっ」と左右に揺れて弾けるような瑞々みずみずさを感じさせる。

 腕、脚、腹回りの肉付きが程よく、丸みある肉体はまさしく〝オンナ〟を体現した魅惑の様相だった。

 「さすがNo.1高級ソープ嬢……堪らないカラダしてるね……」

 「ふふっ、ありがとうございます❤︎」

 綺羅は素直に笑って舌を出す。

 舌を出すのは、おそらく綺羅の癖なのだろう。その後に濡れた唇を人差し指で拭う仕草も妙に艶っぽく、愛される為に劣情をくすぐるすべを自然と心得ているかのようだった。

 恭子もベッドから立ち上がり、バスタオルをソファの背もたれにポンと放り投げると、裸の綺羅と真正面から対峙した。

 「うわ……すっごい……❤︎」

 全裸の恭子を見た綺羅の視線は、自ずと恭子のへと注がれる。

 「恭子さん、やっぱり〝ふたなりさん〟だったんですね❤︎初めて会って、なんとなーくそんな気がしました❤︎」

 眼前にあらわになった恭子のペニスは、ヒクヒクと脈打ちながら鉄のように硬く反り返っている。

 だが、18cm以上ある太く逞しいペニスに、綺羅はまったく臆する素振りは見せない。

 「こんなにビンビン❤︎期待して頂けて光栄です❤︎」

 チュッ❤︎ムチュゥッ……❤︎

 綺羅は恭子に抱きつき、腰に手を回してキスをする。

 恭子もそれを受け入れ、綺羅の口内で舌を絡ませる。

 ジュルッ❤︎チュパッ❤︎

 「フーッ❤︎フーッ❤︎んふふふゥ……❤︎」

 とろけるようなキスの最中、綺羅は笑いながら恭子のペニスに手を伸ばし、手のひらで撫でつけながらゆっくりと愛撫を始めた。

 「おッ❤︎」

 突然の刺激にピクンッ、と腰を引く恭子。

 それを逃すまいと、綺羅はペニスをしっかりと握り込み、緩急をつけながら上下にしごく。

 「ふゥッ❤︎……綺羅ッ❤︎」

 快感に、恭子は思わず唇を解く。

 「ふふ……じゃあ、ベッドに座って……」

 促されるままに恭子がベッドに腰を下ろすと、綺羅は対面の床に正座で膝を着き、恭子の両脚の間に滑り込む。

 「いきますよ、恭子さん?No.1ソープ嬢の本気ガチンコフェラ……とくとご堪能くださいね❤︎」

12

 ズル……ズリュ……❤︎

 「はぁぁぁ……❤︎カッチカチ……❤︎」

 自分の顔よりも大きなペニスに頬擦りし、恍惚の表情を見せる綺羅。

 カラフルで凶暴なスカルプネイルをカチカチと鳴らしながら、ずっしりと重たい陰嚢を下から指でコリコリと揉みほぐす。

 「おォッ!?❤︎それヤバぃ……❤︎」

 予想を裏切る責めの快感に、恭子の感度も上昇し続ける。

 「キンタマ、敏感なんですね❤︎かわいい❤︎それじゃあ……❤︎」

 悪戯に微笑んだ綺羅は、舌を目一杯出すと恭子の陰嚢にむしゃぶりついた。

 ジュルッ❤︎グッポ……グッポ……❤︎

 「あォォッ!❤︎タマぁぁッ❤︎❤︎」

 陰嚢の片側をすっぽりと咥え込んだ綺羅。

 皮袋の中の睾丸を唇と舌でほぐすように甘く噛んでやると、恭子が堪らず叫ぶ。

 「ひぃぃッ❤︎あッ❤︎それヤバイッ❤︎効くッ❤︎腰浮くッ❤︎」

 急所である睾丸を相手の口内で容易く弄ばれる悦楽。

 「カラダで最も弱い部分」を、他人に舌先で舐め転がされる恥辱の性感に、恭子の射精欲に早くもスイッチが入る。

 (ヤバイ、これ……秒で射精る……❤︎)

 クッポ❤︎クッポ❤︎ジュルルルッ❤︎

 「はァッ❤︎はァッ❤︎……んぉぉッ❤︎」

 「ぷはッ❤︎……キンタマ、キュンキュンに上がってきてますよ❤︎」

 恭子の射精欲は、陰嚢を掌握していた綺羅には当然の如く勘付かれてしまう。

 だが、綺羅は責める手を休めない。

 レロォォォ……❤︎

 「ほォォォッ!?!?❤︎」

 張り詰めたペニスにいよいよ綺羅が舌を伸ばす。

 根元から竿先にかけて念入りに、下から上へと長い舌で豪快に舐め上げてゆく。

 圧巻の竿舐めに、恭子は歯を食いしばって耐え忍ぶ。

 チュッ❤︎チュッ❤︎チュッ❤︎チュパッ❤︎

 「あッ❤︎あァッ❤︎吸われッ❤︎あッ❤︎それヤバッ❤︎」

 そして時折、緩急のように織り交ぜるキスの嵐。

 恭子のペニスはもはや亀頭の先から陰嚢の裏まで、綺羅の唾液とグロスでテカテカと下品に輝いていた。

 「ふぅ……ではそろそろお待ちかねの、いっちゃいますね❤︎」

13

 綺羅は後ろ髪を背中に流し、恭子のペニスの根元をキュッと握る。

 (あっ……来る)

 グポッ❤︎…………ズルッ❤︎ズルッ❤︎

 「~~~~~~~~~~ッッ❤︎❤︎❤︎」

 恭子が身構えるよりも僅かに早く、綺羅が恭子の巨大なペニスを咥え込んだ。

 並の女ならば欲情よりもおののきを覚えるような〝肉の槍〟を、一気に根元まで咥え込んでみせた綺羅。

 ブフッ!!……コポッ❤︎ブジュルルルッ❤︎

 ゆっくりと引き抜く口元から、粘度の高い唾液がブクブクと泡を立てて溢れ出す。

 「……ぶはァァッ❤︎はァーッ❤︎はァーッ❤︎ハハッ……すっごいおチンポ……❤︎」

 綺羅はまぶた一杯に涙を溜めながら、それでも愛おしそうにペニスを再び咥え込む。

 グプ……ゴキュッ❤︎ズルルルルルルッ❤︎

 「あォォォ……❤︎のッ❤︎呑まれてるッ❤︎チンポッ❤︎全部呑まれるッ❤︎」

 綺羅の細い喉元が、縦の円筒状にボッコリと隆起する。

 太過ぎるペニスを呑み下してやろうと、舌、咽喉、食道が、それぞれ波状に動く軟体生物のように、ペニスを力強く捉えては胃へと引き摺り込もうとしてくるのだ。

 それは奇しくも、恭子の脳裏に〝ある女〟を想起させていた。

 (愛理と同じッ❤︎いや……愛理以上!?こんなディープスロートッ❤︎ありえないッ❤︎)

 「あッ❤︎ヤバッ❤︎待ってイクッ……イクイクイク……ッ❤︎」

 射精の予感に、恭子が思わず泣きそうな声を出す。

 それを綺羅は目線で制して、人差し指を左右に振った。

 まさかの〝我慢しろ〟の合図である。

 「んッ?❤︎んゥンッ❤︎んーんッ!❤︎」

 「無理無理ィィッ❤︎もうイクッ❤︎精液ザーメンアガッてきてるからァッ!!❤︎もう抑えるの無理ィィッ!!❤︎」

 必死に握り拳を作って射精を我慢する恭子だが、一度入った「射精のスイッチ」はキャンセルを許さない。

 綺羅もそれを察してか、いよいよ正座を解いて中腰になると、ガニ股のまま素早くペニスをしゃぶり始めた。

 ズリュッ❤︎ズップッ❤︎ズップッ❤︎グッポッ❤︎グッポッ❤︎ズルルルルルルルルッ❤︎❤︎❤︎

 一心不乱に繰り出される綺羅の〝パワー・フェラチオ〟は、恭子の凶暴なペニスさえも力と技で圧倒し、今まさににかかる。

 「お"────ッ!?!?負けるッ❤︎負けるッ❤︎イッグゥゥゥゥゥゥゥゥッ❤︎❤︎❤︎」

 ビュッ!!❤︎❤︎ビュルッ❤︎ブリュッッ❤︎ドクッ……ドクッ……❤︎

 「ん“ぶッ!?❤︎んンッ❤︎ん……❤︎」

 ゴキュ……ッ❤︎

 咥え込んでから約1分、恭子は綺羅の喉奥で、僅かな抵抗すらできずに果てた。

14

 「あれだけたっぷり出したのに、全然萎えないんですね……素敵です❤︎」

 「はぁッ❤︎はぁッ❤︎はぁッ……❤︎すッ……凄かった……❤︎」

 ベッドに横たわる恭子のペニスは射精前と変わらない硬度を保って天井を差しており、綺羅はそれを不思議そうに見つめながら長い爪でツンツンと弄る。

 射精の余韻に浸りながら、恭子は綺羅の潜在能力を大幅に上方修正せざるを得なかった。

 (トップレベルのソープ嬢がこれ程の実力だなんて……愛理といい勝負どころか、全然〝喰われる〟可能性だってある……!)

 ヂュルッ!❤︎

 「お"ッ!?❤︎あッ……ぁぁ……❤︎」

 綺羅は亀頭を咥え込み、尿道に残る精液を吸い上げる。

 「ゴクッ……んふッ❤︎恭子さん、結構ました?」

 「よッ、4日くらい……?最近仕事が忙しかったから……」

 「4日も!?どおりで量が多いワケですね……色も、匂いも、食感も、こってり濃厚でしたから飲み込むのが大変❤︎」

 綺羅は笑いながら、舌でペロリと上下の唇を一周する。

 「4日も溜めてたら、イクのも早いですよね。暴発しちゃった感じですか?」

 「う……まぁ、そんな感じかな……」

 綺羅の言葉に合わせて強がってみせる恭子。

 だが、たとえ久しぶりの射精ではなかったとしても「1分以上耐えられる」という保証はなかった。

 恭子が出した答えは、一つ。

 「綺羅……愛理とヤろうよ。私が……見たくなってきた。2人のバトルを……」

 「!!……恭子さんッ」

 ガバッ!

 恭子の〝約束〟に、綺羅は興奮したように覆い被さって抱きつく。

 「ありがとうございます❤︎私、精一杯頑張りますからッ❤︎……その前に」

 綺羅は仰向けの恭子の上で大きな尻を振ってみせ、未だ硬く勃起する恭子のペニスを自らの〝秘肉〟にあてがった。

 ギュウ……❤︎

 「おゥッ❤︎き、綺羅……?待って……」

 「まだまだ……ですよね?これは私の感謝の気持ち……時間の許す限り……させて頂きますね❤︎」

 ズルッ……ヌプ……❤︎

 「ほォォォォォォッ❤︎」

 限りない実力を秘めた、綺羅という女。

 狂乱の宴〝El Dorado〟の舞台で、やがて二輪の大華が花開く──。
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